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自分勝手
おなまえは?
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その黒い影が目の前に降り立った時、俺は自分の目を疑った。
あぁ、とうとう幻覚まで見るようになったのかと自身の弱い身体を嘲笑って。
その刃が朽木隊長のソレとぶつかりあって飛び散った火花を見て、ようやく現実だと理解した。
「貴様…何者だ。」
「嫌だなぁ、白哉坊っちゃま。遥か昔にお会いしたじゃないですか。」
「!…その命、余程いらないようだな。」
「命を捨てるつもりはありませんよ。貴方たちを潰して私も逃げます。」
チラリとコチラに視線を向けた彼女に俺は何度も瞬きを繰り返した。
本当に、あの苗字 名前が存在している。
目の前に立ち、その刀を振っている。
「(長生きはするものだな、本当に…。)」
“私も” という言葉から彼女が旅禍の一味であるということが理解出来た。
ならば自分には彼女を止める義務がある。
それに、その口から聞かなければいけないことが山程あるのだ。
「…朽木隊長はあの旅禍を追ーーー。」
「愛でよ…玉藻前。」
「「!!」」
「誰が、追わせるなんて言いました?」
ビリビリと肌を通して伝わってくる彼女の霊圧に懐かしくなって頬が緩まる。
それと同時に伝わってくる。
彼女は百年前よりも強くなっているということが。
「……卍解ーーー。」
「って待て待て!!さすがに旅禍1人を相手に卍解を使うのは気が引けないか!?」
「!…兄が見誤るとは珍しいな、浮竹。」
「なに…?」
「あれはただの旅禍ではない。本気でやらねば…やられるのはこちら側だ。」
「!」
朽木隊長のその言葉に彼女の口角が吊り上がる。
かつて十一番隊の副隊長をしていた頃の彼女が言っていた。
アイツらは戦いを楽しみ過ぎる、と。
まるで自分とは生きている世界が違うとでも言いたげなその言葉に、春水と共に笑ったんだ。
自覚がないのか、と。
「(お前は戦っている時によく笑う…だからこそ十一番隊の副隊長だったのだから。)」
「浮竹、構えろ。」
「分かっているさ。」
彼女が持つ鉄扇の飾りがキラリと光る。
傍から見れば圧倒的有利に見えるこの状況で、俺の心臓はうるさく音を立てる。
彼女を斬る覚悟をしろと、責め立てている。
「おっとこれは…またすごい光景だね。」
《!!》
「ふふ、久しぶりだね… 名前ちゃん。」
「!…相変わらずお忍びがお上手なことで。」
ふわりと風に舞った花柄の着流しが名前の後ろに降り立って、その身体を後ろから抱きしめる。
張り詰めた空気のせいで近づいて来たことすらも気が付かなかった。
それがいやに悔しくてそちらを睨みつければ、ソイツはいつものようにヘラリと笑った。
「止めてあげたんだから感謝しなよ、浮竹。」
「抱きしめる必要はないだろう、春水。」
その言葉にそれもそうかと頷きながら、使うことのなかった自分の刀を鞘へと戻した。
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