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覚悟
おなまえは?
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大江の部屋から抜け出して、走る。
何かを言いたそうに震える自身の斬魄刀を片手で押さえ込んだまま。
現役時代よりも明らかに遅くなった瞬歩に舌打ちをこぼして、辺りに意識を張り巡らせた。
「(一護とチャドくんの霊圧が弱い…。)」
チャド君の相手をしていたのは霊圧からしてあの京楽春水だろう。
ということは殺されることは無い。
それとは逆に一護の相手の霊圧はあの戦闘狂…更木剣八のものだった。
今は更木剣八の方の霊圧も弱まっているが、一護の方が重症っぽいし早めに回収するべきだろう。
そう思って視線を前に向けた瞬間、何か大きな塊が目の前に飛び出してきた。
「うおわッ…!?」
「!!」
互いに咄嗟に避けたものの、その塊はバランスを崩して近くの建物の上に倒れ込む。
そしてその塊が “人” であると理解した時には懐かしい霊圧に包まれ、目の前に現れた小さなピンク色が私を睨み上げていた。
「(やちるちゃんッ…と、あそこで倒れてるのはもしかして更木剣八ッ…?)」
「剣ちゃんはイッチーと戦って怪我してるの。」
「い、いっちー…?」
「アナタも旅禍?戦う?」
「は…?」
「戦うならッ…アタシが相手する!」
背中の鞘からスラッ…と刀を引き抜いてコチラを睨むピンク色の彼女に思わずブンブンと首を振る。
やちるちゃんの死神としての強さは私がここに居た百年前からよく知っている。
そう考えながらチラリと倒れてる戦闘狂を見れば、どうやら意識はもうないらしい。
「その人…一護が倒したのッ…?」
「ち、違うよ!引き分けだもん!!刀は折られちゃったけどイッチーのが先に倒れたもん!」
「(一護が更木剣八の刀を…?)…あのツンデレ弟、どこまで成長するんだか…。」
「おとうと…?」
「いや…それよりその人、出血が多すぎる。四番隊に運ぶ前に応急処置しないと。」
そう言って更木の近くに寄れば、やちるちゃんがそのピンク色を揺らしながら私の手をペチペチと叩く。
おそらく勝手に触るな、という意味なのだろうけど…その抵抗はあまりに弱々しかった。
「(更木が弱ってるの見て焦ってるんだろうな…。)」
「ッ……。」
「け、剣ちゃんッ…!?」
「やちるちゃん、どいて。」
「!」
「大丈夫、この戦闘馬鹿は私が助ける。」
「ッ……う…んッ……うんッ…!!」
“ありがとうッ… ナマエちゃんッ…!”
仮面をズラした私の横顔を見て、やちるちゃんは子供みたいにワンワンと声を出して泣いてしまった。
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