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空白の百年はあまりに長く
おなまえは?
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懐かしい夢を見た。
自分が真央霊術院に入った時の夢。
後ろにいるお目付け役を説き伏せて、私は足早に自分の教室へと向かう。
手元には試験の順位表。
その1番上には、私の名前が書いてあった。
「…そ、うすけ…。」
「!…目、さめました?」
「……何だ…大江か。」
「かなり久しぶりに会った後輩に言う言葉がソレってどうなんですか。」
“というか大丈夫ですか?” と私の顔を覗き込む懐かしい顔に思わず頬をゆるめる。
知人が百年たっても変わらない、というのは意外にも嬉しいものだ。
そんな事を考えながらゆっくり起き上がれば夜の闇の中で微笑んだ惣右介が頭の中に浮かんだ。
「(結局、逃げられた…。)」
「夜中に部屋の前に倒れてる姿見つけて俺がどれだけ焦ったか分かりますか?」
「…倒れてた?」
「そうですよ。何十年間も姿消してたくせに急に現れて…今までどこに行ってたんですか?」
「……。」
「無視しないで答えてくださいよ。これでも心配してたんですよ、ずっと。」
「ん…ごめん。」
起き上がった私と向かい合うように腰を下ろした大江にペコリと頭を下げる。
気を失う前、誰かが後ろにいた。
ソイツに殴られて…そこからの記憶はなかった。
「…私の他に、誰かいなかった?」
「は…?」
「私の周りに誰かいなかった?」
「…いませんでした。けど、俺の知らない霊圧が離れていくのは感じました。」
「!(大江の知らない霊圧…?ということは市丸と東仙以外にも惣右介の協力者がいるってこと…?)」
「それよりも俺の質問に答えてください。今まで一体どこで何をしていたんですか?」
黙り込んだ私の顔を無理やり上げさせて、先程と同じような質問を繰り返す大江。
まぁ、そうなるのも仕方がないだろう。
百年前にいきなりいなくなった先輩がなんの前触れもなく突然戻ってきたのだから。
そんな事を考えながら私の顔を上げさせている大江の手をペチンと叩いて落とす。
それに驚いて目を見開いた大江に私は昔と同じように口角を吊り上げて笑ってみせた。
「ただいま、大江。」
「!…はぁッ……まったく…相変わらず良い性格してますね、苗字先輩。」
「褒め言葉?」
「ええ、最大級の。」
「私がここにいること報告した?」
「まさか。そのお面といい服装といい…ワケありっぽかったので話を聞いてからと思ってました。」
“さすが霊術院首席卒業は話が早い。”
そう言って笑えばアナタに褒められても嬉しくないと大江が口を尖らせる。
が、そんな穏やかな会話を打ち切るように部屋の前へ誰かの影が降り立った。
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