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君想う。
おなまえは?
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雨が降り続く中、傘をさして歩く。
少し向こうに感じる霊圧は死神の霊圧。
…あぁ、なんだか懐かしいな。
霊圧のぶつかり合いなんて何年ぶりだろう。
「名前サン。」
「!…こんばんは、喜助さん。」
「まだ、その時じゃないっスよ。」
「分かってますよ。…ただ、少しだけ懐かしく感じちゃったんです。」
「そう…ですか。」
「…長かった。長すぎました。」
傘からポタポタと雨粒が落ちる。
突如跳ね上がった霊圧に顔をあげれば、隣にいる喜助さんも同じように空を仰いだ。
「…終わりましたね。」
「そうみたいっスね。」
「喜助さんは行ってください。私は、もう少し散歩をしてから帰ります。」
「…そうさせてもらいます。」
カランッ…と下駄を鳴らして歩いていく喜助さんを見送って、再び歩き出す。
先程まで現世にいた死神の霊圧が3つ、穿界門の中へと消えていったのが分かった。
…うち1人は、どこかで感じたことのある霊圧だ。
「…あぁ、朽木家の跡取りか。」
随分と大きくなったその霊圧に頬が緩む。
私が尸魂界を出て、百年。
そりゃあ子供だったあの子も大人になるわけだ。
「…私の事なんて、もう覚えてもないかな。」
ふと残してきた自分の大切な人達を思い出す。
春水さんや十四郎さん、十一番隊の皆も…。
「あと…藍染惣右介も…。」
百年経っても忘れられない。
そう思っていたのに、彼の声も匂いも温もりも…全てが曖昧な記憶へとすり替わっている。
もしかしたら、顔すらも私の記憶と思い込みで構成された偽物かもしれない。
そう思ったら、左胸にチクリと痛みを感じた。
「苗字、風邪引くで。」
「!…こんな雨の中わざわざ迎えに来てくれたんですか、平子さん。」
「仕方ないやろ、ひよ里が迎え行って来い言うてうるさかったんや。」
「ひよ里ちゃんが?」
「…心配なんやろ。お前を尸魂界に行かせるのもアイツは最後まで反対しとったしな。」
そう言ってガシガシと頭をかく平子さんの髪は昔みたいに長くない。
百年で、色々なことが変わった。
猿柿副隊長と呼んでいた彼女を、ひよ里ちゃんと呼ぶようになった。
鳳橋隊長の事を、ローズさんと呼ぶようになった。
喜助さんは胡散臭い駄菓子屋さんの店長になった。
夜一さんは基本、黒猫の姿で生活するようになった。
…私の、藍染惣右介への気持ちが…淡い恋から深い愛へと変わった。
「…何としても、私が止めます。」
「……あんま抱え込むなや、仲間やろ。」
そう言って私の頭をポンポンと撫でてくれた平子さんの手は、ひどく暖かった。
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