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これだから天才は。
おなまえは?
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ザワザワとざわめく人混みを歩く。
後ろではお目付役が何か騒いでいるが、そんなのはどうでもいい。
あの窮屈で退屈な屋敷をやっと抜け出して、今日から院の寮生活…生きていて良かった。
「名前様っ!」
「あー…もう、うるさい。」
ギロリと後ろのソイツを睨みつければ、私の圧に押され身体を硬らせる。
どうせ口煩い母に言われて来たのだろうが霊術院の門はもう目の前。
いい加減諦めて欲しいものだ。
「…言われなくても定期的には屋敷に帰る。手紙だって忙しくなきゃ返す。…それでいいでしょ。」
「…分かりました、奥様にはそうお伝え致します。」
「ん、じゃあね。」
頭を下げるソイツに片手だけ上げてから、その馬鹿みたいに大きな門を足早にくぐる。
周りから私の実家についてコソコソ話す声が聞こえるけど、そんな事はどうでも良かった。
それよりも…。
「あいぜん、そうすけ…。」
ぺらり…と開いた紙は霊術院に入るための試験の上位者名簿。
上級貴族である事を有効活用して入手したソレの一番上に書かれた名前に、私は興味を惹かれていた。
“ 苗字家 ”
四大貴族には劣るものの、上級貴族の中では実質最高位の家系で霊圧の強い子供が生まれる事も多い。
特に私は歴代の中でも強めの霊圧を持っており、昔から誰かに負けた事もなかった。
…というより、自分と競い合うだけの霊圧を持った同年代に出会った事が無かったのだ。
「(だからこそ、自分が首席じゃないって聞いた時は驚いたけど…俄然興味が湧いちゃったんだよなぁ。)」
どこぞの有名貴族の御子息かとも思ったのに、名前を聞いてもピンとこない。
それが私の好奇心をより湧き立てた。
「早く会いたいなぁ…。」
そんな事を考える私の足取りはさっきよりも少しだけ軽くなっている気がした。
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