↓↓
変わっている男
おなまえは?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザワザワする廊下を歩く。
教室まで残りあと少し。
なのに、その足はひどく重かった。
「…惣右介に、話さないと。」
ポツリ…と呟いて、息を吐く。
昨日重なった唇に頬を緩めていた自分の頬を思いっきり叩いてやりたい。
目を覚ませ。
私は、苗字家の次期当主。
…いずれは瀞霊廷から居なくなる存在だと。
「苗字さん!」
「!…なに?」
「あの、今日のお昼休みに話があって…。」
あぁ、告白か。
そんな事を思いながら相手の顔を見る。
…うん、知らない人だ。
「お昼休み、裏庭にーーーー。」
「残念だけど、お昼は僕と約束しているんだ。」
「え…あ、藍染君っ…?」
「やぁ、おはよう名前。」
「…惣右介、わざわざ迎えに来たの?」
「いつもより遅かったらね。でも、意外と近くにいて驚いたよ。」
私の頬を撫でてニコリと微笑む惣右介の手が気持ちよくて、つい目を細めてしまう。
少しひんやりしていて、でも不快じゃない。
むしろ、ずっと触っていてもらいたいくらいなのに…私はいつかこの手を離さなきゃいけない。
「…あ、えと…何だっけ?」
「い、いやっ…忘れて下さいっ…!」
「え…?」
私の言葉にそう呟いて逃げるように去っていくその子を見つめる。
告白だったんじゃないのか、なんだ。
「自意識過剰だったみたいだ。」
「名前は気にしなくていいよ。彼の気持ちがその程度だったってことさ。」
「!…それより教室行こ。」
「あぁ、そうだね。」
2人並んで教室に向かう。
周りが明らかに騒がしくなっているが、今更そんな事を気にするほど繊細ではない。
それよりも…隣にいるこの男とちゃんと話さねば。
「惣右介。」
「ん、なんだい?」
「話が、ある。」
「!…そんなに改まって、どうしたんだい?」
「お昼…に、話す。」
「…分かったよ。」
コクリと頷いた惣右介を確認してまた歩を進める。
人に何かを話す、そんな行為で緊張するなんて…私も随分と怖がりになったものだ。
「(…いや、違うか。)」
「今日は天気が良いね。」
「ん…そーだね。(欲張りになったんだ。)」
私には今まで執着するものなんてなかったから。
初めて執着したこの男の事を離したくない。
だから、離れ離れになる現実を私は見たくないと思ってしまうのだろう。
「(大ばかやろうだ、私は。)」
小さく心の中で呟いて、左手を掛けていた斬魄刀の柄を少しだけ強く握りしめた。
1/3ページ