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思わず瞬きを繰り返す。
霊術院に入って1年と少し…。
こんな展開は初めてだった。
「特進学級一回生の大江 新太郎です!入学してからずっと苗字先輩のこと好きでした!」
「えーーー。」
「僕とお付き合いしてもらえませんか!?」
ギュッと私の手を握り、キラキラした目を向けてくるその子に思わず苦笑いが漏れる。
次期当主として屋敷から出られず、霊術院でも他の院生達に一定の距離を置かれていた私。
そんな私がまさか後輩院生に告白をされるなんて…正直考えてもいなかった。
「… 苗字。」
「あ…ごめん。初めてだったから驚いちゃって…。」
「初めて!?苗字先輩こんなに綺麗なのに今まで告白されたことないんですか!?」
「あ、うん…ない、ね…?」
「苗字先輩の初めての告白が俺だなんてっ…すごく嬉しいです!」
「あは、はは…。」
すごい勢いで好意をぶつけてくる大江君はまさに猪突猛進タイプ。
うん、こんな人は接することすらも初めてだよ。
というかそろそろ手を離して欲しいよ。
だってほら、後ろからすごい勢いで睨んでいる人がいるんだよ。
気づいて大江くん。
「(ていうかさっきから思ってたけど何でそんなに不機嫌なの藍染っ…!)」
「……大江君、だったね?」
「はい!あ、そういう貴方は藍染先輩ですよね!苗字先輩のご友人の!」
「僕のことも知ってくれているのか、嬉しいな。」
「もちろん!苗字先輩の良き好敵手だと!」
「そうだね…。ところで、そろそろその手を離してもらえるかな?僕達もいい加減教室に戻らないといけないんだ。」
藍染のその言葉でようやく解放された私の右手。
さすが藍染惣右介…告白された時の対処法をよく分かっているらしい。
そう思ってお礼をいえば、藍染は至極不服そうな顔を私に向けてきた。
「苗字、分かってるよね…?」
「え…あ…はい…。(授業に遅れちゃうから早く終わらせろってことでしょっ…。)」
「苗字先輩?」
「ええと…その、気持ちは嬉しいけど私は君のこと知らないし…、君も私の事よくは知らないでしょ?だからお付き合いとかはーーー。」
「これから知っていきます!」
「え…あ、そう、なの…?」
「はい!お互いの事を更に深く知っていくのが恋人同士ってものですから!」
「あ…えと…そう、だね…?」
なんて前向きな少年なんだ。
ちょっと勢いに押されそうだよ、私。
ていうか周りからの視線も痛いし、穴があったら全速力で逃げ込むよ、私。
「(ていうか藍染くんってばお願いだから後ろから笑顔で圧かけるの止めてっ…!)」
「………って訳ですから!」
「え…?」
「とりあえず明日の休日は一緒に出掛けましょう!」
“それじゃあ!” と爽やかに去っていく大江君を止めることも出来ず見送る私。
後ろから藍染が私の名前を呼んでいるが、正直振り向くのが怖い。
だって、絶対、怒られる。
そんなことを思ったら少し泣きそうになったお昼休みでした。
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