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不器用な気持ち
おなまえは?
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それは唐突だった。
校長に呼び出されたため重い足を引きずって校長室に行き、その事実を告げられた。
「相澤くん、苗字さんに個性を使ったヴィランが見つかったよ。」
「!…そうですか。」
「居場所も分かってる。いつでも話を聞けるように手配済みさ。」
ありがとうございます、と呟いて部屋を出た。
だけど心の中では、彼女がこのまま残りたいと言ってくれるのではないかと願った。
彼女に懐いている教え子達のためにも、彼女はこの時代で生きてくれるのではないかと…。
「私はっ…、私の世界に帰りたいっ…。」
それは、俺の前では決して出なかった彼女の本音。
当たり前だ。
勝手に12年経った世界に連れてこられて、そこで一生を終えようなどと誰が思うのだ。
自分の事しか見えていなかった自分に腹が立った。
「… 名前。」
「……。」
「いつまでそこにいるつもりだ。」
「……。」
校長の元へ連れていこうとした俺の手から逃げ出した名前は自分の部屋へと逃げ込んだ。
いつもなら掛かっていない鍵が、今日はしっかりと掛けられている。
お前だって帰りたいって言っただろうが。
そう呟けば返事の代わりに何かが勢いよくドアにぶつかる音がする。
怒ると物を投げる癖も、昔のままだ。
「おい、物に当たるな。」
「……。」
「…… 明日になったら、無理矢理連れ出すからな。」
掴んでいたドアノブを離して、息を吐く。
帰りたいと呟いていた彼女は、ひどく傷ついていた。
俺の責任だ。
俺が、何もかも求めすぎた。
自分の部屋へと戻り、PCを見る。
今日は仕事をする気も起きてこない。
いつもは彼女のために夕食を作っている時間だが、今日はそれもいらないのだろう。
「……どうしたら満足なんだ、名前…。」
帰りたいなら、帰るための手段が見つかって良かったと喜ぶべきだろう。
なのに彼女はまるでそれを拒否するかのように部屋に逃げ込んで、俺の話を聞こうともしない。
なら一生俺のそばにいてくれるのか。
ずっと俺の隣で笑っていてくれと頼めばいいのか。
それでお前が満足するなら、俺は何度だって言ってやるのに。
「…… 名前っ……。」
どうして、俺を残して死んだんだ。
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