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動き出す、
おなまえは?
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フラフラと学校内を散歩する。
夏休みが終わり、新学期が始まったことで私の監視をできる人がいなくなったらしい。
代わりにつけられたチョーカーには鈴型の発信機が付いていて、私が猫化すれば縮んで首輪になるという優れものだ。
「(歩く度にチリンチリン鳴るし…これじゃ本当に猫になったみたいだけど。)」
まぁ常に誰かと一緒にいなきゃいけないという生活よりはマシだろう。
そんな事を考えながら歩いていれば、いつの間にかたどり着いたあの桜の木の下。
消太に初めて会った場所だ…と頬を緩めて近づいて、その木の下で座り込む男の子の姿に気がついた。
体育の時間でもないのにジャージ姿。
一瞬ヒーロー科の誰かだろうかと思ったが、あの色の髪は見たことが無い。
そして何より、ヒーロー科はこの時間まだ授業中だ。
「(つまり…ヒーロー科以外の子、だよね…?)」
コソコソっ…と木の影から近づけば、相手はゼェゼェと肩で息をしている。
その真っ直ぐ見据えられた瞳を見ただけで、彼が何をしていたかなんて一目瞭然だった。
これは面白い子を見つけた…そう思った私は、思わずその彼に向かって口を開いた。
「にゃあ…。」
「!…ね、ねこ?」
ヒョコッと顔を出して一鳴きすれば、相手は驚いたように目を見開く。
まぁ天下の雄英高校に猫が居たら驚くのも無理はない。
そう思いながら未だに私を見ている彼に近づいて、わざと彼の目の前に腰を下ろした。
「…首輪、してるな…飼い猫か?」
「ある意味ね。」
「………は?」
「性格的には野良猫のが近いけど。」
“縛られるのは好きじゃないの。” と笑えば相手はポカンと口を開けたまま固まる。
その顔を見て、私の口角はさらに吊り上がった。
声を掛けたのは気まぐれ。
でもなんとなく、この子とは出会うべくして出会った気がしたのだ。
「特訓?」
「!!」
「当たった。」
そう呟けば今度は眉を寄せて私を警戒するその子にクスクスと笑う。
この不機嫌そうな顔、消太に似てる。
どうやら私はこういうタイプに弱いらしい。
見たらつい構いたくなってしまう。
「警戒しなくても良いよ。」
「…猫が喋ってるの見て警戒するなって、結構ハードル高いと思うけど。」
「あはは、確かに!」
「……。」
ジッ…と私を見つめ続けるその子の身体を見る。
まだまだ、発展途上。
ちゃんとした身体作りは最近始めました、って感じ。
「名前は?」
「名乗るならまずは自分からだろ。」
「…ガッティーナ。」
「が…?」
「可愛い子猫って意味。私の大切な人達が付けてくれた名前なの。」
「…心操 人使。」
「そっか。じゃあ改めてよろしくね、心操君。」
そう言って肉球を差し出せば、彼はオズオズとその手を握り返してくれました。
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