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幸せ者
おなまえは?
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死穢八斎會に踏み込む日時が決まったと連絡が入った日、私はいつものように消太の部屋へと来ていた。
ただし猫の姿ではなく、ちゃんと人間の姿で。
“大事な話がある。” と消太に事前に伝えて。
それが何の話なのか、消太は何となく分かっているような顔をして頷いた。
「飲みながら聞け。」
「ありがとう。」
「ガムシロップは?」
「んー…いる。」
消太が作ってきたホットミルクにガムシロップを入れてクルクルと混ぜる。
ふわりと牛乳特有の甘い匂いは相も変わらず私の気持ちをリラックスさせてくれた。
「この時代に来た日の夜もさ、消太がホットミルク作ってくれたよね。」
「…そうだったな。」
「懐かしいね。」
「あァ、そうだな。」
「…すごいストレートに言ってもいい?」
「オブラートに包めたことないだろうが、お前は。」
呆れたように息を吐く消太にそんな事は無いだろうと文句を言いつつホットミルクを1口飲む。
なんだか眠くなってきてしまったが、今日はきちんと話すと決めてきたのだ。
そう思って、マグカップを置いて机の向こう側に座る消太へと視線を戻した。
「私がどうやって死ぬのか、聞いておきたい。」
「……まァ、そうだろうな。」
「あ、察してた?」
「それくらいはな。何年一緒にいたと思ってる。」
「あはは、確かに。」
「…本当は話そうか迷ってた。話すことで未来が変わったら困るからな。」
「えー?でも私が死なずに済むかもよ?」
「それは、そうだが…お前の事がなければ、俺は雄英の教師にはなってねェ。」
「!」
「…お前が死なない未来があるなら、俺はそれに縋りつきたい。だが…俺が教師にならなかったらAクラスの連中は死んでいたかもしれない。」
消太のその言葉に、ふと山田が教えてくれた雄英襲撃事件の話を思い出した。
ヴィラン連合が、授業中だったUSJを襲撃。
触れたものを壊す、なんてチート級の個性を持つ死柄木弔率いるヴィラン相手に生徒たちが生き残れたのは消太の活躍があったからだと。
オールマイトが到着するまで、彼は生徒を守るためにひたすら戦っていたのだと。
「だから、今から話すことで未来が変わるなら…お前が俺を教師の道に引きずり込め。」
「!…いいの?」
「昔の俺は今よりもねじ曲がってねェからな、お前が上手いこと口車にのせてくれ。」
“昔から得意だっただろ?”
そう言って少しだけ目尻を下げた消太に、私はコクリと頷いた。
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