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元凶の居場所
おなまえは?
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それは唐突だった。
「伊弦竜二の居場所が分かった…?」
“はい、その手に強い知人に調べてもらったので間違いないと思います。”
「!…どこ、ですか?」
“…死穢八斎會、です。”
その聞きなれない言葉に眉を寄せる。
チラリと周りを気にしてみるものの、今は授業中…私以外に人影はない。
それを確認してから、その名前を聞き返せば電話の向こうで伊弦太一が大きく息を吐いたのが分かった。
“死穢八斎會は裏稼業を生業としているヤクザです。かなり名の知られた組なのでプロヒーローのイレイザーさんなら分かるかと…。”
「伊弦竜二はそこの組員に…?」
“はい、苗字さんがカラスの刺青が入っていたと言っていたのでまさかと思って調べてみたら…。でもおかしいんです、竜二が死穢八斎會に入るはずがない。”
「それは、どういう意味ですか?」
“…死穢八斎會は俺たちの両親が世話になっていた組なんですけど、その両親はソイツらに裏切り者として殺されたんです。”
「!」
“だから竜二が死穢八斎會の下につくなんて考えられないんですけど…。”
そう言って無言になる伊弦太一に、とりあえず消太に相談してから掛け直すと伝えて通話を切る。
まさかここにきて裏稼業系の名前が出てくるとは思わなかった。
「消太、最近忙しそうだしな…。」
出来ることなら自分だけで解決したい。
けど、さすがに裏稼業相手に私1人が出しゃばっても危険なだけだし意味もないだろう。
つまり結局のところ私には消太に相談するという手しかない訳で、その事実が何だか虚しかった。
「名前。」
「!…あれ、消太だ。授業は?」
「もう終わった。ランチラッシュのところ行って昼飯食うぞ。」
「あ、待って待って。その前に消太に話さなきゃいけないことがあるから。」
「!…何だ。」
「さっき伊弦太一から連絡があってね、弟の居場所が分かったって。」
私がそう話したら途端に眉間の皺を寄せる消太に思わずクスクスと笑ってしまう。
無愛想だとかポーカーフェイスだとか言われる消太だけど、私はそんな事ないと思う。
笑う時は笑うし、怒る時は怒る。
それに、寂しい時は寂しいって顔をするから。
「寂しい?」
「…まァな。」
「でも一筋縄じゃいかなそうだよ。」
「どういう意味だ?」
「伊弦の弟、ヤクザの組員になってるんだって。」
「ヤクザ…?」
「死穢八斎會ってところにいるらしいよ。消太なら知ってるんじゃないかって伊弦がーー…消太?」
私が出した死穢八斎會の名前に今度は目を見開く消太にどうしたのだと首を傾げる。
なんだかひどく驚いているみたいだ。
そう思いながら消太の目の前まできて顔を覗き込めば相手は誤魔化すようにフイッと視線をそらした。
「また面倒な事になったな…。」
「消太?」
何が面倒なのだと問いただしても、消太は少しだけ待っとけとしか返事をしない。
何やら分からないが面倒な事になったということだけは分かった。
そう考えた時に私のお腹がグルグルと鳴り、とりあえず今はお昼ご飯が優先だと消太の腕を引いて食堂へと向かいました。
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