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リスタート
おなまえは?
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急いで階段を降りる。
いつも制服を着ていたせいで私服を選ぶのに時間がかかってしまった。
「消太!遅くなってごめんね!」
「!…着替えるだけで何分かかってんだ。」
「だって、外に出るの久しぶりだもん。」
こっちの世界に来て、雄英高校以外の場所に行くのはヒーロー科の仮免試験について行った時以来だ。
しかもあの時は猫の姿だったし…。
それに、私より12歳も上の消太の隣を歩くのだからそれなりの格好しないと。
「パパ活と間違えられちゃうかもしれないでしょ?」
「おい、いつそんな言葉覚えたんだ。」
「最近見たドラマでやってたの。私の時代だと援助交際って名前だったのにさ、ずいぶん可愛い名前になったよね。」
「…余計な知識はつけるな。」
明らかに不快だ、という顔をする相手に適当に頷きながら雄英高校を出る。
正門の前には消太が事前に呼んだであろうタクシーが止まっていて、私たちが近づくと後部座席の扉がガチャリと開いた。
「名前、学校外ではヒーロー名で通す。」
「あ、そっか。消太もプロヒーローだもんね?」
「それだけじゃない。今からお前を攻撃したヴィランに会いに行くんだ、身元が分かるような情報は伏せておくべきだろうが。」
「ん…そうだね、イレイザーの言う通りだ!」
“気をつけます!” とわざとらしく敬礼をすればタクシーの運転手さんが急かすように咳払いを零す。
せっかく扉を開けてくれていたのに申し訳ない。
そう思ってペコリと頭を下げれば、運転手さんもペコリと会釈を返してくれた。
「お客さん方、行き先はご予約いただいた工場で変わりありませんか?」
「あぁ。」
「よろしくお願いします!」
「はい。」
バタンっ…と扉が閉じて、エンジン音と共にタクシーがゆっくりと動き出す。
チラリと隣を見れば消太は既に目を閉じていて、寝るにしても早過ぎないかとつい苦笑いを漏らしてしまった。
「お客さん雄英高校の人?」
「あ、いえ…所用で寄っただけなんです。(余計なことは言いふらすなって消太言ってたもんね。)」
「へぇ、若いからてっきり学生さんかと思ったよ。ほら今年の雄英高校は色々イレギュラーだろ?」
「そうですね。」
「雄英高校体育祭も今年は盛り上がったしねぇ!俺は1年生の戦いが1番好きだったよ!青臭くてさ!」
“騎馬戦なんて大どんでん返しだし!”
明らかに熱の篭もったその言葉に、体育祭の映像ちゃんと見てないんだよなぁと心の中で呟く。
話なら生徒たちからも先生達からも聞いていたが、騎馬戦の事はあまり触れていなかった気がする。
「(今日帰ったら消太にお願いしてみようかな。)」
「お客さん?」
「なんでもないです、そのまま続けてください。」
心配そうに眉を寄せる運転手さんにそう呟くと彼は嬉しそうに頬を緩める。
そして再び始まったタクシー運転手さんの雄英高校話は目的地に着くまで延々に続きました。
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