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キラキラヴェール
おなまえは?
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彼女はまさに光のような人だった。
といっても太陽のような輝きはなくて。
夜空で控えめに光る、月のような人。
「君が、鷹見啓悟くん?」
「!」
「あ、急にごめんね?私は苗字 名前。君と同じでココ(公安)に保護されてるの。」
「同じ・・・?」
「うん、同じ。」
“仲間、なんてカッコイイ名前の方がいいかな?”
そう言って笑った彼女は俺といつも一緒だった。
年齢は3つくらい彼女が上。
だけどそんなの俺達には関係なくて。
一緒に勉強して、一緒にご飯を食べて、一緒に眠る日だってあったんだ。
「関係・・・?」
「そう、俺たちの関係。」
「仲間?」
「それ以外で。」
「んー・・・なら、家族?」
「それは嫌かな。」
「なんでよー。」
「家族は、なんか嫌だから。」
「家族ならずっと一緒に居られるのに?」
その彼女の言葉に俺は口どもった。
ずっと一緒に居られる?
それなら家族でもいいのかな?
そう思っていたけど、やっぱりそうじゃなかったんだって理解出来た時にはもう手遅れで。
「あ、啓悟。」
「・・・馬子にも衣装。」
「ちょっと聞き捨てならないな。」
「ウソウソ、すごい似合ってる。」
「!・・・おう。」
素直に褒めれば恥ずかしそうに顔を背ける彼女の周りで揺らめくキラキラのヴェール。
この日のためにと伸ばした髪の毛は頭上で綺麗にまとめられ、フワリと花のいい香りがした。
あぁ、本当に綺麗だ。
「ドレス、自分で決めたの?」
「彼が決めたよ?私はセンスがないんだって。」
「どうりで。名前が決めたにしてはセンスのあるドレスだと思ったよ。」
「私のセンスってそんなに酷いかな?」
「ひどいね。」
「うわ、そういう啓悟のが酷い。」
「でも・・・俺は意外と好きだよ。名前のよく分かんないけど派手なセンス。」
「あははっ、ありがとう。昔からそう言ってくれるのは啓悟だけだよ。」
彼女はいつもと同じように笑っているのに・・・いつもと違うように見えるのは、そのキラキラ光るヴェールのせいだろうか?
それとも、見慣れない化粧姿だからだろうか?
「(それとも・・・。)」
「啓悟、携帯鳴ってるよ。」
「あ、あぁ・・・。」
画面を開けば事務所からの連絡。
今日は冠婚葬祭でヒーロー業は休むと伝えてあったのに、そのメッセージには応援要請の文字。
こんな日にまでヒーローはヴィラン退治をしなければならないのか。
「啓悟?」
「(いや、違うな・・・。こんな日だからこそ、か。)」
「おーい?」
「・・・名前。」
「?」
携帯をポケットに戻して、息をつく。
俺と彼女の前に揺らめくヴェールが、どうにも邪魔くさく感じてしまった。
「ッ・・・・・・。」
「おっ・・・な、なに?」
ヴェールに手を伸ばして途中まで持ち上げる。
けど、自分の中の頑固な理性が、これ以上はダメだと言っていた。
「・・・おめ、でとう・・・。」
「え・・・?」
「おめでとう、名前。」
“どうぞ、お幸せに。”
そう呟いて、俺は彼女の控え室を後にした。
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