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胡散臭い男
おなまえは?
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いつもニコニコと不敵な笑顔を貼り付けた男。
最初はそんな印象だった。
「貴女が名前サンっスね?」
「はぁ…。」
「あのマユリサンが唯一使える技局員だと話すものだから一度お会いしてみたかったんスよ。」
「…涅隊長なら奥の研究室です。」
それじゃ、と呟いてその場を立ち去ろうとすれば咄嗟に掴まれる右手。
それに驚いて振り向けば、相手は帽子の隙間から覗かせた瞳をキラリと光らせた。
「お茶、しません?」
「結構です。」
「その即答、いっそ清々しいっスねぇ。」
「余計なことに時間を使いたくないので。」
「まぁまぁ、たまには息抜きも必要っスよ?
研究者に必要なのは適度な追い込みとしっかりとした休暇ですから。」
“て訳で行きまショ!” と私の腕を引っ張るその人は意外にも力強くて、振り解けない手を睨みながら私は仕方なく自分の足を動かした。
浦原 喜助。
百年近く前に禁忌を犯して、現世への永久追放となった元十二番隊隊長。
だけどその全てが実は元五番隊隊長の藍染惣右介の企みだったと分かったことで、彼の追放令は解かれた。
かと言って彼が護廷隊や技局に帰ってくる事はなく、今も現世で駄菓子屋の店長をしている…なんて噂を私も耳にはしていた。
「いやァ、懐かしいっスねぇ!」
「(こんな自由奔放な人だって話はまったくもって聞いてなかったけど…。)」
「こっちに来ることはあっても仕入れくらいで、ゆっくり見て回るなんて百年ぶりっス!」
「…そう、ですか。」
呆れたように私が息を吐けば、何故か嬉しそうに私の頭を撫でる浦原喜助さん。
正直、同じ研究者として憧れはあった。
涅隊長が僻むほどの天才。
こっそり古株の阿近さんからそんな話が出るたびに一度でいいから会ってみたいと心を震わせた。
どんな見た目をしているのだろう。
髪の色は?身長は?
どんな声で、どんな喋り方をするのだろう?
そんな妄想を繰り返し、見事に私の初恋相手となったその人が今目の前にいる。
「あ、名前さんお団子食べまセン?」
「…食べます。」
「じゃあオススメのお店紹介しまスよ。」
そう言ってまた私の手を引くその胡散臭い男に、ユラユラと感情が揺らめくのは仕方のないことだ。
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