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入学準備!
おなまえは?
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雄英高校一般入試から1週間後。
雄英からの手紙を開ければ、丸い小さな機械から映像が映し出される。
そこにはオールマイトさんが映っていて、もちろん合格だと笑っていた。
「…のに、なぜ未だ落ち込み続ける…。」
「あれは、ほら…映像だから…?それに、別に落ち込んでなんて…ないさ…HAHAHA…。」
「(めんどくさい…。)」
入試の日の朝に見送れなかったことがショックだったらしいオールマイトさんが床をいじいじと弄る。
最近家にいる時はこればっかりで、見送れなかったことがショックだったのか置いていかれたことに怒っているのか分からない。
「何でもいいけどオールマイトさん今日は緑谷君と会うって言ってなかったっけ?」
「!」
「時間大丈夫?」
「シット!私とした事が自分の不甲斐なさを考えていたせいで約束の事を忘れてしまっていた!!」
「いってらっしゃい、オールマイトさん。」
フリフリと手を振って見送れば、一度玄関まで行ったオールマイトさんが再びズカズカと戻ってくる。
そして少しだけ私の顔を見つめると、その大きな手で私の身体をギュッと抱きしめた。
「!オールマイトさん…?」
「すまない名前君、君を幸せにすると言いながら自分の都合ばかり優先してしまっている…。」
「……仕方ないよ。オールマイトさんは平和の象徴でNO.1ヒーローなんだもん。」
「しかしッーーー。」
「私は、あの日オールマイトさんが手を差し伸べてくれたことで幸せになれたんだよ。」
「!」
「今も幸せ。だから、オールマイトとしての仕事をしてきてくれればいいんだよ。」
“次世代のヒーローを導いてあげて。”
そう言って笑えば、オールマイトさんが眉を寄せながら静かに頷く。
そんな彼を玄関まで見送ってから相変わらず何もかも背負い過ぎる人だと息を吐いた。
「(わたしとの時間なんて、これからたくさん出来るんだから。)」
あの人の中から少しずつ、少しずつONE FOR ALLが消えていって。
いつか無個性の八木俊典という人になって。
今まで抱えていた重圧が無くなると共に、それ以上の喪失感を味わう未来がすぐそこまで来ている。
その時に隣にいて、一緒に笑い合えるのは私だ。
オールマイトさんの家族として、一緒に生きていこうと手を差し伸べられるのも。
「だからいつか来るその時まで、全力で駆け抜けてくださいよ…オールマイト。」
オールマイト本人には言えない言葉が部屋の中に溶けて消えていく。
とりあえず夜ご飯でも作ろうか。
あの人が帰ってきた時に温かいご飯をたくさん食べられるように。
そう呟いた私の頬はいつもより少しだけ緩くなっていたに違いない。
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