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プロローグ

昔々のこと、とある廃墟に人間の女性が一人住んでいた。
彼女は何の変哲もないただの博士だったのだが、いつからかその廃墟に住み着くようになり、その変わった見た目のせいか彼女は【マッドサイエンティスト】と恐れられ、しまいには誰とも関わることがなくなってしまった。

「全く、迷惑極まりないね。なんだって、僕が人間なんかの世話をしなきゃいけないんだか」

そんなどこか怪しい女のいる街の上空、不意に、何の前触れもなく暗闇から男が現れた。大きな三角帽を被った全身黒尽くめのその男は、出てきた位置から少しも動かないまま、つまりは宙に浮いたまま、どこからか取り出した本を開くと、ぶつくさと文句を言い始めた。

「彼女の生まれは推定……二百年以上前?!あーそう、彼女ももうバケモノ側なのかい。それで?彼女の罪は、……おいおい冗談じゃない!彼女一人で終わりじゃあないのか!」

そうして、男は空が明るくなる直前まで本を破らんばかりに誰にでもなく騒ぎ続けると、はあっと溜め息をついて、これまたどこからか取り出した杖を一振りして消えていった。
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