雑多な倉庫(短編)
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『暇だね〜…』
「ね……」
『何かやる?』
「ん〜ゲームも飽きたしなぁ」
『じゃあ散歩でも行く?』
「いいよ、俺着替えてくるね」
と、なんとまぁのんびりとした様子で、今日の午後の予定は散歩に決まったようです。
2人でぶらりと赴くままに歩いていると、いつの間にか近所の川沿いに着いていた。
「なんか最近急に暑くなったから着る服がなくてさ」
『確かに、衣替えしないとそろそろきついね。川遊びしたら涼しそう〜』
手でぱたぱたと扇ぎながら並木の下を歩いていく。さわさわと吹いていく風が心地いい。
「あ!あそこ!かき氷だって!」
弟者が指さした方を見ると、風鈴が飾ってあるこじんまりとしたお店だった。
『へぇー!あんな所にお店出来てたんだね!行ってみよ!』
「うん!暑かったしちょうど良い」
2人でウキウキしながら暖簾をくぐると木造のいい匂いが鼻をくすぐった。それぞれいちごミルクとメロンソーダを頼む。外の木陰のベンチに腰掛けて、1口含むとメロンの風味がしゅわっと溶けていった。
「やっぱり爽やかで美味しいねー!」
『暑い時はこれに限るよ』
サラサラと流れる川を眺めながらのんびり食べ進んでいると、ふいに、あっと弟者が呟いた。
『ん?どーした?』
「いや… あきさ、こっち食べない?てか、食べて。俺そっちがいい」
言うが早いか私のカップをひょいと取ると、大口でかき込むように食べる弟者をぽかんと見つめる。
『お、弟者そんな食べると頭痛くなるよ』
「大丈夫、大丈ぶっ…!ひぐっーーーーーーー!?」
『ほーら言わんこっちゃない』
だって…と涙を浮かべて蹲る弟者。
しゅんと項垂れる犬耳が見えるようでなんとも可愛らしい。
『ん!いちごミルクも美味しい!メロンソーダも食べたかったんならもう一個頼めば良かったのに』
「だって、あきの舌がおついちさんの色だったの嫌だったから…」
唇をとんがらせていじける弟者に、嬉しくなって、とんっともたれ掛かる。
『嫉妬したんだ?』
「そ、そりゃするでしょ!」
『ふーん、いくら嫉妬しても私は弟者一筋なんだけどな』
ニコッと笑ってみせると、ぶわわっと真っ赤に染まっていく顔がまた可愛らしくて癖のある髪を撫でる。
「っ……もー!あきそれずるいって!」
『あっ弟者!だからそんなにかっこんだらっ』
「い゛っっっでーーー!」
『なにやってんの弟者は』
賑やかな笑い声は、いつしか川のせせらぎに静かに吸い込まれていった。風鈴がチリン、とゆっくり揺れた。