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キーンコーンカーンコーン
今日もいつもと変らないチャイムが校内に響き渡る。
遠くの方からガラガラと扉が開く音がし、次いで階段を競うように駆け降りる音が反響する。「走らない!」とキツい先生の声と「はーい」といかにも反省してなさそうな男子の声を聞きながら、私は黒板に書かれた最後の文章を写していた。これで終わり…と思いきやまだ進めようとする先生に教室の誰かが指摘するように声をかけ、やっとお昼の時間。
「ねね、あきさん」
ざわざわと騒がしい教室で一番に声をかけに来る人は片手で数えられるくらいだ。
『どうしたの?弟者君』
「あきさんって放課後用事ある?」
『特にないけど…もしかして』
「古文教えてください!」
『やっぱり』
私は彼に時々古文を教えている。その代わりに私は弟者君から英語を教えてもらっていて、所謂win-winの関係だ。
『今からでもいいよ。お昼食べたら暇だし、』
「い、いや、その昼は俺遊ぶ約束してるから放課後がいい!です」
『?了解。じゃあまた後でね』
急にでかい声を出すもんだからびっくりした。いつもならこっちが話し終わるまで待ってくれるのに今日はやけに焦ってたなぁ。遊ぶ約束があるらしいからそれで急いでたのかな。なんて考えながらトントンと階段を下りていく。
目指すは食堂。
お弁当は持ってきているが教室より広くて居やすいので、入学してからずっとここで食べている。
「あき~!こっちこっち」
呼ばれて振り向くといつも仲良くしている梨花が手を振っていた。隣には、もうお弁当の半分を平らげた京香も。
「お疲れ~次の授業ってなんだっけ」
『体育』
「げ、私体育着持ってくるの忘れたわ。後でD組に借りに行くのついてきてよ」
『いーよー。ってか京香食べるの早くない?』
「委員会の話し合いがあるから行かなきゃなんだよね……待って今何時、12時半?!もう時間じゃん!お先ごめんよ!」
『おーう、行ってら!頑張ってね』
「ファイトー!」
忙しそうな京香を見送っていざ食べようとすると、梨花がこれはこれは気色悪い笑みを浮かべてゲンドウポーズをしていた。
『…あんたそんな顔してるから彼氏できないんだよ』
「ひどっ。てかさ~見ちゃったのよ、私」
『何を』
母特性の玉子焼きをほおばる。お砂糖が効いててめっちゃおいしい。
「弟者君と話してる、あ、な、た、を!」
『彼とはいつも話してるけど』
「違うよ!弟者君の表情見た?!あれは今まで見たこともない顔してたよ」
『うーん、そうかな』
「そうだよ!あれはかんっぜんに好きだよ!あきのこと!」
思いもよらない方向にたこさんウィンナーが気道に入りそうになる。は?弟者君が、私のこと、好き?
『いやいやいやありえないから』
そうだった
梨花は大のゴシップ好き。学校中のカップル事情を把握しており、誰が別れたか、付き合っているのか、恋人になりそうな組までも彼女の頭にインプットされている。学校の色恋沙汰はすべて彼女に聞けば分かるほど。そしてもっと厄介なのが、彼女の情報発信能力。どんなに些細な噂でも一日もあれば学年中に広がっているのは梨花のせいだといっても過言ではない。
ともかく、彼女のリストの中に私が、しかも弟者君と一緒に入れられるなんて何としても避けたい。
『あのねぇ、お互いただ勉強教えてちょっと世間話してるだけだからそんな大層な感情はないですよ。ないない』
「え~」
不満そうに口を尖らせる梨花を横目に最後の一口を放り込む。
『まだそんなつまらないこと言うんだったら体育着借りに行くの手伝ってあげなーい』
「うそうそ!もう言わないから」
ね、お願い。と手をすり合わせて懇願する梨花を眺めながら放課後残る場所を考える私だった。
----------------------------------------------------------------------------
キーンコーンカーンコーン
またチャイムが校内に響きわたる。
京香と梨花には居残る用事があるといって、そのまま教室で別れた。梨花がまたニヤニヤしていたので思いっきり冷めた目で見てやると、生まれ落ちた小鹿のように体を震わせながら京香に引きずられて出て行った。
掃除が終わるまでSNSをいじっていると、
「あきさん!」
『あ、弟者君。今日どこでやろうか』
スクールバッグを肩にひっかけて彼が勢いよくやってきた。
「えっと、今日は外でやろうかなって…どう、かな」
『外って喫茶店とか?』
「そうそう!あったかいの飲みながらできるしちょうどいいかなって」
『いいよ!そうしよう』
ちょっと待ってね、と言って私もカバンに教材を詰めていく。後ろの方でそわそわと揺れながら待っている彼が、なんだか犬が散歩を待っているように見えて、彼に見えないようにこっそり笑う。ガタイが大きい癖に人懐っこいので外見と中身のギャップが凄まじい。一年の時は密かに「巨人」とあだ名をつけていたのは内緒だ。
『よしっじゃあ行こっか』
弟者君の後ろで尻尾がブンブンと振れて見えたのは気のせいだろう。
----------------------------------------------------------------------------
どうも様子がおかしい。
『誰かからメール来たの?』
「え…っと、き、企業メールだった。最近多いから嫌になるよねっ」
『確かに最近すごいよね。私もこれ全部企業メール』
「一千件も?!」
電車の中でも
『あれ?ここのス○バ行かないの?』
「あーーーーっとぉ、あ!最近新しい喫茶店見つけて、よさげだったからそこに行こう!」
『新しいのか~いいね、楽しみ!』
と、このようになんとなく話を合わせているが、弟者君の謎の動揺が隠しきれていない。さっきからそわそわ、カコカコとスマホを出したりしまったり、誰かに返信していたり。思い返せば今日の昼から様子がおかしかった。何かあるのだろうか。私としてはめちゃくちゃ気になるけれど、個人的なことかもしれないし、明日何気なく聞いてみるのもいいかもしれない。とりあえず、今は触れないことに決定して、しばらく電車に揺られていると、目的の駅に着いたらしい。
『うわぁきれい…』
駅を出ると道の両側にイルミネーションが煌びやかに輝いている。そういえば今日はクリスマスだったっけ。スマホを取り出してパシャリと一つ。うーむ絵になる。
『そのおすすめの喫茶店ってどこにあるの?』
「ここをまっすぐ進んで曲がったところ」
『じゃあイルミネーション見ながら行けるね…ってどうした』
「え、何かついてる?」
いや、さっきと違って目が座っているのだが?!怖い、そのガタイでその顔は犯罪級に怖いぞ弟者君。
『いや、やっぱ何でもないよ』
その後、私たちはクリスマスに彩られた街をゆっくり歩き、勉強だったりゲームの話をしているうちに弟者君も普段通りに戻っていた。そのまま歩き続けていると少しスペースの空いたところに出た。ベンチやら花壇があるところから察するに、こぢんまりとした公園だろう。ここにもサンタとそれを乗せるトナカイのイルミネーションが光っている。
「ここで少し休もう」
弟者君の提案に賛成して、ベンチに腰掛ける。
「俺、何か買ってくるよ。あきさんは何がいい?」
『えっと、じゃあ午〇の紅茶で』
「分かった!」
たたた…と駆けていく背中をぼーっと見送る。そういやこれから喫茶店行くのに飲み物頼んじゃった。ていうかちゃっかりおごってもらってるし、あとで返さないと。
買ってくる割には遅い。事故かトラブルがあったのだろうか。冷えてきた耳を温めながらはぁ、と息を吐く。真っ白なけむりは暗くなってきた空に朧げに散っていく。やっぱり心配になってスマホを取り出して、電話をかけようとしたその時、遠くに見慣れた姿をとらえた。
「ご、めん!」
缶コーヒーと紅茶を抱えて走ってきた弟者君はその勢いのままドカリと隣に座る。
「はい、これで良かったよね」
『うん、ありがとう。随分遅かったけど大丈夫だった?』
彼は明後日の方向に顔を背け…手元の缶コーヒーを一気に飲み干した。
「あきさん!!」
『は、はい!』
切羽詰まった声に思わず居ずまいを正してしまう。
「……………そ、の俺と」
ごくりとのどが鳴る。弟者君のコーヒーは彼の手の中でくしゃくしゃになっている。
「……………俺とっ!付き合ってください!!!!」
『…………….は?』
ガバッと頭を下げて弟者君はそう言った。
急展開過ぎてついていけない。世界のすべての音がさぁっと遠ざかる。今、付き合ってください、と。そう聞こえたような。そ、そもそも、弟者君が、私のこと、好き………?
『え、弟者君、私のこと、す、好き、なの?』
確認しないと。もしかしたら罰ゲームかもしれないし…そんな私の思いを否定するかのように弟者君は頭を下げたまま頷く。あまりの衝撃に目の前が真っ白になる。頭の中がごちゃごちゃになって……………
「……あき、さん?」
弟者君の呼びかけに、やっと現実に戻ってこれた。
「返事、もらえると嬉しい、です」
こんなに真剣に言われたら、いろいろ考えても答えは一つしか浮かばなかった。
『よろしくお願いいたします』
よもや自分が告白されるなんて。OKの返事をしたとたん、一気に顔が熱くなる。
手を差し出すと、弟者君と握手するように握った。そのぎこちなさと不自然な感じにプッと吹き出すと弟者君も安心したように笑い出した。
「今日からよろしくね、あきさん」
『うん、今まで彼氏とかいたことないから慣れないこともあるけど…』
そういうと、弟者君はびっくりしたように
「じゃあ俺が初?てっきり付き合ったことあったのかと思ってた」
『私にいたと思う?』
「うん、だってあきさん可愛いもん」
冗談言わないでよ。と叩いた背中が幸せそうに揺れた。
梨花に速攻でばれて、口封じにお昼をおごったのはその後の事である。
今日もいつもと変らないチャイムが校内に響き渡る。
遠くの方からガラガラと扉が開く音がし、次いで階段を競うように駆け降りる音が反響する。「走らない!」とキツい先生の声と「はーい」といかにも反省してなさそうな男子の声を聞きながら、私は黒板に書かれた最後の文章を写していた。これで終わり…と思いきやまだ進めようとする先生に教室の誰かが指摘するように声をかけ、やっとお昼の時間。
「ねね、あきさん」
ざわざわと騒がしい教室で一番に声をかけに来る人は片手で数えられるくらいだ。
『どうしたの?弟者君』
「あきさんって放課後用事ある?」
『特にないけど…もしかして』
「古文教えてください!」
『やっぱり』
私は彼に時々古文を教えている。その代わりに私は弟者君から英語を教えてもらっていて、所謂win-winの関係だ。
『今からでもいいよ。お昼食べたら暇だし、』
「い、いや、その昼は俺遊ぶ約束してるから放課後がいい!です」
『?了解。じゃあまた後でね』
急にでかい声を出すもんだからびっくりした。いつもならこっちが話し終わるまで待ってくれるのに今日はやけに焦ってたなぁ。遊ぶ約束があるらしいからそれで急いでたのかな。なんて考えながらトントンと階段を下りていく。
目指すは食堂。
お弁当は持ってきているが教室より広くて居やすいので、入学してからずっとここで食べている。
「あき~!こっちこっち」
呼ばれて振り向くといつも仲良くしている梨花が手を振っていた。隣には、もうお弁当の半分を平らげた京香も。
「お疲れ~次の授業ってなんだっけ」
『体育』
「げ、私体育着持ってくるの忘れたわ。後でD組に借りに行くのついてきてよ」
『いーよー。ってか京香食べるの早くない?』
「委員会の話し合いがあるから行かなきゃなんだよね……待って今何時、12時半?!もう時間じゃん!お先ごめんよ!」
『おーう、行ってら!頑張ってね』
「ファイトー!」
忙しそうな京香を見送っていざ食べようとすると、梨花がこれはこれは気色悪い笑みを浮かべてゲンドウポーズをしていた。
『…あんたそんな顔してるから彼氏できないんだよ』
「ひどっ。てかさ~見ちゃったのよ、私」
『何を』
母特性の玉子焼きをほおばる。お砂糖が効いててめっちゃおいしい。
「弟者君と話してる、あ、な、た、を!」
『彼とはいつも話してるけど』
「違うよ!弟者君の表情見た?!あれは今まで見たこともない顔してたよ」
『うーん、そうかな』
「そうだよ!あれはかんっぜんに好きだよ!あきのこと!」
思いもよらない方向にたこさんウィンナーが気道に入りそうになる。は?弟者君が、私のこと、好き?
『いやいやいやありえないから』
そうだった
梨花は大のゴシップ好き。学校中のカップル事情を把握しており、誰が別れたか、付き合っているのか、恋人になりそうな組までも彼女の頭にインプットされている。学校の色恋沙汰はすべて彼女に聞けば分かるほど。そしてもっと厄介なのが、彼女の情報発信能力。どんなに些細な噂でも一日もあれば学年中に広がっているのは梨花のせいだといっても過言ではない。
ともかく、彼女のリストの中に私が、しかも弟者君と一緒に入れられるなんて何としても避けたい。
『あのねぇ、お互いただ勉強教えてちょっと世間話してるだけだからそんな大層な感情はないですよ。ないない』
「え~」
不満そうに口を尖らせる梨花を横目に最後の一口を放り込む。
『まだそんなつまらないこと言うんだったら体育着借りに行くの手伝ってあげなーい』
「うそうそ!もう言わないから」
ね、お願い。と手をすり合わせて懇願する梨花を眺めながら放課後残る場所を考える私だった。
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キーンコーンカーンコーン
またチャイムが校内に響きわたる。
京香と梨花には居残る用事があるといって、そのまま教室で別れた。梨花がまたニヤニヤしていたので思いっきり冷めた目で見てやると、生まれ落ちた小鹿のように体を震わせながら京香に引きずられて出て行った。
掃除が終わるまでSNSをいじっていると、
「あきさん!」
『あ、弟者君。今日どこでやろうか』
スクールバッグを肩にひっかけて彼が勢いよくやってきた。
「えっと、今日は外でやろうかなって…どう、かな」
『外って喫茶店とか?』
「そうそう!あったかいの飲みながらできるしちょうどいいかなって」
『いいよ!そうしよう』
ちょっと待ってね、と言って私もカバンに教材を詰めていく。後ろの方でそわそわと揺れながら待っている彼が、なんだか犬が散歩を待っているように見えて、彼に見えないようにこっそり笑う。ガタイが大きい癖に人懐っこいので外見と中身のギャップが凄まじい。一年の時は密かに「巨人」とあだ名をつけていたのは内緒だ。
『よしっじゃあ行こっか』
弟者君の後ろで尻尾がブンブンと振れて見えたのは気のせいだろう。
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どうも様子がおかしい。
『誰かからメール来たの?』
「え…っと、き、企業メールだった。最近多いから嫌になるよねっ」
『確かに最近すごいよね。私もこれ全部企業メール』
「一千件も?!」
電車の中でも
『あれ?ここのス○バ行かないの?』
「あーーーーっとぉ、あ!最近新しい喫茶店見つけて、よさげだったからそこに行こう!」
『新しいのか~いいね、楽しみ!』
と、このようになんとなく話を合わせているが、弟者君の謎の動揺が隠しきれていない。さっきからそわそわ、カコカコとスマホを出したりしまったり、誰かに返信していたり。思い返せば今日の昼から様子がおかしかった。何かあるのだろうか。私としてはめちゃくちゃ気になるけれど、個人的なことかもしれないし、明日何気なく聞いてみるのもいいかもしれない。とりあえず、今は触れないことに決定して、しばらく電車に揺られていると、目的の駅に着いたらしい。
『うわぁきれい…』
駅を出ると道の両側にイルミネーションが煌びやかに輝いている。そういえば今日はクリスマスだったっけ。スマホを取り出してパシャリと一つ。うーむ絵になる。
『そのおすすめの喫茶店ってどこにあるの?』
「ここをまっすぐ進んで曲がったところ」
『じゃあイルミネーション見ながら行けるね…ってどうした』
「え、何かついてる?」
いや、さっきと違って目が座っているのだが?!怖い、そのガタイでその顔は犯罪級に怖いぞ弟者君。
『いや、やっぱ何でもないよ』
その後、私たちはクリスマスに彩られた街をゆっくり歩き、勉強だったりゲームの話をしているうちに弟者君も普段通りに戻っていた。そのまま歩き続けていると少しスペースの空いたところに出た。ベンチやら花壇があるところから察するに、こぢんまりとした公園だろう。ここにもサンタとそれを乗せるトナカイのイルミネーションが光っている。
「ここで少し休もう」
弟者君の提案に賛成して、ベンチに腰掛ける。
「俺、何か買ってくるよ。あきさんは何がいい?」
『えっと、じゃあ午〇の紅茶で』
「分かった!」
たたた…と駆けていく背中をぼーっと見送る。そういやこれから喫茶店行くのに飲み物頼んじゃった。ていうかちゃっかりおごってもらってるし、あとで返さないと。
買ってくる割には遅い。事故かトラブルがあったのだろうか。冷えてきた耳を温めながらはぁ、と息を吐く。真っ白なけむりは暗くなってきた空に朧げに散っていく。やっぱり心配になってスマホを取り出して、電話をかけようとしたその時、遠くに見慣れた姿をとらえた。
「ご、めん!」
缶コーヒーと紅茶を抱えて走ってきた弟者君はその勢いのままドカリと隣に座る。
「はい、これで良かったよね」
『うん、ありがとう。随分遅かったけど大丈夫だった?』
彼は明後日の方向に顔を背け…手元の缶コーヒーを一気に飲み干した。
「あきさん!!」
『は、はい!』
切羽詰まった声に思わず居ずまいを正してしまう。
「……………そ、の俺と」
ごくりとのどが鳴る。弟者君のコーヒーは彼の手の中でくしゃくしゃになっている。
「……………俺とっ!付き合ってください!!!!」
『…………….は?』
ガバッと頭を下げて弟者君はそう言った。
急展開過ぎてついていけない。世界のすべての音がさぁっと遠ざかる。今、付き合ってください、と。そう聞こえたような。そ、そもそも、弟者君が、私のこと、好き………?
『え、弟者君、私のこと、す、好き、なの?』
確認しないと。もしかしたら罰ゲームかもしれないし…そんな私の思いを否定するかのように弟者君は頭を下げたまま頷く。あまりの衝撃に目の前が真っ白になる。頭の中がごちゃごちゃになって……………
「……あき、さん?」
弟者君の呼びかけに、やっと現実に戻ってこれた。
「返事、もらえると嬉しい、です」
こんなに真剣に言われたら、いろいろ考えても答えは一つしか浮かばなかった。
『よろしくお願いいたします』
よもや自分が告白されるなんて。OKの返事をしたとたん、一気に顔が熱くなる。
手を差し出すと、弟者君と握手するように握った。そのぎこちなさと不自然な感じにプッと吹き出すと弟者君も安心したように笑い出した。
「今日からよろしくね、あきさん」
『うん、今まで彼氏とかいたことないから慣れないこともあるけど…』
そういうと、弟者君はびっくりしたように
「じゃあ俺が初?てっきり付き合ったことあったのかと思ってた」
『私にいたと思う?』
「うん、だってあきさん可愛いもん」
冗談言わないでよ。と叩いた背中が幸せそうに揺れた。
梨花に速攻でばれて、口封じにお昼をおごったのはその後の事である。