短編集
御名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
久しぶりのお家デートで、ご飯を食べてソファーに座ってゆっくりテレビを眺めていた。
「ゆっくりしてて。ちょっとだけベランダの植物に水やりしてくるから。」
「分かった。」
天佑は立ち上がる私を見上げて、ゆっくりと目を閉じた。
ベランダに出ると、私が手塩にかけて育てている植物が並んでいる。久しぶりの水やりに鼻歌混じりにジョウロに水を溜めた。
痛みがないか観察しながら一鉢ずつ確認して水を注ぐ。
「手入れちゃんとしてるんだね。」
いつの間にかベランダに来た天佑は私の隣に立ち後ろ手を回し腰辺りを、さすってきた。
「……すぐ終わるから、待ってて?」
「邪魔してないでしょ?」
「う……ん。」
引っ付かれていること以外は問題無いから、最低限の
水やりだけ済ませた。
土いじりをしたかったなと後ろ髪を引かれる思いで、チラリと植物を見て視線を天佑に向けると、満面の笑みで私を見ていた。
「…………終わったよ。」
「植物には終わった?」
「…………?」
「じゃあー、俺にも水やりしてよ。」
「…………え?」
そのままソファーの前に連れてこられて、天佑だけが座った。
「こーこ。」
トントンと指で唇を叩いていた。
「……もう。」
いつものニヤけた表情で私を見上げていた。なんか悔しい。……私ばっかり照れたり、びっくりしたり……。
そっと天佑の両頬に手を添えた。たまにはくらえ!私ばっかりドキドキしてるんだよっ。
真っ直ぐに天佑の瞳を見つめた。
「……天佑、愛してる。」
サングラス越しに少し目が見開いた気がして、私は満足気に唇を重ねた。
「………………。」
「水は足りた?」
「やるじゃん。……でも、まだ足りない。……もっと愛してるって言って?」
「……そ、そんなに言ったら言葉の重みが無くなっちゃうし、その、」
「今のはあまねが火をつけたんだから。……あまね、愛してるよ。」
「っっっっ」
言う恥ずかしさと言われる恥ずかしさは違う。
カアアアと音が出るくらい、顔が火照る。
……くぅ、やっぱり私ばかりじゃん。
「ねぇ。」
天佑は笑いながら私の手を天佑の頬に引っ張った。
「水やりの続き。……俺の事嫌い?」
悔しくて目を閉じた。……そんなこと言われたら…………無視出来ないじゃない。
「っっっっ嫌いじゃない、…………愛してる。」
私の腰辺りを引き寄せられ、もう一度唇が重なる。
舌がヌルりと弱いところを擦る様に絡められる。
ゆっくりと唇が離れた。
「……っっ。も、もういいでしょっ。」
「うん、そうだね。」
そして私の腰を引き寄せたまま、真っ直ぐ私を見た。
「ちゃーんと世話してあげないと枯れちゃうからね。」
「そんなこと知ってる。」
「植物じゃないよ、俺の事。」
冗談みたいに笑うその顔に、思わずため息がこぼれた。
「分かった、お世話します。これで枯れないでしょ。安心して。」
そう言うと、天佑はまた嬉しそうに笑った。
「俺もお世話頑張ろうかな。」
「それは…………うん。」
なんとも言えない気持ちで小さく天佑の胸を叩いた。
(終)
