○○部屋シリーズ
御名前
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「…………なんやここ。」
普通の声で呟いたが部屋に声が反響した。
辺りは全て不気味なほど真白く、床から起き上がると、すぐ後ろに春日の連れの女がまだ床で寝ていた。
しゃがみ込みじっと見ると、規則正しく肩が上下していて、長いまつ毛と薄づきのピンク色で幸せそうな顔をして眠っていた。
「おーい、起きんかい。犯すで?」
「……ん?…………んんん?ぎゃああああああああ。」
目が覚めたらしゃがみ込んで私の顔を凝視していた狂犬……真島吾朗に気が付き騒ぎながら部屋の端まで逃げた。
「な、何をするんですか、わ、私をボコボコにしても、春日さんと桐生さんがボコボコにしてくれますからね、わ、分かったら早く帰して下さい。」
「……あほらし。ここどこや?」
「……もしかして真島さんも知らないんですか?…………ごめんなさい、てっきり真島さんから連れ去られたと思いました。」
騒ぎ回っていたかと思えば、目の前に戻ってきて頭を下げてきた。
「ええで、ええで。落ち着いたらそれでええ。」
「本当にすみませんでした。お許し頂きありがとうございます。」
さっきまでは顔を青くしていたのに、今はホッとしたのか安堵の表情をしていた。
……こんなにも分かりやすい女おるんか?
「ネーチャン名前は?」
「田中あまねです。いつもは春日さんたちと一緒に過ごしています。」
「あまねチャン、ワシと戦うた?」
「いえ、一度も。……私は治療専門なので、隠れて狙われない様に逃げてます。」
「なんや……今戦こうてみるか?」
首を傾けてわざと構えのポーズを取ると、あまねは意外にも震える拳で構えらしきポーズを取って泣きそうになりながらもこちらを見ていた。
「……いつもは足手まといですけど、今は引っ張る足が無いですから。」
「………………。」
真島さんが私の事を黙って見詰めてきた所でモニターに電源が付いた。
「なんや?……【相手に背中を向けないと出られない部屋】……なんやこれ。」
「……あ、あそこにドアがありますよ真島さん。」
「……ヒヒッ、勝負の最中やろ。あまねチャン、くでぇ~。」
「っっっっ。」
あまねに向かって真っ直ぐ歩くと、あまねは泣きそうになりながら下がっていた。
「ホンマに可愛いな~、あまねチャン。」
目の前に来た所で真島さんは両手を挙げた。
「可愛いからハンデや、ええで?腹でも殴ってみぃ。」
「っっっな、な、舐めないで下さい。私だって、やれば出来るし、もしも皆が困った時は私が助けれるようにならないとっ、痛かったらごめんなさい、真島さんっっ。」
あまねは震える拳を握り締めて腕を引き、真っ直ぐに腕を伸ばし拳を当てた。
ペチッと音が鳴った。
「………………………………。」
「………………………………。」
「……あまねチャン、それはアカンで……。」
「……いつもは武器持ってますからっ」
「……武器はなんや。」
「……………………。」
あまねは絶望して自分の少し赤くなった拳を見て、顔を赤くしてしゃがみ込み手で顔を覆っていた。
「…………さっきの忘れて下さい。……皆が強すぎて、私まで強くなれた気持ちになってました……。」
「……………………。」
あまねに合わせてしゃがみ、手首を掴むとあまねは顔を上げた。
「強なりたいんか?」
「…………なりたいです。」
「ほんなら、ワシより先に背中を向けてみぃ。……強なりたい言うて、背ぇ向けられへんのはダサいで?」
あまねはモニターとワシの顔に視線を行き来させていた。
「…………怖い……です。」
「度胸試しっちゅーやつや。……なんや怖くて出来んのか?」
「出来ます!……怖いけど……。……よく考えたら真島さんならいつでも私ぐらいボコボコに出来ますよね。」
立ち上がるとくるっと直ぐにあまねは背中を向けてきた。勢いとは別で身体は小さく震え、ギュッと目をつぶっていた。
後ろからギュッと抱き締められ耳元で囁かれた。
「人を信じるのもええけど、気ぃつけなぁ……あまねチャン。足元掬われるで?」
「っっっ!?」
「あまねチャンはええ匂いがするなぁ?甘々な匂いやで?」
「真島さんっ、っっっ耳元で喋らないでっ、臭わないでっっ、くすぐったくてっ、っっっっんっ。」
「ほんならあまねチャン、背ぇ向けたるわ。」
「……え?」
ボコボコにされるか、はたまた襲われるか覚悟していたのに、私からパッと手を離ししばらくするとガチャンと鍵が開くような音がした。
「……なんや、喜ばんかい。……戦いの最中に背ぇ向けたんやで?……ワシが。」
「……え……?あっ、ありがとうございます、真島さん。」
「なんか腹減ったわ……。ワシからのご褒美や、飯行くで。」
「あ、ありがとうございます。……え?」
キョトンとしたあまねの手をしっかり握りしめ、部屋の外の荷物を回収してそのままタクシーに乗った。
「これからは神室町に来たらワシに会いに来るんやで?」
「えっ、でも、」
繋がれたままの手にギュッと力が入った。
「逃がさへんで?あまねチャン。」
(終)
