短編集
御名前
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「んー?」
「どうかしたの?一番。」
「あまねちゃん。ちょっと、動かないでくれよ?」
「?」
足を止めると一番は私の周りを顔を近づかけながらぐるぐる回り、眉間に皺を寄せていた。
「……一番?」
「んー?…………ここだ!」
「……!?やだっっ」
急に後ろから抱き着かれ、うなじ辺りに鼻を付けられた。
「これ何の匂いだ?嗅いだことねー匂いだな?すごく甘い匂いがするぜ?」
「しないっ、とりあえず離してよっ、バカ、変態っ。」
じたばたしても全くピクリともせず、寧ろギュッと抱き締められてしまった。
「離せねぇ……。俺の事はもう良いのか?捨てるのか?……いやそんな事はさせねぇ。あまねちゃんの事は離さねぇ!!」
「ちょっと一番!!やめて、よく分かんないし、離してってば。」
「もし仮に……あまねちゃんが俺以外を選んだら……俺は……俺は……。」
「もーーお、一番!……一番が1番好きだからっ。
あとパケ買いした香水を付けてみただけだから。」
「…………本当に?」
「……もう同じ事言わないから。恥ずかしいし。バカ一番っっっああああ。」
やっと開放されたと思ったら次の瞬間抱き上げられていた。
「あまねちゃん、いつもの匂いじゃねーから……ビビったぜ。」
「香水変えただけだってば。」
「本当だよな?……嘘じゃねぇよな?」
「なんで嘘つかなきゃなんないのよ。」
「……良かった……本当に。」
「心配性すぎ……。そんな所も好き……。なんでもない。」
「っっっっっあまねちゃん。」
そのままクルクルと回り、ようやく地面に足を着いたがまた抱き締められて、仕方無しに背中をポンポンした。
「すまねぇー、あまねちゃん。」
「いつもの事だから良いよ。」
「あまねちゃーん。」
「あああ、もう抱き着かないで、歩けないっ。」
「じゃあ俺がおんぶしてあまねちゃんの足になってやるぜ?」
「ねーーえ、一番!」
(終)
