短編集
御名前
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「…………桐生さーん?」
珍しく桐生さんがソファーに座っていて居眠りをしていた。
「桐生さーん!」
顔の前で手を振ってみても、まったく反応がない。
規則正しい寝息を立てている。
ジッと寝顔を眺めると、眠っているのに眉間には皺が寄っていた。
「ふふふ……、眉間に皺が寄ってますよ、夢見が悪いんですか?」
真正面に立って眉間の皺に向かって指を伸ばした。
ムニッと眉間に指が埋まり、優しく押した瞬間だった。
「!?」
手首を掴まれグイッと身体を引っ張られて、桐生さんの上に倒れ込んだ。
「……………………。」
「……………、桐生さん?」
「…………あまね……か。」
まだ眠かったのか私の顔を見るとそのまま眠り直してしまった。
「……桐生さんあの、桐生さん?」
状況は先程より不味くなった。桐生さんの上に乗り、
右手で手首は掴まれ、左手で抱き締められ全く身動きが取れなくなってしまった。
ピクリとも動かない身体に笑ってしまう。諦めて桐生さんの厚い胸板に顔を付けると、ドクン、ドクンと規則正しい鼓動が伝わってくる。私だけに聞こえてくる。
桐生さんの力が抜けるまで、ちょっとだけ……、目をつぶって…………。
「…………ん……?」
「……起きたか?」
状況が飲み込めなくて目を擦りながら首を傾げた。
「起きたならそろそろ立ち上がってもいいか?」
桐生さんの上に乗ったままの事を思い出して、一気に覚醒した。
「ご、ご、ごめんなさい。一緒に寝ちゃってました。」
慌てて飛び起きようとしたが桐生さんは私を抱き締めていたまま起きようとしていない。
「桐生さ」
「すまねぇなあまね。俺が跡を付けてしまった様だな……。」
桐生さんは握っていた方の手首を見詰めていて、確かに私の手首は赤みが残っていた。
「だ、だ、大丈夫です。すぐ赤みなんて治りますし痛みもありませんから。」
「ふ……もう少し寝るか。」
「…………?こ、こ、このままですか!?」
「冗談だ。……男の寝込みは襲わない方がいいぞ?」
からかうように笑う桐生さんを横目に、解放された手首をそっと撫でると、まだ指の熱が残っている気がした。
終
