短編集
御名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
春日さんの家に集合の時間が迫っていたので、歩いて向かっていると後ろから声を掛けられた。
「……あまね?」
「……ん?あ、トミザワさん。」
カフェのテラス席に座っていたトミザワさんの元へ向かうとポタリと雫が頬を伝った。
「冷たい……。」
「雨が降り出したな。」
「私、傘持ってます。」
あまねは鞄の中から折り畳み傘を取り出して俺の方を見ていた。
「……ああ、俺は走って行くから、あまねはゆっくり歩いて行きな?」
「濡れたら風邪をひきますから……トミザワさんが嫌じゃ無ければ一緒に行きませんか?」
普段の俺ならサクッと断れるが、あまねの断った後の悲しそうな顔を想像してしまい、断りきれずに今に至る。
あまねの持っていた傘は折り畳み傘という事もあり、小柄な女性ならピッタリだが男は別だ。
傘をさしをあまねの方に傾けるとあまねは悲しそうな顔をしてくるので仕方なく後ろからあまねを自分の方に寄せた。
「これで2人とも濡れないだろ?」
「そうですね。」
喜ぶのかと思いきや、目が泳いでいるあまねをジッと見ていると気がついてしまい、寄せた手を離して頭を搔いた。
「……なんかごめん。」
目が泳いでいでいた理由が、頬と耳元まで紅く染まっていたことが物語っていた。あまねは恥ずかしさからか少し震えていたが、しばらく歩いていると俺の方を見上げた。
「いや私が……慣れてなくて……ごめんなさい。……でも、ちょっと……雨が好きになりました。」
「………………俺も好きになったかも。」
「………………。」
「濡れちゃうから……な?」
もう一度あまねの身体を自分に寄せ、シトシト振り続ける雨を静かに見上げた。
