『最近、旅人たちの様子がおかしい』


拙者は楓原万葉。
稲妻の目狩り令が撤廃されて以降、拙者についていた箝口令も撤廃されしばらく経つ。

撤廃に協力してくれた旅人達には感謝でござるな。


先ほど旅人とは再会し、ここ最近のスメールで起こった出来事を
聞いたのでござる。
旅人はスメールでの旅でも様々な事情に巻き込まれ、大変であったとのこと。


ただしかし、旅人が少し様子がおかしかった気がしたのでござるよ。

最近は平蔵の事件に付き合った話と、今日は夜に平蔵とご飯を予定しておる。というと、少しニマニマしておった。
頑張って堪えておる様子だが、顔に浮かび出ておるぞ。旅人。
「なにかござったか？」
「いや、仲が良くてほほえましいよ。眩しいくらいだね」
と、超笑顔でござった。パイモンはあまりよくわかっていない様子であった。

近頃は様々な本が流行っていると聞いた。どうも旅人も稲妻で手に入る、とある本が気になって
これからナギと会うとのことであった。
ナギは八重堂の編集長補佐をしており、各国の八重堂本を展開するように現在奮闘していると聞いておる。
ナギと旅人は仲がいいため、何かあるのでござろう。

八重堂の出版本についてだが、
稲妻の昔物語や最近のお話をまとめたりしているコラムや、月刊稲妻現代という雑誌というもの。
稲妻の島めぐりを行えるテイワットガイドin稲妻、などなど。
他にも、転生したら雷電将軍だった。なんてものもあったでござる。
船で暇なときに読んでみたが、とても不思議な物語でござったな。

どうも拙者を題材とした本も出したいから、出しても良いかと八重堂の執筆者からも依頼もござった。。
拙者はあまり悪目立ちするのは苦手で、動きにくくなるのは勘弁。
「夢想の一太刀」を防いだという噂で持ち切りだったときは気が気でなかったでござるよ・・・。

旅人の様子が気になるが、まぁよかろう。



----------------------------------------------------------

城下町で天目流の鍛冶場を借りて、剣の調整を行おうと伺ったところ
偶然にも神里家の彩華殿とばったりお会いしたのでござる。

「おや、万葉さんではありませんか」
「これは彩華殿、先日はお世話になった」
「いえいえ、こちらこそお世話になりました。こちらには何の御用で？」
「ちょうど夜に平蔵とご飯を予定しているでござるよ。事件の手伝ってくれたお礼にということで」
「！！まぁ、そうなのですね･･･！最近はご一緒なのですか？」
「そうであるな、中々に面妖な事件の手伝いだった故に結構長く付き合ったでござるよ」
「な、なるほどです･･･！はっ、用事に遅れてしまうので私は･･･これで･･･！」
彩華は少しニマニマした顔を抑えながら去っていった

･･･急ぎの用事であっただろうに、拙者は引き留めてしまったのでござろうか。

申し訳ないなと思ってしまったが、過ぎたことは仕方ない。用事を済ませよう

----------------------------------------------------------


「やぁ、万葉。待たせたね」
「大丈夫でござるよ。」

頼んだご飯をある程度食したあとに
旅人の行動をふと思い出したのでござる。

「今日偶然にも、旅人とあったのでござるよ」
「え！相棒と！？いいなぁ～ずるいよ万葉」
「ははっ、今日はナギに大事な用があるって言っていたでござるよ」
「確かにあの子と仲いいのは知っているけど、わざわざ旅人が来る用事なんてあるんだ･･･」
「そうであるな、旅人も今日平蔵と会う約束をしておると伝えたのだが
いつも以上に笑顔でござった」
「ちょっと気になるね、それは。今日いるなら旅人の所に行ってみようよ。
おそらくナギの所にいるんでしょ。
なんだかすごい予感がするんだ」
「それは旅人たち迷惑ではなかろうか･･･」
「それならそれで仕方ないさ！行動あるのみだよ！」
「さ、さよう･･･」

残りのご飯を済ませたあと、平蔵と二人で鳴上大社へ向かった

----------------------------------------------------------

「おや、楓原万葉と鹿野院平蔵ではないか」
「やぁ、八重神子様。旅人とナギ見かけなかったかい？」

「うーむ。おるにはおるのじゃが。」
「ほんと！奥にいるよね！お邪魔するよー」
「へ、平蔵！強引はよくないぞ」

有無も聞かず平蔵は奥にあるナギの部屋へと進む、大丈夫なのだろうか


「お、おぉ･･･。まぁ、面白そうじゃから良いか」




部屋の前に来た二人、何やら旅人とナギの声が聞こえる

「････万葉が･･･平蔵くんの絡みもいいけど･･･いややっぱりおにーちゃんとの絡みが････

ぼそぼそと拙者たちの名前が聞こえる、これは聞いてよかったのだろうか。



「ナギ！旅人！！鹿野院平蔵がきたよ！！！（バーーーン！）」
勢いよく部屋のふすまを開けるとナギと旅人が本とノートを数冊見せあってた状態で固まってた
どうやら小説を見せあっていたようだ

二人とも固まっていたが、顔を赤くし、あわてて本を閉じ隠した

あぁ、これはまずい状況ではないか･･･？

「へ！！！！！！平蔵！！！！！！！」

「あけるときはノックしてよ！！！！！！！ちょっと！！！！！」


「え～～～いいじゃん！」

ズガズガと入っていく平蔵、旅人たちがあわあわとしておる

「平蔵の馬鹿！デリカシーぐらいもちなよ！」
「だって少し強引じゃないと教えてくれないでしょ。
ほら見せてよその本」
「やだ」

「こら、平蔵。旅人たちが困っておろう。強引さの度合い超えているでござるよ」
拙者は平蔵の首の襟をつかんで引き離す
「だって気になるじゃん！まぁいいや僕の推理きいてよ」

「き、聞こうじゃないの･･･」
ナギはしぶしぶと答えておった、さすがに落ち着いてきたようであるな


「一つ、万葉から聞いた旅人の反応。僕と万葉が会うという話に反応したということは
僕と万葉の関連すること。
二つ、旅人はナギと直接会う約束があり、外ではなくこの場所を選んだということは
僕たちには知られてほしくない内容という可能性が高いこと。
三つ、その小説はどこにも販売していない非売品だよね。最近八重堂に寄ったけど
そのような冊子は置いていなかった。
四つ、旅人たちの反応で本を見られたくない動作。これは僕たち、または他人に見せられるような
内容ではないこと。
最後に、八重神子が面白そうだからいいかとつぶやいていたこと。
僕の推理が正しければ、僕と万葉がやらしい事をしている小説でも作ったんじゃないかと思うんだよね。」

「なっ･･･！せ、拙者と･･･平蔵･･･？」
拙者の話と行動とひらめきでここまでわかるのでござろうか･･･って関心している場合ではなかった
頭がついていけておらぬ、なぜこのような事を･･･

「ふ、二人にはばれたくなかったのに！！！！」
旅人が恥ずかしそうにしておる、どうやら正解な雰囲気でござるな

「まぁいいよ僕は、別に販売していて、迷惑が掛かっているわけじゃないし。
･･･そんなに僕と万葉お似合い？」
平蔵が近づいてくる、
「ま、まて平蔵･･･」

平蔵が、拙者の顎を触って顔を近づけてくる
「ち、近いぞ･･･」

「それとも、万葉が攻めの方かな？」

「ちょ、旅人。どうしよう。目の前が大変なことになってる」
「私も頭が追いついてない、どうなってるの･･･」

目の前の事に動揺している二人、そして拙者も。

「ち、近いって言っておろう！！！！！！」
あまりの恥ずかしさに、つい

平蔵を背負い投げしてしまった

「いだっ！！！！！」


「す、すまぬ平蔵････」

心臓がバクバクしておる、この光景だれが想像したであろうか。

勢いあまって、平蔵を気絶させてしまった



「･･･ど、どうしよう。ナギ」

「う、うん･･･平蔵はとりあえず寝かせよう･･･
（彩華を先に帰らせてよかった････！！！)」

「す、すまぬ･･･拙者が止めておらぬが故･･･」


-----------------------------------------------------------

あとから話を聞いたところ、平蔵の推理が大体当たっていたのだが
あの二人は、蛍の兄と拙者たちを含めて色々と小説を作り見せあっていた、とのことでござる。
旅人はパイモンに内緒で。

拙者たちがこのような形で話されているとは思いもしなかったでござるな･･･

とはいえど、個人的な範囲内でござるが
二人も少し反省していると言っておった。
だが、一番反省すべきは強引に割り込んできた平蔵でござる。
あとできつくしかっておこう。拙者の言葉すらも聞いていなかったのはよくない。

平蔵は旅人とナギに任せて、拙者は鳴上大社を後にした。


ふむ、実際の所どうなのか？という疑問が残っているかもしれぬが

「何があるかわからぬでござるからなぁ。なぁ空」
「はは、そうだね。万葉は僕がいるってのに。」

旅人殿やナギには内緒でござる。
秘密は秘してこそ、味わい深い。

おしまい