女
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三「ビッド」
実「コール」
甘「コール」
田「コール」
淡々と宣言をしていく彼らに、春は内心地団駄を踏んでいた。
夕飯後早々に開始されたのは、何の変哲も無いただのポーカー。
いや、彼らが何らかのサインを使って場を有利に進めようとしていることには早々に気づいた。だがしかし・・・。
(サインと役の組み合わせが把握できない・・・!!)
記憶力にも洞察力にも自信はある。しかしそれでも、1ペアずつ異なるサイン、煙草1つで寝返るテーブル外のプレイヤー、味方さえも欺くブラフ、etc・・・。
それらすべてを見抜いて勝ちを狙うことは不可能に等しかった。
「・・・ドロップ」
その小さい声を拾った実井が可笑しそうにクスリと笑みを零し、「あらら、今日はとことんツキが無いみたいですね」と春の機嫌を損ねるには十分な言葉を投げかけた。
嫌な奴だな、実井って。
見た目に騙されてはいけないのだ。
こうしてあっという間にチップは無くなり、春は敗北感に打ちひしがれて食卓に顔を埋めた。
三好に「二回戦してやっても良いけど?」と煽られたが、次に勝てる勝算も無い。
意気消沈しながら首を振る他無かった。
皆がニヤニヤと嘲るような視線で自分のことを見ているのがわかる。
(このままじゃ終わらせない・・・!)
私の才能は、こんなところで終わるようなものではない。船や飛行機だって自在に運転できるし、言葉だって数ヶ国語マスターした。化学や医学のみならず常軌を逸した思想家や戦術家との討論も完璧にこなし、さらには凍てつく真冬の海を遠泳だってした。
私に不可能なことはなかったのだ。
ともすれば、彼らの大得意なジョーカーゲームとやらで盛大に負かして、本当のジョーカーが誰なのかを思い知らせてやる。
春はリベンジに燃えていた。
ゲームを有利に進めるためにもまず、春はこの男に目を付けた。
深夜帯、嘲るような視線を背中に浴びながら食堂から一人戻った自室に来訪者が現れた。
「こんな時間に何の用?」
「時計も読めないのか」という意味も込めてため息をつくと、部屋の戸口にもたれかかる神永は軽快に笑う。
神「いやぁ、心無い野郎共にコテンパンにされて君が泣いているんじゃないかと思ってさ」
「だったらあのとき、神永が協力してくれれば良かったのに」
神「もちろん、何か見返りがあるなら協力するぜ」
ニヤニヤと嫌らしい笑みの神永は、春の都合など御構い無しにズカズカと寝室に入り込んでくる。
もう深夜の2時を回っている。あまり寝巻きは見られたくないのだが。
神「まあ、そんな落ち込まなくても大丈夫さ。スパイとしては落ちこぼれかもしれないが、君にはまだコレがあるじゃないか」
言いながら神永は、そっと春をベッドに押し倒した。
春はとくに抵抗するでもなく、されるがままである。
神「やけに大人しいな。夜だからかい?」
神永はそう囁きながら、春の首筋に手を這わせる。そして、悪戯っ子のようにふーっと耳に息を吹きかけた。
「・・・やっぱり、ゲームで負けたのがショックだったみたい。あんな怪物たちとやっていけるのかなって」
神「俺が慰めてやろうか?」
ふと春の顔を見下ろすと、昼間とは到底似ても似つかない艶かしい表情が目に入った。
神永はゴクリと唾を飲み込む。
(こんな顔も出来るのか・・・)
そのまま神永は唇に口付けを落とし、軽くリップ音を響かせてからゆっくり離れる。
そして次はもっと深いキスをしようと顔を近づけるたところ、春に思いきり鼻を摘まれた。
神「うぐッ、何すんだよ!」
「協力してよ」
神永 「はあ?」
「見返りがあるなら、協力してくれるんでしょ?」
しばらく神永はポカンと口を開けていたが、だんだん面白がるような表情に変わってくる。
「私は、勝利の後のキスの方が好きなの」
神「・・・・はあ、意外と面白い奴。乗ってやるよ」
神永は「参った、降参だ」とでも言うかのように両手をパッと上に挙げると、春の上から退いた。
ただベッドから下りる気はないらしく、寛いだように伸びをしている。
神「いいか?まず俺たちのやっている"ジョーカーゲーム"は、ただのポーカーとは別物だ。配られた手札の中で役を捏ねくり回すような狭いものじゃない、その盤上はテーブルの外にまで広がっている」
「さっきゲームに参加していなかった人たちは・・・」
神「そんな奴はいない。全員が参加者なのさ」
やはり、周りでゲームを観戦していた羽多野や一服していた甘利、その他のメンバーも皆何かの暗号を使ってプレイヤーの手札の情報を仲間に流していたようだ。
「1ゲーム通して見ても、誰と誰がグルなのかがわからなかった」
神「そりゃそうだ。俺たちはプレイヤーと交渉し、より良い条件やメリットの大きい方につく。ゲーム中に相棒を乗り換えるなんてザラさ」
ケラケラと悪びれる様子もなく言ってのけた神永が可笑しくて、クスッと釣られて笑ってしまう。
やはり機関員の中ではとても話しやすくお調子者な男だ。
夜も更けてきたものの、二人の作戦会議(+雑談)は長い間行われた。
実「コール」
甘「コール」
田「コール」
淡々と宣言をしていく彼らに、春は内心地団駄を踏んでいた。
夕飯後早々に開始されたのは、何の変哲も無いただのポーカー。
いや、彼らが何らかのサインを使って場を有利に進めようとしていることには早々に気づいた。だがしかし・・・。
(サインと役の組み合わせが把握できない・・・!!)
記憶力にも洞察力にも自信はある。しかしそれでも、1ペアずつ異なるサイン、煙草1つで寝返るテーブル外のプレイヤー、味方さえも欺くブラフ、etc・・・。
それらすべてを見抜いて勝ちを狙うことは不可能に等しかった。
「・・・ドロップ」
その小さい声を拾った実井が可笑しそうにクスリと笑みを零し、「あらら、今日はとことんツキが無いみたいですね」と春の機嫌を損ねるには十分な言葉を投げかけた。
嫌な奴だな、実井って。
見た目に騙されてはいけないのだ。
こうしてあっという間にチップは無くなり、春は敗北感に打ちひしがれて食卓に顔を埋めた。
三好に「二回戦してやっても良いけど?」と煽られたが、次に勝てる勝算も無い。
意気消沈しながら首を振る他無かった。
皆がニヤニヤと嘲るような視線で自分のことを見ているのがわかる。
(このままじゃ終わらせない・・・!)
私の才能は、こんなところで終わるようなものではない。船や飛行機だって自在に運転できるし、言葉だって数ヶ国語マスターした。化学や医学のみならず常軌を逸した思想家や戦術家との討論も完璧にこなし、さらには凍てつく真冬の海を遠泳だってした。
私に不可能なことはなかったのだ。
ともすれば、彼らの大得意なジョーカーゲームとやらで盛大に負かして、本当のジョーカーが誰なのかを思い知らせてやる。
春はリベンジに燃えていた。
ゲームを有利に進めるためにもまず、春はこの男に目を付けた。
深夜帯、嘲るような視線を背中に浴びながら食堂から一人戻った自室に来訪者が現れた。
「こんな時間に何の用?」
「時計も読めないのか」という意味も込めてため息をつくと、部屋の戸口にもたれかかる神永は軽快に笑う。
神「いやぁ、心無い野郎共にコテンパンにされて君が泣いているんじゃないかと思ってさ」
「だったらあのとき、神永が協力してくれれば良かったのに」
神「もちろん、何か見返りがあるなら協力するぜ」
ニヤニヤと嫌らしい笑みの神永は、春の都合など御構い無しにズカズカと寝室に入り込んでくる。
もう深夜の2時を回っている。あまり寝巻きは見られたくないのだが。
神「まあ、そんな落ち込まなくても大丈夫さ。スパイとしては落ちこぼれかもしれないが、君にはまだコレがあるじゃないか」
言いながら神永は、そっと春をベッドに押し倒した。
春はとくに抵抗するでもなく、されるがままである。
神「やけに大人しいな。夜だからかい?」
神永はそう囁きながら、春の首筋に手を這わせる。そして、悪戯っ子のようにふーっと耳に息を吹きかけた。
「・・・やっぱり、ゲームで負けたのがショックだったみたい。あんな怪物たちとやっていけるのかなって」
神「俺が慰めてやろうか?」
ふと春の顔を見下ろすと、昼間とは到底似ても似つかない艶かしい表情が目に入った。
神永はゴクリと唾を飲み込む。
(こんな顔も出来るのか・・・)
そのまま神永は唇に口付けを落とし、軽くリップ音を響かせてからゆっくり離れる。
そして次はもっと深いキスをしようと顔を近づけるたところ、春に思いきり鼻を摘まれた。
神「うぐッ、何すんだよ!」
「協力してよ」
神永 「はあ?」
「見返りがあるなら、協力してくれるんでしょ?」
しばらく神永はポカンと口を開けていたが、だんだん面白がるような表情に変わってくる。
「私は、勝利の後のキスの方が好きなの」
神「・・・・はあ、意外と面白い奴。乗ってやるよ」
神永は「参った、降参だ」とでも言うかのように両手をパッと上に挙げると、春の上から退いた。
ただベッドから下りる気はないらしく、寛いだように伸びをしている。
神「いいか?まず俺たちのやっている"ジョーカーゲーム"は、ただのポーカーとは別物だ。配られた手札の中で役を捏ねくり回すような狭いものじゃない、その盤上はテーブルの外にまで広がっている」
「さっきゲームに参加していなかった人たちは・・・」
神「そんな奴はいない。全員が参加者なのさ」
やはり、周りでゲームを観戦していた羽多野や一服していた甘利、その他のメンバーも皆何かの暗号を使ってプレイヤーの手札の情報を仲間に流していたようだ。
「1ゲーム通して見ても、誰と誰がグルなのかがわからなかった」
神「そりゃそうだ。俺たちはプレイヤーと交渉し、より良い条件やメリットの大きい方につく。ゲーム中に相棒を乗り換えるなんてザラさ」
ケラケラと悪びれる様子もなく言ってのけた神永が可笑しくて、クスッと釣られて笑ってしまう。
やはり機関員の中ではとても話しやすくお調子者な男だ。
夜も更けてきたものの、二人の作戦会議(+雑談)は長い間行われた。