女
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神「ふぁ~あ・・・」
実「随分と眠そうですね」
ジャケットを肩に引っ掛けながら盛大に欠伸をする神永に、実井がにこやかに話しかけた。
二人の後ろには、同じようにスーツ姿の男たちがぞろぞろと続いている。
神「そりゃ、寝不足にもなるだろ。真夜中に突然叩き起こされて椅子に縛り付けられて自白剤打たれて、オマケにクラスメイトからボコボコに殴られれば」
波「俺は手加減したぞ」
神「あれで"手加減した"って言うんなら、お前の前世は間違いなくゴリラだ!」
波「お前が貧弱なだけだろ」
波多野が生意気そうな顔で鼻を鳴らすと、神永は「貧弱なのはお前の方だろ?おチビくん」と躊躇無く地雷を踏み抜いた。
その瞬間波多野が拳を握り一歩踏み出したのだが、周りの人間の反応も素早かった。
あっという間に波多野は羽交い締めにされ、甘利に宥められる。
波「離せ!」
甘「まあまあ落ち着いて、ゴリラ・ゴリラ・波多野」
波「学名みたく言うんじゃねえ!!」
三「朝から騒がしいぞ。中佐の部屋も近いんだ、静かにしろ」
実「結城中佐も朝っぱらに8人全員を呼び出すなんて、何の用でしょうね?」
田「中佐のことだ、重要な事項だろう」
こうしてダラダラと喋っている緊張感の無い学生たちは、これでもれっきとした日本陸軍のスパイである。"D機関"と呼ばれ陸軍内で忌み嫌われている彼らは、奇妙奇天烈な難解試験を突破した高名大学の卒業生たちだった。
そんな彼らを指揮する"魔王"の異名を持つ男の部屋の扉を、三好は迷いなくノックした。
結「入れ」
背中を冷たいもので撫でられたようなヒヤリとした感覚に、8人は自然と背筋を伸ばす。
部屋はいつもと変わらぬ簡素な作り。仕事机に肘をついて座っている結城は、窓から差し込む日光が逆光となり表情が窺えない。
結「今日は、貴様らに一人紹介してやる」
結城がそう言うと、突然結城の隣にフッと女が現れた。無敵のD機関員たちも、突然のことに少し身じろぐ。
よく考えれば、最初から部屋にいたのに逆光のせいで見えなかっただけだろう。
それにしても、訓練を受けた機関員全員がその女の気配に気がつかないというのはありえないのであるが。
「今日からD機関に所属する、香坂春です。以後、お見知り置きを」
そう言ってニコリと朗らかに微笑んだ女…、もとい香坂春は日本人女性特有の愛嬌のある顔で、列強諸国の妖美な女スパイとは似ても似つかなかった。
機関員たちは素早く香坂を分析し、結城の思惑を探る。
結「香坂春は、英国オックスフォード大学に留学経験がある。女の部では唯一最後まで訓練を乗り越えた、貴様らと同じくれっきとした日本の陸軍秘密諜報機関員だ」
"最後まで訓練を乗り越えた・・・?"
この何の変哲も無さそうな女が?
三好はもはや、不躾な視線を隠すことなく香坂を上から下までジロジロと眺め回した。
訓練を受けた三好たちには、香坂の着ているロングスカート越しからでも過酷な訓練に耐え得る筋肉が無いことはわかる。
(とすると、ハニートラップ要員か・・・?)
だが、それにしては胸も尻も少しばかり足りないような気もする。
神「へえ、君のように可憐な女の子がスパイだなんて驚きだよ。相手が俺なら、すぐに燃やし ちゃうかも」
神永は完全にハニートラップ要員だと解釈したのだろう。笑みを浮かべて香坂の腰を引き寄せて軽く頬に口付けをしようとすると、香坂は同じく微笑を浮かべたまま神永の顔を押しやった。
結「香坂はフランスのマタ・ハリとは違って、日本にとって有益な情報を流すスパイだ」
神「はあ?」
結「女に寝物語で漏らす情報ほど下らないものはないと言ったはずだ」
三「ええ、よく覚えています。なので一つよろしいですか?」
耐えきれずに三好が声を上げると、結城が三好に向かって顎を突き出した。
これは了承の合図である。
三「中佐は常より、"女はスパイに向いていない"と仰っていました。その自論は撤回されるということですか?」
三好のこの質問は機関員たち全員の総意だったようで、8人と当の香坂の視線が結城に集中する。
結「撤回なんてするか。女はスパイに向いていない、なぜなら感情で人を殺すからだ。よって、香坂春のことは特段女として扱う必要は無い」
ぴしゃりとそれだけ言うと、結城は「もう用は無い」とばかりにシッシッと手を振って9人を自室から追い出した。
「空いてる部屋を香坂に案内してやれ」とだけ言い残して。
実「随分と眠そうですね」
ジャケットを肩に引っ掛けながら盛大に欠伸をする神永に、実井がにこやかに話しかけた。
二人の後ろには、同じようにスーツ姿の男たちがぞろぞろと続いている。
神「そりゃ、寝不足にもなるだろ。真夜中に突然叩き起こされて椅子に縛り付けられて自白剤打たれて、オマケにクラスメイトからボコボコに殴られれば」
波「俺は手加減したぞ」
神「あれで"手加減した"って言うんなら、お前の前世は間違いなくゴリラだ!」
波「お前が貧弱なだけだろ」
波多野が生意気そうな顔で鼻を鳴らすと、神永は「貧弱なのはお前の方だろ?おチビくん」と躊躇無く地雷を踏み抜いた。
その瞬間波多野が拳を握り一歩踏み出したのだが、周りの人間の反応も素早かった。
あっという間に波多野は羽交い締めにされ、甘利に宥められる。
波「離せ!」
甘「まあまあ落ち着いて、ゴリラ・ゴリラ・波多野」
波「学名みたく言うんじゃねえ!!」
三「朝から騒がしいぞ。中佐の部屋も近いんだ、静かにしろ」
実「結城中佐も朝っぱらに8人全員を呼び出すなんて、何の用でしょうね?」
田「中佐のことだ、重要な事項だろう」
こうしてダラダラと喋っている緊張感の無い学生たちは、これでもれっきとした日本陸軍のスパイである。"D機関"と呼ばれ陸軍内で忌み嫌われている彼らは、奇妙奇天烈な難解試験を突破した高名大学の卒業生たちだった。
そんな彼らを指揮する"魔王"の異名を持つ男の部屋の扉を、三好は迷いなくノックした。
結「入れ」
背中を冷たいもので撫でられたようなヒヤリとした感覚に、8人は自然と背筋を伸ばす。
部屋はいつもと変わらぬ簡素な作り。仕事机に肘をついて座っている結城は、窓から差し込む日光が逆光となり表情が窺えない。
結「今日は、貴様らに一人紹介してやる」
結城がそう言うと、突然結城の隣にフッと女が現れた。無敵のD機関員たちも、突然のことに少し身じろぐ。
よく考えれば、最初から部屋にいたのに逆光のせいで見えなかっただけだろう。
それにしても、訓練を受けた機関員全員がその女の気配に気がつかないというのはありえないのであるが。
「今日からD機関に所属する、香坂春です。以後、お見知り置きを」
そう言ってニコリと朗らかに微笑んだ女…、もとい香坂春は日本人女性特有の愛嬌のある顔で、列強諸国の妖美な女スパイとは似ても似つかなかった。
機関員たちは素早く香坂を分析し、結城の思惑を探る。
結「香坂春は、英国オックスフォード大学に留学経験がある。女の部では唯一最後まで訓練を乗り越えた、貴様らと同じくれっきとした日本の陸軍秘密諜報機関員だ」
"最後まで訓練を乗り越えた・・・?"
この何の変哲も無さそうな女が?
三好はもはや、不躾な視線を隠すことなく香坂を上から下までジロジロと眺め回した。
訓練を受けた三好たちには、香坂の着ているロングスカート越しからでも過酷な訓練に耐え得る筋肉が無いことはわかる。
(とすると、ハニートラップ要員か・・・?)
だが、それにしては胸も尻も少しばかり足りないような気もする。
神「へえ、君のように可憐な女の子がスパイだなんて驚きだよ。相手が俺なら、すぐに
神永は完全にハニートラップ要員だと解釈したのだろう。笑みを浮かべて香坂の腰を引き寄せて軽く頬に口付けをしようとすると、香坂は同じく微笑を浮かべたまま神永の顔を押しやった。
結「香坂はフランスのマタ・ハリとは違って、日本にとって有益な情報を流すスパイだ」
神「はあ?」
結「女に寝物語で漏らす情報ほど下らないものはないと言ったはずだ」
三「ええ、よく覚えています。なので一つよろしいですか?」
耐えきれずに三好が声を上げると、結城が三好に向かって顎を突き出した。
これは了承の合図である。
三「中佐は常より、"女はスパイに向いていない"と仰っていました。その自論は撤回されるということですか?」
三好のこの質問は機関員たち全員の総意だったようで、8人と当の香坂の視線が結城に集中する。
結「撤回なんてするか。女はスパイに向いていない、なぜなら感情で人を殺すからだ。よって、香坂春のことは特段女として扱う必要は無い」
ぴしゃりとそれだけ言うと、結城は「もう用は無い」とばかりにシッシッと手を振って9人を自室から追い出した。
「空いてる部屋を香坂に案内してやれ」とだけ言い残して。
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