🥦 緑谷出久 編
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デクくんを好きになったのは1-Aの時。
体力測定の際に初めて彼の力を見て、なんて怖い個性なんだろうと思ったのがきっかけで、そこからは"心配"という意味で何故だかデクくんのことが気になっていた。
でも、怖い怖いと思いながらも、自分の体を壊して敵に立ち向かうその姿が凄くカッコよくて…いつもなよなよした感じだからこそ、時より見せる真剣な表情に心が奪われていった。
卒業間近になった今、あの頃の私はデクくんがどれだけカッコよくなるか予想出来ただろうか。
今のデクくんは腕を壊したり、指を壊したりしない。もちろん2年生の段階で十分強かったけど、今は更に強くなった。
オールマイトのことが大好きで、彼のような最高のヒーローになりたいとよく言っていたけど、私の中ではデクくんはもう最高のヒーローだよ。
きっとこれから色んな人を助けていくんだろうなぁ。恋愛なんて…してる暇ないよね。というか恋愛にまず興味があるのかな…分からないや。
大好きだからこそ、デクくんの邪魔はしたくない。この気持ちを伝えられないのは辛いけど、留めておこう…そう思っていた。
数秒前までは。
「私…ずっとデクくんのことが好きでした!」
3年生の寮の裏。
私はいつもひっそりとそこでトレーニングをしていた。今日も食後の運動に体を動かそうかなぁなんて思っていたら、先客がいて…お茶子ちゃんがデクくんに告白をしていた。
お茶子ちゃんはデクくんと一緒にいることが多かったし、仲が良いのは知っていた。けど…そっか。お茶子ちゃんもデクくんのこと好きだったんだ。
デクくんどうするのかな…付き合うのかな。気持ちを伝えないって決めたのに…辛いなぁ。
お茶子ちゃん可愛いし、性格もいいし…断る理由は正直ないよね。これからもお茶子ちゃんと仲良くしたいと思ってたし、今でもお茶子ちゃんのこと大好きだけど…今まで通りに話せるかな。私、最低だ。
とてもじゃないけど、そのまま立ち聞きする気にもなれず、私は寮へと戻った。
共有スペースにいた何人かのクラスメイトが私の顔を見て、とても驚いた表情をし…何故か駆け寄ってきた。
「大丈夫?とても辛そうな顔をしているわ」
「読山くん、体調でも悪いのか?」
私、そんなに心配されるような顔してたんだ。もうなんか…辛くて…何も考えられなくて…無意識だったなぁ。むしろ気晴らしに走ってから戻ってきた方がよかったのかもしれない。
「ごめん、なんでもない。大丈夫だよ、ありがとう」
「……でも泣いてるわ」
「大丈夫じゃねーだろ!どーした!」
「どうしましょ…温かいハーブティーはいかがですか?少しは気分が落ち着くかと…」
泣いてる?あれ…おかしいな。泣くつもりなんてなかったのに…。辛そうな顔で帰ってきて急に泣くなんて…こんな私情で皆に迷惑かけてどうするの。泣き止まなきゃ…。
「ごめん、ごめん!ホントなんでもないの!目にゴミでも入ったのかも!なんか痛いし!」
本当は痛いのは目なんかじゃない。胸の方だ。つらくて、苦しくて、締め付けられるように痛い。
でも、正直に話すわけにはいかない。お茶子ちゃんがデクくんに告白してました。私は実はデクくんが好きだったからショックでした。そんなこと言えるわけないよ…。
私はデクくんに迷惑かけたくないから片思いでいいなんて思っていたけど、それってただ振られるのが怖くて臆病になってただけだ…。
でも、お茶子ちゃんは勇気を出して告白した。それなのに私が被害者ズラしてどうすんの…。
好きな人が幸せになるのなら…いいじゃない。辛いのは今だけだよ、きっと。
「じゃあ私…部屋行くね!お騒がせしました!皆、おやすみなさい!」
明らかに
私が帰ってくるまで楽しく談笑したり、リラックスしてただろうに、申し訳ない…。
「寝よ。寝れば落ち着くよ、うん」
自室に戻った私はベッドに寝転び、
「好き……」
伝えればよかったのかな、玉砕覚悟で。振られたら諦めついたのかな。
「デクくん…大好き…」
彼女のいない男の子ならまだしも、彼女が出来てしまった男の子に告白するのはおかしい…よね。彼女がいることを知らないならともかく、知ってたら…。でもまだ告白の返事OKしたかなんて分からないし…。盗み聞きした方がよかったのかな…いや、人の告白を盗み聞きだなんてよくないよ…。
「……はぁ」
なんか疲れたなぁ。別にトレーニングしてないのに、トレーニングしたときよりも体が重い気がする。
「もー、寝る!寝なさい!私!」
一晩寝たら忘れるよ。というか忘れてなければ困る。辛いのは今だけ…今だけ…。
私は目をギュッと閉じ、眠りに落ちるのを必死に待ち続けた。
♢♢♢♢♢
「……………暗っ。今何時…4時?早いよぉ…中途半端だよぉ…」
いつもより早い時間に無理やり寝たため、早めに目が覚めてしまった。二度寝するのもありかもしれないが、時間的に寝過ごす可能性もあるし…起きるか。ちょうど昨日トレーニング出来なかったし、朝するのもいいかも…って、起きて早々告白のこと思い出してどうすんの、馬鹿。
私はタオルを持って洗面所へと向かった。
「あー…やったわ」
洗面所の鏡にはとても酷い顔をした私がいた。そうだよね。あれだけ泣いたら腫れるよね。これ、トレーニングどころじゃないなぁ…学校あるのにこんなんじゃ恥ずかしくて行けないよ…。
「もー、色々最悪だ…」
私は目を冷やすためにキッチンへと向かった。水タオルだと日が暮れそうだし、保冷剤をタオルにくるんで当てればいいかなぁ…なんて思いながら冷凍庫を漁っていた。
「あったあった……あー…冷たい。寒いー…」
タオルでくるんだ保冷剤を実際に目に当ててみるとひんやりとしていて気持ちが良かったが、今の季節は冬だ。肌寒い時期に保冷剤は、いくら目とはいえ身に染みる。学校までの数時間で何としてでも腫れを抑えたいし、寒いとか言ってられないよね。特にデクくんにこの顔見られたくないし。
「あれ、読山さん?どうしたの?」
………嘘でしょ?え、今見られたくないって思ったとこだよ?どんなタイミング?神様酷いよ…1番会いたくないと思っていた人を召喚するなんて…最悪だよ…。
突然のデクくんの声に驚いた私は、思わずタオルを落としてしまい、保冷剤が入ってるせいでゴトンという音が響き渡った。
声の聞こえた寮の入口の方に顔を向けると、そこには大好きなデクくんが---。
首からタオルを掛けているし、恐らくトレーニング終わりなんだろう。こんな朝早くに起きてやるなんて偉いなぁなんて思っているものの、今の状況が本当に最悪すぎて気が気じゃなかった。
「えっ…どうしたの?大丈夫?凄い目が腫れてるけど…」
「あ、えっと…これは…」
目が腫れた言い訳なんて蜂に刺されましたとかくらいしか思いつかない。けど、そんなの明らかにおかしいでしょ。どーしよ。
「……泣いたの?」
こういうときだけなんで鋭いの?そしてなんで近づいてくるの?待ってよ…ホントに無理だから…。というか昨日の今日でデクくんと2人きりなんて…堪えられない。だって、もしかしたら今目の前にいるデクくんはお茶子ちゃんの彼氏になってるかもしれないんでしょ?
「いや……」
「え?」
「もー!なんで!なんで今私の目の前に現れるのーーー!」
「え!?え!?ちょ、読山さん!?どうしたの!?」
目の腫れを抑えるどころか、涙がどんどん零れ落ちてくる。もうこれ今日腫れ治まらないわ、無理だわ。無理ならもういいよ、泣こう。デクくんには申し訳ないけど、泣かせてください。
「だ、大丈夫…じゃないよね。えっと…」
あぁ、困ってるよ。好きな人を困らせちゃったよ。でもどうすればいいの?どうするのが正解?誰か教えてよ。
わしゃわしゃ。
「……え」
撫でてる?デクくんが?私の頭を?
昔のデクくんならあわあわしていただろうに、凄いなぁ…こんなこと出来るようになっちゃったのか…。優しいなぁ…優しいけど、今はその優しさが辛いよ…。
「ダメだよ、彼女以外にそんなことしちゃ…」
更に好きになっちゃうよ。
「慰めてくれてるん…だよね?ありがと。でも彼女さんに悪いから…」
「え?い、いないよ!彼女なんて!」
「……………え?」
いない?え、でも昨日の…え、断ったの?お茶子ちゃんの告白を?なんで…どうして…仲良かったのに…。友達としてしか見れないとか?いや、そもそも彼女自体作る気がないのか…?え、分からない。
けど、とりあえず今少しでも喜んだ私は最低だ。お茶子ちゃんごめん…。
「あ、でも…す、好きな子はいるよ」
好きな子…?なにそれ、初耳なんですけど。好きな子はいるってことは、彼女作る気はあるってことなの?誰よ、その好きな子…私の知ってる子かな…。
「そ、そっか…」
私はなんて返答するのが正解なのだろうか。そっかとか興味ありませんけど?って突き放してるみたいじゃない、最悪よ…もー…。
「読山さん」
「ん?」
「…き、君のことが好きなんだ」
「……………ん?」
君?君のことが好き?え、待って。え、え、え?待って。え、待って。君?私のこと?私のことが好き…?え、そんなことあるの?片思いしてた相手が私のことを好きだなんて、そんな少女漫画みたいな展開実際に起きるなんてことあるの?
じゃあお茶子ちゃんの告白断ったのは…私のことが好きだから?
なによそれ…1回落としてめちゃくちゃ上げてくるタイプじゃん…。というか今告白するとか卑怯だよ…。
「うぅ…」
余計涙止まらなくなるよ。
「あ、ごめん!今言うことじゃないよね!ごめんね!」
デクくんはパッと私の頭から手を離して仰け反ってしまった。違うんだよ、デクくん。さっきまでは確かに悲しくて泣いてたけど、これは---。
「嬉しいの!嬉し涙!」
「…………へ?」
「き、昨日お茶子ちゃんに告白されたでしょ?」
「え!?も、もしかして見てたの!?」
「お茶子ちゃんが好きって言ったとこまではね!あそこで私トレーニングよくしてるからたまたま聞こえちゃって…でもすぐ帰ったから!その後は聞いてない!」
「そっか…よかった…」
よかった?何か聞かれたらまずいことでも?……デクくんが二股するとかありえないから私に好きと言っておいて実はお茶子ちゃんの告白OKしてましたとかないだろうし…え、何?断るとこを見られたくなかった…とか?そんなに聞かれたくないことを熱弁したのかな?めちゃくちゃ気になってきた。
そんなことを考えていた私の顔はどうやら眉間に皺がよっていたようで、デクくんは困惑した表情をしていた。気恥しそうに私から視線を外し、なんか無言で考え込んでるなぁと思ったら、意を決したのかジッと私の方を再び見た。
あぁ、この目。私の大好きな目だ。可愛いデクくんも好きだけど、真面目で何事にも真剣で…この真っ直ぐな瞳に私は惹かれたんだ。
「全部…話します。とりあえず外に行かない?ここだと誰かくるかもしれないから…」
「あ、はい…」
その真剣さに思わず敬語になってしまった。私とデクくんは昨日告白を目撃した寮の裏に向かった。歩いてる間は無言で、正直人生で1番緊張しているといっても過言ではないくらいやばかった。心臓の音聞こえてないよね?触れるほどの距離にいないと普通聞こえないよね?え、もー分かんないや。そーいう経験なさすぎて。
ようやく裏に到着し、私の前を歩いていたデクくんがくるっと振り返って…またあの真っ直ぐな瞳で私を見つめていた。
やばい、ホントに心臓もたない。もう飛んでいきそう。というか告白…されたんだよね、私。
昨日の私見てる?デクくん告白されちゃったって泣いてた私見てる?そのデクくんが私に告白したよ?やばいよ?こんな急展開ある?もう頭と心臓ついてってないよ?
「ごめんね、寒いのに」
「いや、全然!むしろ…なんかもう暑いです」
「え?そ、そっか…実は僕も暑くて…。さっきまで走ってたのもあるけど…す、好きな子の前だとアレだね。き、緊張してなんかもう凄いや。あはは…」
なにこの可愛い生命体。告白されたんだから合法的に抱きついていいのでは…?いや、ダメ。馬鹿。早まるな。というかそんな勇気ないでしょ。
「えっと…どこから話そっか…。昨日話したとき麗日さんが読山さんに全部話してもいいからねって言ってたから…全部話したいけど…凄い長くなっちゃうし…。頭で整理してから話すべきだったよね…ごめん」
え?どうゆうこと?お茶子ちゃんが私に全部話してもいいって…昨日告白した後に私の名前が挙がったってこと?
「ずっとデクくんが好きでしたって麗日さんに言われて…でもそれはあくまでも昔の話だったみたいで…」
昔?確かに好きでしたって過去形にもとれるけど…実は昔好きだったの!なんて改まって言うものだろうか。
「麗日さんにバレてたんだ。僕が読山さんのこと好きってこと」
「……え?」
「というか多分…クラスのほとんどにバレてると思う。なんか僕、わかりやすいみたいで…」
「……え?」
わかりやすい?え、嘘でしょ?当の本人気づいてないですけど?あれ、私がもしかして鈍感…?そんな…もっと早く好きって分かってたら…。
「あはは、やっぱ読山さんは気づいてなかったよね」
「うん、全然。むしろお茶子ちゃんとか他の女子といる時の方があわあわしてたし、私眼中にないのかなって…」
「え、あ…実はそれ…逆でして…」
「逆?」
普通好きな子ほど恥ずかしくなるんじゃないの?だから私余計に告白出来ないなって…気持ち隠さないとなって思ってたのに…。
「好きだったからこそ男らしいとこ見せたいなって。だから気張ってて…ごめんね」
気張ってた?わざと?わざと恥ずかしくないフリしてたってこと?え、そんな高度な技術使ってたの?デクくんそんな上級者じゃなかったじゃん。強くなっただけでなく、中身まで男らしくなっちゃって…あー、ダメだ。好きだ。
「実は昨日、麗日さんが背中を押してくれたんだ。もう卒業だし、読山さんとは違う事務所だから簡単に会えなくなるし…告白するなら今だと思うよって」
え?お茶子ちゃんが…?そんな…私…うわ、やだ…最低だ。お茶子ちゃん…ごめん…背中押すとか…え、やだ…私昨日お茶子ちゃんに対して勝手に嫉妬して…あー…子供すぎる。謝りたい…、そしてお礼言いたい…。
「で、昨日2人で寮戻ったら読山さんが泣いてたって皆が言ってて…さっき嬉し涙って言ってたけど、そのときは違う…よね?」
「……うん。ごめん。そんな話してると思わなかったから…勝手に嫉妬して…泣いてました」
「嫉妬……ねぇ、読山さんの気持ち聞かせて?」
「へっ!?」
嬉し涙に嫉妬ってきたらだいたい分かるじゃん!なんでそんなちょっとニヤニヤした顔でこっち見てるの!?え、デクくんってもしかしてSっ気ある!?完全に受けの顔してるじゃん!なにそのギャップ!
「言ってくれないと分からないなぁ…」
アカン。
もう驚きすぎて、意味わからない関西弁出たじゃん。やばい、きつい、これ。心臓いる?ちゃんと私の中にいる?飛び出してない?大丈夫?
「す、好き…大好き…。多分デクくんが思ってるよりも好き…。1年の頃からずっと好きで…もう好きすぎて気が狂いそうです…」
「…………」
え、無言?…しまった。ただ好きですって言えばよかった。気持ちが溢れすぎた、やらかした。いきなり重い女になってるじゃん、私。
一応目を見て告白したけど…なんか固まってたし…もう恥ずかしくて今目見れない…。
「読山さん……こっち見て?」
「え…?」
突然デクくんがそんなこと言うもんだから、気恥しいけどゆっくりと彼に視線を向けた。優しそうに微笑んでいるけど、頬が凄く赤くて…寒いからなのか…恥ずかしいからなのか分からないけど、その笑顔だけで私は天に召されそうだった。
「僕も好きです。いつから好きになったかは…正直わからない。いつの間にか読山さんを目で追うようになっていて…気づいたら好きになってた。話す度にドキドキしたし、今も心臓が凄いことになって…ます」
可愛いとカッコイイの大渋滞だ、これ。
そう思ったら私の頭はさらに向こうへ、プルスウルトラしたいって意味のわからない思考回路になっていて…いつの間にかデクくんに抱きついていた。しばらくデクくんは「え!?」って連呼してあたふたしてたけど、だんだん慣れてきたのかギュッと抱き返してくれて…さっきまで寒かったのに、心も体もポカポカしていた。
「読山さん…僕と付き合ってくれませんか?」
お互いきつく抱きしめてるから顔は見えないけど、デクくんが耳元で優しい声色でそんなことを言うもんだから、もう私の心臓はえらいことになっていた。幸せすぎて怖い。むしろ実はまだ寝てて、都合のいい夢を見ているんじゃないかって思ってしまう。でもこの温かさが…現実なんだって思わせてくれる。
「はい…よろしくお願いします」
耳元で小さく「やった!」という可愛らしい声が聞こえてきた。それはこっちのセリフだよ。
勇気を出して告白してくれてありがとう。それに…背中を押してくれたお茶子ちゃん。本当にありがとう。
可愛くてカッコイイ大好きなデクくん。
今日から彼が私の自慢の彼氏です。
・・⋈・-・・--・⋈・-・・--・⋈・-・・--・⋈・-・・--・⋈・・
〔あとがき〕
最後まで読んでくださりありがとうございます。
本編ではお茶子ちゃんとデクくんに是非くっついていただきたいところですが、夢小説くらい私にデクくんをくださいという思いで書きました←
お茶子ちゃん、ごめんね。
あわあわ系の告白を書こうかなと思ってましたが、デクくんっていざってときはイケメン炸裂させるんでこうなっちゃいました。
あわあわ系が見たいよーって意見がありましたら、別verで書くかもしれません。
あ、ちなみに落とした保冷剤&タオルは寮に戻ってからちゃんと回収しました←
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