1:ハンター試験編
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1‐28:質問の意図
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「ところで君はこんなところで何してるの?♣︎」
「えっ…いやあ〜その……」
今すぐここを離れたいが、黙って立ち去ることでヒソカが気を悪くすれば文字通り“終わり”だ。かといって立ち話をするような気分でもないし、はっきり言ってしまえば、彼とはそもそもお話したくなかった。
悩みに悩んだ末、わたしはゆっくりと口を開く。
「……迷子に、なっちゃって」
「…へえ◆」
「…あの、休憩室ってどこにあるか…知ってる……?」
恐る恐る聞いてみると、ヒソカは意外にもすんなり教えてくれた。
しかし、頭を下げすぐにでも立ち去ろうとするわたしに、ヒソカが待ったをかける。
「今度はこっちが質問する番だ❤︎」
「えっ…あ、はい…」
質問…て、何を聞かれるんだろう……。
わたしは身を縮めながら、言葉の続きを待った。ヒソカは少し考え込んだ後、ゆっくりと口を開く。
「君のそのマフラーは誰から貰ったの?」
「……。えっ?」
思ってもみない問いに、動揺が走った。
…マフラーって、これのこと?
わたしは首に巻かれた赤いマフラーにそっと触れた。
どこにでも売っているような、普通の防寒具だ。ただそれをわたしに与えてくれたのが、少なくともわたしにとって特別な人だったってだけで。
その人はもう、どこにもいないのだけれど。
「……お、お母さん」
言葉を発した瞬間、ヒソカの表情が変わったような気がした。
とても興味深そうに、わたしの顔をじっと見つめてくる。その視線に恐怖を感じつつ、どうしても目をそらせないまま数秒無言で見つめ合った。
「…なるほど◆」
どこか満足げなヒソカの様子に、わたしはますます戸惑ってしまう。
「うん、帰っていいよ❤︎」
「へっ?」
…帰って、いいの?
ヒソカはにっこりと笑って、手を軽く上げた。
「またね❤︎」
「えと…はい、また……」
もう二度と会いませんように、と心の中で付け加えながら頭を下げ、彼に背中を向ける。
足早にその場を離れながら、あの質問の意図は一体何だったのか考えて見るけど……うん、だめだ、さっぱりわからない。きっと考えるだけ無駄なんじゃないかと思う。
わたしはヒソカに教えてもらった道を辿って、休憩室の扉をそっと開けると、部屋の隅で小さく座り、目を瞑った。