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「ねぇ、どこから来たの?」
「一緒にお茶しない?」
壁にもたれて立っていたNにかかる声
「名前は?」
「彼女とかいるの?」
積極的な女性達はNを見ると大体似たような事を言って声をかける
ちょっと傍を離れたらいつもこうなって
声をかけてる女性達に太刀打ち出来ない自分のビジュアルに、どうしようもないくらい惨めな気分になって遠巻きに見てしまう
今日だってNは、3メートルくらい先で立ち止まった薔夜を見つけて、壁際を離れる
「薔夜、もういいの?」
「う、うん…待たせてごめんね」
一切返事をしなかったNが地味な女に話し掛けた
その事実だけで彼女達の嫉妬心を買うに十分だった
居心地の悪さを感じてNより先に歩きだせば、Nはすぐに薔夜の手を掴んでギュッと握る
背後では非難の声
「N…恥ずかしいよ‥」
「いいんだよ。彼女達よりも、薔夜の方がずっと可愛いんだから」
繋いだ手に優しくキス
Nのそういう王子様みたいなとこは凄くドキドキするけども、今まで男の人と付き合った事もない身としては恥ずかしくてしかたない
「ぁ、汗かいてベタベタしてるしダメ!」
無理矢理な理由で手を離して、薔夜は顔を赤くする
「‥いいよ。薔夜が手を繋ぎたくなったらで」
クツクツと笑いながら、Nは言う
薔夜が恥ずかしがってるだけだって解るから、怒ったり、傷ついたりしない
いつか聞いた時にそう言ってたけども、それはホントだろうか
「…あっ!買い忘れっ!!」
少し歩いたところで薔夜は気づく
「どうしよう…ベルに頼まれてたのに‥」
ヒウンシティに行くならついでに、とお願いされた物
「いいよ。行っておいで」
「…もう少し待っててもらっていい‥?」
本当は待たせたくない
でも
女の子のお店にNを連れていったら、さっきより酷い
「お茶代、出すから喫茶店にでも…」
「大丈夫だよ」
慌てて財布を取り出した薔夜をやんわりと制して、本屋を指差す
「あそこにいるから。ゆっくり行っておいで」
本屋なら人目につかないし、騒がしくもできないでしょ?と
「すぐ戻るから!ごめんね!!」
ヒラヒラと手を振るNに背を向けて走り出す薔夜
Nを一人にして不安なのは、ただモテるからだけじゃない
Nの心が揺らぐなんて思っていない
ただ、彼の恋人だと自分から言い切るのが恥ずかしくて
自信がないよりも、彼がそれに黙って応えてくれる事が解っていて尚更恥ずかしくて
どうしても素直になれない自分は嫌な子だと思う
買い物を終えて急いで本屋へと戻ると、Nの目論見に反して、色んなタイプの子がNの傍にいた
ただ、場所柄声をかけることはせずにそのタイミングをずっと見計らっているようだった
Nは本に夢中でこちらには気づいていない
あぁ、こういう時に何て声をかけたらいいんだろうか
いつも気づいて貰ってたから解らない
でも
今やらなきゃ
「ぇ…Nっ!お待たせっ!!」
軽い助走をつけて駆け込み、Nの腕に抱き着いた
「ごめんね、何度も待たせて。もう大丈夫だよ!」
ギュッと腕を絡ませて薔夜はNに密着する
一瞬、Nは驚いた顔を見せるが、本を閉じて棚に戻すと薔夜の頭をポンポンと叩いて頷いた
周囲で様子を伺っていた女性陣も、あからさまな彼女の登場にNへの興味をなくしていく
腕を組んだまま本屋を出て帰路に着く二人
「薔夜、もう大丈夫だと思うよ」
「‥何が?」
首を傾げた薔夜にNが絡ませた腕を見つめる
「あっ…うん‥」
「ごめんね、気づいてあげれなくって。薔夜に恥ずかしい事させる事になって」
腕を離しかけた薔夜はNのセリフに手を止める
「でも、まさか薔夜がいきなり人前で抱き着いて来るとは思わなかったから驚いたよ」
それを思い出したのか、Nは小さく笑う
普段しない事して緊張したでしょう?と薔夜の頭を優しく撫でた
「Nは‥人前で抱き着かれたりするの…好き‥?」
俯いて、まだ腕を離さないまま薔夜はNに聞く
「うん。好きだね。薔夜を独占できた気になる」
「じゃあっ…」
と勢いよく顔を上げた薔夜は、Nの瞳とぶつかって固まった
いざとなったら心に決めた事さえ言えない
一度深呼吸をしてから左右を見て人通りの確認
さほど人通りがないのを確認して、もう一度深呼吸
そして
「あのね、今ギュッてして欲しい」
ダメ?と弱々しく付け足す薔夜に、Nは首を振る
「今日はどうしたんだい?」
Nが優しく抱きしめてくれるのを感じながら、薔夜はNの問いに心の中で答える
「‥Nにギュッてされると落ち着くの」
「そう」
抱きしめられた腕の中でスリスリと胸に顔を寄せてNを抱き返す
「‥いっぱいギュウされたい…Nが私専用だっていつでも皆に言いたい」
見上げた薔夜に、Nが微笑む
「…ヤキモチ、妬いたのかい?」
やっと答えが解ったっていうような声で
優しく薔夜を見つめて
「おバカさんだね」
薔夜の顎を掴んで軽いキス
「っ…」
慌てて辺りを見回す薔夜にNはまた笑って
「いつだって僕はキミ専用だよ」
だからもっと甘えて?
赤くなってコクコクと頷き返す薔夜を見て、時間はかかりそうだ、と思いながら
それでも離れない腕に満足して、Nはもう一度薔夜にキスをした
END
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【あとがき】
フリーリク、薔夜様からのリクで、いつもは照れて甘えないヒロインが、Nも驚くくらい甘える、という指定でいただきました
こんなのになりましたがお受け取りいただけましたら幸いです(__)
今回は恥ずかしいのと嫉妬心の混在で、勢いよく甘える感じで書いてみました
ちょっと砂糖は少ないかもしれません
最初はお酒に酔って‥とかも考えたのですが、無理くさいので辞めに
甘い話って難しいです‥orz
最後だけちょっと砂糖仕様になったかな‥と
2010/11/5