恋愛依存
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「Nっ…!」
突然チェレンが声をあげた
「何だい?」
燐が入れたコーヒーを飲みつつ、視線だけを向かいのチェレンに向ける
「話があるんだろ?聞くよ。でも折角燐が入れてくれたコーヒーが冷めるから飲んだら?」
顎でそれをさせば、チェレンは尚深く眉間にシワを寄せた
左手はコーヒーの入ったマグ
右腕は燐が絡み付いていて動かす事が出来ない
だから、その動作に他意がない事も解ってると思ったんだけど
「チェレン、顔恐いよ…?どうしたの?」
僕の腕に絡み付いたままな燐がチェレンに問う
「…別に‥」
燐に言われて流石に我に返ったのか、チェレンは温くなってるであろうコーヒーに手を伸ばした
それから一息ついてソファの背もたれに体を預けて天井を仰ぐ
「燐、悪いけど外してくれる?」
「え?」
燐が戸惑い、僕の腕を強く掴む
「N‥」
「大丈夫。上の部屋で待ってて」
不安げに僕を見つめる燐にそう告げて、それから耳元で「後で沢山可愛がってあげる」と言えば燐は嬉しそうに頷いた
ちらとチェレンを見ればあからさまに反らされた視線
眉間の深いシワ
眼鏡の奥の動揺
パタンという、2階の部屋のドアが閉まる音が聞こえるのを待って、僕はチェレンに問う
「‥それで?」
まぁ聞かなくたって大体の話は解るんだけど
「燐をいつまであんなにしておくつもりだ?」
「…言ってる意味が解らないよ」
唐突な言葉に思わずコーヒーを飲む手が止まる
「ふざけるなっ!!燐はあんなに依存する子じゃなかった!‥君がカノコに来て、燐はすっかり変わってしまったっ…N、君のせいだ!」
興奮して立ち上がるチェレンを僕は黙って見つめる
「恋愛で女の子は変わるんだよ」
「あれは異常だって言ってるんだ!」
テーブルに手をついての抗議
確かに燐は変わった
でもそれは
僕好みに変えただけという話で
「髪だって…成人式までは切らないって伸ばしはじめたばかりだったのにっ…」
「チェレン、何か勘違いしてないかい?」
拳を握りしめて僕を睨みつけるチェレンが、いぶかしげに僕を見返す
頭はいいみたいだけど
恋愛では馬鹿になるタイプらしい
「燐は僕のものだ」
飲み干したマグをテーブルに置いてチェレンを見れば、顔を赤くして小さく呻く
「好きな人の好みに合わせて自分を変える、それだけの話じゃないか。髪だって別に僕が無理矢理切った訳じゃないよ」
ただ言っただけ
ロングの子よりショートの子の方が好きだな、って
そしたら翌日燐は美容室で髪を切ってきた
言えば彼女が髪を切るのは解りきってた話だけど
勿論、僕の好みに合わせて帰ってきた燐はちゃんと褒めて可愛がってあげた
「燐が自分の意思でしてる事をどうして止めなきゃいけない?」
依存する事の何が悪い?
だって僕は彼女を裏切らない
このまま二人で骨になるまで過ごせればいいと思っている
「チェレン、燐が自分を好きにならなかったからって、お門違いだよ」
「っ…N!キミはっ‥」
ガシャン、と音がして、テーブルにあった花瓶やマグが倒れる
テーブルに乗り上げたチェレンが僕の胸倉を掴んだ
「燐は自立した子だったんだ!それをダメにしたのは君だと言ってるのが解らないのか!?」
「だからそれが燐の意思なら止める必要はないだろう?燐が僕を愛してる証なんだから」
「それの何が愛情だっ‥!?いつも君に張り付いて、君の意見無しには何も考える事もせずに…あれはもう燐じゃない!」
奥歯をギリッと噛み締めてチェレンが叫ぶ
「"キミの"燐ではないんだろうね。理想を押し付けるのはやめなよ」
「Nっ‥」
「殴りたいなら殴ればいい」
それで煩いのが止むなら構わない
それで腹の虫が収まるなら殴られるくらい何て事もないよ
でも
「辞めてチェレン!」
階段から駆け降りて来る燐
そのまま僕を庇うように抱き着いて恐々とチェレンを見る
「‥何に怒ってるのか知らないけど辞めてっ‥Nを傷つけないでっ…」
ギュッと僕を強く抱いて、それから燐は僕を見る
「ごめんなさい‥部屋から出てきてっ…怒ってる‥?」
と聞く
怒ってないよ、と言うと安心したように目を細めた
そのやり取りを見てかチェレンの手が離れる
燐が上の部屋から下りてくる慌ただしい音に気づかないくらい興奮したチェレンのミスだ
「‥話はそれだけかい?」
「あぁ‥」
覇気を無くしてチェレンがソファに座り込む
「燐、悪いんだけど、テーブルを片付けて、チェレンにコーヒー入れてあげてくれるかい?」
「いや、いい」
立ち上がって何とも言えない顔で燐を一瞥した後、チェレンは玄関へ向かう
「チェレン?帰るの?」
そう尋ねる燐の声にも手を上げて答えただけ
チェレンの姿が見えなくなるのを待って、燐が隣で僕を見上げた
「何のお話だったの‥?」
「男同士の内緒話だよ。それより‥」
燐の顎を掴んでキス
「部屋にいるように言ったのに、悪い子だ‥」
「怒ってないって…んっ‥」
怒ってはないよ
全く
寧ろキミが下りてくるのを見越して話をしてたんだから
でも
キミにそんな事言えないでしょ?
言ったところで
キミが何て言うかは、予想出来るけども…
END
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【あとがき】
黒Nのチェレン横恋慕、という事でどうしようかと思ったんですが、全てNの掌の中的な感じにしてみました
ヒロインはNに嫌われたくない一心で依存しちゃった感じで
恋愛しだした瞬間に友達無くす奴っていますよね
今回はそんな感じ
ただ、Nの悪意によって‥というのがポイントですけども
ご要望にお応えできたかは解りませんが、お受け取りいただけると幸いです
また、今後のフリーリクも黒系続きますので、読者様からのご意見、拍手やBBSにてお聞かせいただけると嬉しいです
2010/11/1