手に入らないモノ
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手に入らない
僕には触れられない
解っていて
尚
欲しくなる‥-
「やっぱりサンヨウジムのお茶、すっごく美味しかったよ」
レンが嬉しそうに言って、僕に小さな包みを差し出した
「‥何?これ」
「チェレン、最近イライラしてるみたいだから、デントさんにお願いして‥」
「いらない」
"デント"って他の男の名前が出て、一瞬にしてその包みの価値が無くなる
「‥そ、う‥ごめんね」
僕の無下な言葉に、レンは少し傷ついた顔をしたけども、すぐに表情を消して小さく笑った
「じゃあ、私ハーブティー苦手だし…ベルか‥Nにでもあげるね」
また飛び出した他の男の名前に、僕が眉をひそめたの事も気づかないレン
ごめんね、と告げて去っていこうとするレンから包みを取り上げ、何も言わずにそれを開けて、中の薫りよい茶葉を地面へぶちまける
何が起こったか解らずに目を見開いて僕を見つめるレン
そうやって僕を見ていればいいのに、と心の中で思って、思わず口元が緩んだ
「僕の為の物だったんでしょ?だったら僕がどうしたって構わないよね?」
「っ…酷いよチェレン!」
流石に抗議の声をあげたレンが僕の両肩を掴んで僕を見上げる
「ねぇチェレン、本当にどうしちゃったの?最近変だよ!?」
その上目遣いがまたそそるなんて思いながら、僕はレンの頭を後ろで固定して無理矢理唇を奪った
二の句を次げなくなったレンを眼鏡越しに見下ろせば、さっきよりも狼狽した様子でレンが僕を見つめていた
「…な‥んで…?」
精一杯絞り出したであろう声で疑問を口にして、レンは僕を見つめたまま後ずさる
その様子を見ながら、こんなにも簡単な事だったんだ、と気づいた
手に入らないレンの心
何をしようとも、誰の色にも染まらないレンの心
それでも
その視線を奪うには…
「本当に、気づいてなかったワケ?」
「何、が…」
レンの動揺に合わせてか、風に揺らされて鳴った木々のざわめきが無駄に大きく聞こえる
「僕がずっと君を好きだったって事」
レンが口に手を当てて驚いた顔をする
「ごめん…私‥」
「何で謝るの?」
否定なんてさせない
言わせない
そんなの初めから知ってる
「ムカつくんだよ。他の男の名前が君の口から出るとさ」
解る?と聞けばまた複雑な顔で謝るレン
「もう何でもいいよ…レンの視線を僕だけの物に出来るなら」
少しずつ距離を詰めればレンは後ずさって
何かを拒絶するかのように、何度も首を振る
僕は今
自ら幼なじみの枠を踏み壊したんだと知った
To Be Contenew
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【あとがき】
フリーリク企画の黒化チェレンでした
何となくチェレンの前ふりも入れたかったんですが、何か『いい子』のチェレンにしちゃうと黒化出来ない気がして
限りなく黒に近いグレーから真っ黒になる感じで書きました
煉夜の中ではNの黒とチェレンの黒はタイプが違うと思ってて
Nは自分の気持ちを押し付けるタイプ、全部受け止めて!的な感じで
チェレンは丸めこんじゃう感じかな、って
本当は優しくしたいのに出来ない人
次の狂愛チェレンはそんな不器用さを出せたらいいな…なんて
こんなのになりましたが、お受け取りいただけると嬉しいです(__)
読んで下さった方も、ありがとうございました!(__)
2010/12/8