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Run after the Rabbit

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「っ…また‥」



ポストを開けたレンはその黒い封筒を見つけてビクリと体を震わせる




ここ数日届く得体の知れない手紙は、何故かレンの行動をピタリと言い当て、必ず最後には『キミはかならずココに来る。決して逃げられない』と書かれていた





そんな手紙が来るようになってから、深夜に扉を叩く音がしたり
部屋の物が無くなっていたり、動かされていたり
大きな街に行けば、道路に突き飛ばされたり…


とにかく不思議な事が起こりはじめていたのだった





チェレンやベル、たまに遊びに来るNは勿論、警察にも相談はしたが、未だに犯人の手がかりさえ掴めずにいる


事情を聞きに来たジュンサーさんは『プラズマ団の団員の仕業かもしれない』と考察したが、時間が経つほどにその線は薄くなっていった






レン


突然後ろから抱きすくめられて、レンは思わず悲鳴をあげそうになる




「僕が見るから、開けなくていい」
「…N‥」



それがNだと解って、レンは小さく安堵の息をついた




「N‥私怖いよ…」



自分の身をギュッと抱きしめて震えるレンをまた強く抱きしめて、Nは何度も『大丈夫』と繰り返した






ライブキャスターでチェレンとベルを呼んで、Nはレンを部屋のソファーに座らせ、証拠として溜めておいた手紙の上に、もう一枚重ねて引き出しを閉めた





「もう少しでチェレンとベルも来るだろうから、これでも飲んで」


インスタントのカップスープをレンに手渡して、Nはその傍らに座って肩を抱いた





大人しく身を預けるレンが深い溜息をつく




「もう…引っ越しするしかないのかなぁ‥」



引っ越しを奨められた当初、こんなのは一時的な事だろうし、住み慣れた所を離れたくない、と言ったのはレン



しかし身の危険を感じるような状態が続き、このままでは心身共にどうにかなってしまいそうだ





レンが再び溜息をついた時、玄関の呼び鈴が鳴った






「ボクが出るよ。座ってて」


ビクリと体を震わせたレンの額にキスをしてNは立ち上がる




玄関先からチェレンとベルの声を聞いて、レンはお茶を入れようとキッチンに向かい、悲鳴を上げた





慌てて駆け付けた3人がへたりこんだレンを見つけ、その視線の先‥窓際に張り付けられた黒い紙を見つけて息を飲む







「家の中にまでっ‥」
「クソッ‥」



口元を押さえて悲鳴を上げるベルと紙を引きはがすチェレン



へたりこんで震えるレンに手を貸したNがその背中を優しくさすっている










「もう嫌っ…なんで私がこんな目に‥」






ついに糸が切れたのか、Nに縋り付いて泣くレン



かける言葉もなくレンを見つめるチェレンとベルを見むきもせず、Nは優しくレンの耳元に語りかけた







「ねぇ、レン。僕と一緒に住まない?」




驚いて顔を上げたレンに優しく微笑んで、Nは言葉を続ける






「本当は幼なじみのチェレンやベルと一緒の方がいいのかもしれないけど‥犯人の手が二人に及ばないとも限らない」





言われたレンがギュッと目をつぶって首を振る



「僕は今一人だし、キミが引っ越してしまえば収まると思うんだ。でもまた一人にするのはどうかと思うし‥そうだろ?」



同意を求められたチェレンとベルが互いに顔を見合わせる





「それにね、僕はレンを守りたいんだ」



「わ‥私は、レンさえ良ければ来てくれても構わないんだけど…でも‥」




遠慮がちに呟いて、ベルはチェレンを横目で見る


顎に手をあてて考えこむチェレンはその視線に気づくと小さく頷いた






「僕も勿論構わないよ。でも、今のままここに留まるのは良くないと思う。いっそ離れに住んでるNに任せてみるのもありなんじゃないかな」



勿論、レンの気持ちが第一だけど、と付け加えて、チェレンとベルはレンと同じ視線までしゃがみ込んだ









「でもレン。何かあったらすぐに行くから。僕たちを呼んで」

「何にも出来ないかもしれないけど、私たちはレンの味方だからね」




強く手を握りあって、レンはチェレンとベルを見返し大きく頷いてから、小さな声で『ありがとう』と言った











それから全員で必要な荷物をまとめ、夜を待った方がいいとのチェレンの言に従い、レンはNと共にカノコを出た






夜の闇に紛れて空を飛び、Nの家にたどり着いたレンは、荷解きもほどほどにNのベッドで眠りにつく




翌朝Nに起こされ、彼がリビングのソファーで眠った事を知るとレンはお詫びに、とNに朝食を作った







「何度かレンの作ったご飯を食べたけど、やっぱり美味しいね」



僕が作るのと何か違う、と不思議そうにするNを見て、久方ぶりの快眠もあってかレンはニコニコと笑っていた





それから空いてる部屋にレンの荷物を入れて、ベッドを置き、Nとの共同生活が始まる



Nとの生活は、レンにとって今までの不安やストレスを無くすような、満ち足りた生活だった




そんな生活を2ヶ月続けたある日…











チェレンやベルに手紙を書きたい、と言ったレンに、Nは自分の机の引き出しにある便箋を使うように言った


素直にそれに従ってNの部屋へ行き、引き出しを開けて凍りつく







黒い封筒


黒い便箋





思い出したくもない忌まわしいあの手紙




まさか


まさか



そんな訳がない




便箋を掴んだ手が震えて、今までの優しいNを思い出して、自分の頭をよぎった考えを全力で否定する








「その便箋、僕のお気に入りなんだ」



突然の声に振り返れば、リビングにいたはずのN





「キミは必ずココに来るって言っただろ?」


「なん‥の、冗談…?」





今までに見たこと無いくらい冷たい目でこちらに近づくNに思わず後ずさりながら、レンは何とか顔に引き攣った笑いを浮かべて聞いた







「夜中に迎えに行っても、どんなに手紙を送っても、キミは恥ずかしがって」

「ぇ…N‥?」





Nが何を言ってるのか解らずに問い返すもNは小さく笑うだけ



ついに退路を失ったレンの背中が壁にぶつかって、レンはNを困惑と恐怖の混じった瞳で見つめる





強く手を引かれて強張ったレンの身体を、Nは今までと同じく優しく抱いた














「やっと僕のモノになったね、レン



目を白黒させるレンに反して満面の笑みを浮かべるN




「キミが僕の元にこないのは、きっとカノコに無駄な未練があるからだと思ってね‥」



少し手荒な事をしてしまったけど、許してくれるよね?





そう言って優しくレンの頬を撫で、ゆっくりと口づける




「愛してるよ、レン



拒否の言葉もなくただ黙るレンの瞳から流れた涙を指先で拭い、その目尻に何度もキスをした




レンはそれを遠い事のように感じながらも、もう逃げる事は出来ないのだ、と、心のどこかで理解していたのだった…





END
+++++++++++++++++++
【あとがき】

書きはじめたのは11月なのに何故月をまたいでしまったんでしょうか…(-"-;)



Nが犯人だけど犯人だとばれないように喋らせる事にすごく気をつけてみたんです

そしたら、他人事みたいな言い回しは変だし、かといって自分の事みたいに話したらみんな警戒するし



そんな試行錯誤をしているうちにグダグダと時間がかかってしまいました


10000countのフリーリクが20000count越えしてしまい申し訳ありません(__)
リクして下さったがまだ見て下さってるか謎ですが、お受け取りいただけると幸いです


今回、Nの嘘と最後に気持ち悪さを残す事に気を配りました


ところで『Rabbit』の前には『the』がいると中学で習った気がするんですが…気のせいだったかな‥?


Run after the Rabbit

ウサギを追いかけて


2010/12/4
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