花嫁探し
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レンは警戒心を高めていた
まさかこの街でも遭遇するんじゃないだろうかと
洞窟を出る前までそこにいて、先にフキヨセシティに行ってしまったのだから、どこかに潜んでいて現れても仕方ない
仕方ないのだけども悔やまれる
何故あの洞窟でNを無視して先に出なかったのか、と
例え無視したところで、ごく一部の人がときめくであろう笑みを浮かべて、こちらの行く手を阻むのは目に見えていたのだけども
ポケモンセンター クリア
街中・各民家 クリア
ビニールハウス クリア
周辺道路 クリア
残すはジムのみ…
ジムに挑戦するのとは違った緊張を携えて踏み込んだ物の、その姿はない
「ま、流石にジムの中に潜む訳にもいかないわよね」
そこまで空気の読めない男だとは思いたくない
ジムリーダー戦と言えど攻撃の全てをあの男に向けてしまいそうになる
それで負けたとて悔いはない
それに、世界の変革とやらを防げるのだから完璧だ
バッチを手に入れて鼻歌も出そうなレンの前に突然不吉な緑が立ち塞がる
顔が引き攣るのを感じながら、レンは『うわっ‥!』という声と共に後ずさった
いつもならここで、一部の人にだけ有効な笑顔を浮かべて両手を広げているのだけども、今日のNは少し違った
が
油断はならない
ライモンシティでスタッフさんに『素敵な彼氏さんですね』なんて言われた後に、それまで『素敵な彼氏』の皮を被っていたケモノがその皮を脱いだ事は記憶に新しい
真面目な話をしていて何故そうなるのか、と観覧車の後半で格闘したアレは、よくもまぁ観覧車を止めなかったものだと我ながら感心する
警戒を緩めずに過去の忌まわしい記憶に思いを馳せていれば、Nの話も終わりに近づいていたらしい
伝説のドラゴンポケモンをどうしたこうしたと…
まぁろくな話でもあるまい、と去っていくNを見送るでもなくこれからどうしようかと考えていた時、レンの肩を誰かが叩いた
まさか
振り返って再び緑を視界に入れようとは思いもしなかったのだけども
しかもそれの体温まで感じるとは思うわけもなく
一瞬の事にレンの思考は完全に停止した
「‥ねぇレン。僕とこない?」
初めて聞く切なげな声で言われて思わずドキッとする
まさかこのSKDN(神出鬼没電波N)ごときにトキメキを覚えるなんて、といつもなら思うのに、体は不思議と逆らう事を忘れていた
「キミを傷つけたくない」
「な‥んで…急に…?」
もう今抱きしめられている事なんか忘れて、自分の胸の音が聞こえてないかとか、Nの腕はこんなにも逞しかったのかとか、余計な事ばかりが頭を駆け巡る
「キミを見つけた時からだよ…これから起こる事はキミを傷つけずにはいられない。キミを守りたいんだ」
さっきの話、ちゃんと聞いておけばよかった
チンプンカンプンだ
「今日確信したんだ。キミしかいない。僕にはキミだけだって‥」
あぁ、どうしようか
いつもならドン引きのセリフもこんな風に必死に言われたら何も言えなくなってしまう
自分がNを拒絶していたのは、ただの照れ隠しだったんじゃないかとか
いつものバカみたいな彼は嘘だったんじゃないかとか
何より自分も女の子だったんだと実感する
こんなに必死に自分を守ろうとしてくれる男は他にいるだろうか
「それに、王の横には必ず王妃がいるものだしね」
「…」
何か耳慣れない言葉を聞いた気がしてレンは体を離した
「王‥の…?王妃??」
「そうだよ。僕の旅は花嫁探しでもあるんだよ」
満面の笑みでNは言う
曰く、王として頂点に君臨した時に、隣にいるべき女性は必要で、旅をしながら自分に相応しい女性を探していた、と
「シッポウジムのアロエはおばさんだし既婚者でしょ。ライモンのカミツレはケバいし、このフキヨセのフウロもオツムが足りない感じで困る。ソウリュウにも女の子がいるみたいだけど、幼女は好みじゃないよ」
ボクはロリコンじゃないし、と続けて
「その点キミは完璧だよ。英雄の素質もあるし…ただここが少しざんね‥ふぐっ!?」
レンの胸を撫でたのと華麗なアッパーが決まったのはほぼ同時
よろけながらもNはレンに抱き着こうとするのを辞めない
「照れなくてもいいよ。その内キミの全てが僕のも‥ぐっ」
レンの拳が鳩尾に決まる
ワナワナと震えるレンのそれを歓喜の震えととらえたのか、Nは腹の痛みなど素知らぬ顔で両手を広げた
「キミが僕を求めるのは初めから決まっていた事なんだよ。さぁ、一緒に行こう」
「お断りします」
そんな顔したってもう騙されないぞ。エセ王子
「一瞬でもアンタにときめいたアタシがバカだったわ!」
「へぇ‥ときめいたんだ」
「う、うるさい!」
一生の不覚
Nが珍しく意味不明な事を言わないからって騙された
「ボクの事好きになったでしょ?」
「なってない」
寧ろ百年の恋も冷めた
まさか世界支配の後に王妃がいない王なんてマヌケだからだなんて理由とは
「やれやれ、じゃあやっぱり僕と戦うのかい?一度でも負けたら、僕の物になってもらうよ」
「断る」
約束なんてさせられたら何になるか分かったもんじゃない
「その気にさせてみせるさ」
とレンの手をとってその甲にキスしようとして、Nはそのまま頬を裏手で叩かれる
「このストーカー!いい加減にしなさいよ!!マジでキモい!ウザい!」
「ちょっと、さっきから酷いよ。いくら僕に愛があるからって‥ー」
「人の話聞けやコラ」
懲りずに抱きしめようとしてくるNの腹に蹴りを入れて、レンはNと距離を取る
「いいよ。レンが素直になるまで僕は待つから」
キミはきっと僕の事好きで仕方なくなる
そう言って去っていくN
もうどうしたらそんな不思議な思考でいられるのか
ジム戦よりも疲れるNの相手をさせられて、ふとポケットに突っ込まれていた何かに気づけば、ライブキャスターの番号が書かれた紙とサイズが変えれるオモチャの指輪
『僕とケッコンする気になったら連絡してね』なんてメモも添えられて
やっぱりもう2、3発蹴っておくんだったと後悔して、レンはその紙をクシャリと握り潰してポケットに突っ込む
次に会った時は突っ返してやらなければ
そう思って『次』があることを前提にしている自分に気づいて舌打ち
自転車に跨がって滑走路をダッシュ
忘れてしまおう
寧ろさっきの事は無かった事にしよう
風をきりながらレンは何度も自分に言い聞かせた
「私が好きだからじゃなくて、体裁の為に選ばれるなんて不本意だわ」
なんて呟きながら
END
++++++++++++++++++++
【あとがき】
突発的にギャグっぽいのが書きたくなって書き始めたら途中から甘くなったorz
実は煉夜、先日Nの夢を初めて見ました
多分夢のネタ考えながら寝たからなんでしょうが、Nサン非常にあまのじゃくというかツンデレで手を焼きましたw
最初の2Pくらいはその勢いでww
リクエストの消化が終わらないうちからすいません(__)
息抜き的な感じで
ギャグにしようとして結果甘系になったような…甘ギャグ寄りかな…表記はそうします
ところで女主人公のデザインを見た時、胸が残念だと思ったのは煉夜だけでしょうか?←←←
2010/11/17