本編
真っ暗な空間をふよふよと淡い光が漂っていた。
「ムームー…ムーー(こっちー、こっちだよー)」
ちゅちゅちゅ、ちゅちゅちゅちゅ。
光の後を怖々と小さな動物がついていく。
どこまでも闇が広がるように思える此処は、洞窟だった。
「ムゥム、ムムー(こわくないよー、大丈夫だよー)」
光は小さな動物を気遣いながら、出口へ向かっていく。
するとそこで、ガゴンッと奥から音が響いた。
おそらく洞窟のどこかで岩が崩れたのだろう。
しかし、静まりかえっていた空間では、大げさに反響した。
怯えていた小さな心臓は飛び跳ねて、一目散に駆け出してしまった。
「ムー!ムムムムゥ!!(待ってー!走ったら危ないよー!!)」
光は慌てて追いかけた。すぐに追い越し、先頭を照らす。
幸運なことに何にもぶつかることなく、小さな動物は洞窟の外へ出られた。
だが、暗闇になれた目は、明るい日差しに眩んで先に崖があることに気が付かない。
「ムムー!!(止まってー!!)」
光はモフモフの形となり、崖の手前で小さな動物の体を受け止めた。
勢いで小さな動物は後ろへ転がり、モフモフは崖から落ちる。
岩にぶつかりながら、木にぶつかったりもして。
そして、到着したのは温かい腕の中だった。
「わっ、だ、大丈夫か…!?」
気を失ったモフモフを受け止めたのは、安木 穏 。今日は栗拾いに来ていた。
「気絶してる…?小さいから子どもかな…何の動物だろう。親は…」
穏は上を見上げるが落ちてきたと思われる場所は、ずいぶんと高い。
「野生動物なら本当は置いて行った方が良いんだろうけど、すぐに暗くなるからな…」
背負っていたカゴの中のイガ栗を出して、
そっとモフモフを入れると、元来た道を引き返した。
***
「ムー…(ここは…?)」
モフモフはカゴの中に揺られながら、目を覚ました。
空はいつの間にか夕焼け色だった。
モフモフは光に姿を変えて、そっと浮いた。
「よし、もうすぐ俺の家だからな…あ、あれ、居ない!?」
振り返った穏は、カゴの中にモフモフが居ないことに気が付いた。
「まさか、落としたのか?!お、おーい!!」
慌てて辺りを見渡しながら、森の中へ引き返し始めた穏を見て、光は少し驚いた。
普通は、怖がったり、誑かされたと思うのに、まさか探し始めるなんて初めてだ。
穏の先を行き、道を塞ぐように、光はまたモフモフの姿で現れた。
「あっ、良かったー。君、大丈夫だったか?」
「ムー(大丈夫だよー)」
そしてパッとまた光になって浮き上がる。
「あ、あれ…君は一体…」
「ムゥー…(じゃあねー)」
ふわふわと光は森の中へ消えていった。
穏は首を傾げたが、すぐに気を取り直した。
「まぁ無事みたいだったし、いっか…」
これが、穏と名も無い光の精霊の出会いだった。
「ムームー…ムーー(こっちー、こっちだよー)」
ちゅちゅちゅ、ちゅちゅちゅちゅ。
光の後を怖々と小さな動物がついていく。
どこまでも闇が広がるように思える此処は、洞窟だった。
「ムゥム、ムムー(こわくないよー、大丈夫だよー)」
光は小さな動物を気遣いながら、出口へ向かっていく。
するとそこで、ガゴンッと奥から音が響いた。
おそらく洞窟のどこかで岩が崩れたのだろう。
しかし、静まりかえっていた空間では、大げさに反響した。
怯えていた小さな心臓は飛び跳ねて、一目散に駆け出してしまった。
「ムー!ムムムムゥ!!(待ってー!走ったら危ないよー!!)」
光は慌てて追いかけた。すぐに追い越し、先頭を照らす。
幸運なことに何にもぶつかることなく、小さな動物は洞窟の外へ出られた。
だが、暗闇になれた目は、明るい日差しに眩んで先に崖があることに気が付かない。
「ムムー!!(止まってー!!)」
光はモフモフの形となり、崖の手前で小さな動物の体を受け止めた。
勢いで小さな動物は後ろへ転がり、モフモフは崖から落ちる。
岩にぶつかりながら、木にぶつかったりもして。
そして、到着したのは温かい腕の中だった。
「わっ、だ、大丈夫か…!?」
気を失ったモフモフを受け止めたのは、
「気絶してる…?小さいから子どもかな…何の動物だろう。親は…」
穏は上を見上げるが落ちてきたと思われる場所は、ずいぶんと高い。
「野生動物なら本当は置いて行った方が良いんだろうけど、すぐに暗くなるからな…」
背負っていたカゴの中のイガ栗を出して、
そっとモフモフを入れると、元来た道を引き返した。
***
「ムー…(ここは…?)」
モフモフはカゴの中に揺られながら、目を覚ました。
空はいつの間にか夕焼け色だった。
モフモフは光に姿を変えて、そっと浮いた。
「よし、もうすぐ俺の家だからな…あ、あれ、居ない!?」
振り返った穏は、カゴの中にモフモフが居ないことに気が付いた。
「まさか、落としたのか?!お、おーい!!」
慌てて辺りを見渡しながら、森の中へ引き返し始めた穏を見て、光は少し驚いた。
普通は、怖がったり、誑かされたと思うのに、まさか探し始めるなんて初めてだ。
穏の先を行き、道を塞ぐように、光はまたモフモフの姿で現れた。
「あっ、良かったー。君、大丈夫だったか?」
「ムー(大丈夫だよー)」
そしてパッとまた光になって浮き上がる。
「あ、あれ…君は一体…」
「ムゥー…(じゃあねー)」
ふわふわと光は森の中へ消えていった。
穏は首を傾げたが、すぐに気を取り直した。
「まぁ無事みたいだったし、いっか…」
これが、穏と名も無い光の精霊の出会いだった。
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