私が奪っちゃお。
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「あの子の方が良いんでしょう…!はっきり言いなさいよ!」
震えている声。
ぼろぼろと流れる先輩の涙。
違う。そうじゃない。
僕は睡さんのこんな顔が見たかったんじゃない。
喜ばせたかっただけなのに。
ーーーーーーーーーーーーーー
教師としても、ヒーローとしても仕事がオフの日。
13号の元には1本の電話があった。
「はい、もしもし。」
「亜南さん、ごめんなさい!ミッドナイトさんにこの前のプリ見られちゃいました!」
電話の先は慌てた声のMt.レディ。
その後の内容は覚えていない。
先輩は今、どんな気持ちでいるのだろう。
慌てて家を出て、ミッドナイトを探した。
メッセージの既読もつかない。
電話にも出ない。
家にもいない。
嫌な予感がした。
走り回って漸く見つけたのは、雄英の職員室。
誰もいない室内に探し続けていた彼女がいた。
「睡さん!」
「…あら、13号。」
ぴくりと肩が跳ねる。
振り向いた彼女は、貼り付けたような笑顔だった。
呼び方は、いつもと違っていた。
明らかに一線引かれている事が分かった。
「あの、睡さん。Mt.レディさんとの写真なんですけど…」
「写真?あぁ、あれね。」
合っていた視線を逸らし、パソコンと向き合うミッドナイト。
「あの、ごめんなさい。」
「…何がかしら?」
「睡さんに内緒で、その、二人で出掛けて…」
「別に、いいじゃない。お互いプライベートの時間は必要でしょう?」
ぺこりと下げた頭を上げてもやはり、ミッドナイトはパソコンから目を離さない。
タイミングが悪く電話が鳴り、ミッドナイトが応対する。
仕事の電話。
仕事をこなす彼女はプロで、感じの良い受け応えをしている。
自分はそれが終わるのを待つことしか出来ない。
時計の針が進むのを長く感じた。
「…はい、失礼します。」
電話が終わっても、彼女はこちらを向いてはくれなかった。
「あの、睡さん…。」
「なあに?仕事捗らないから、やる事ないなら帰りなさい。」
「Mt.レディさんとは、何にもなくて。あの写真も記念に撮っただけで。」
「へぇ。今の子は記念にキスするのね。」
漸く画面から目を離して、彼女と目が合った。
怒りより、悲しみを感じている目。
目が腫れている。
慰めたい。誤解を解きたい。
触れたい。好きと伝えたい。
1歩距離を詰めたその時。
「ねぇ、13号。
私達、終わりにしましょう。」
胸が痛い。
1番聞きたくない言葉だった。
視界が歪む。
最低だ。傷つけたのは自分なのに。
「ごめ、なさい。ごめんなさい先輩。」
涙が溢れて止まらなくなった。
ミッドナイトがパソコンを閉じて、席を立つ。
頭を撫でて貰えるかもしれない。
そんな期待は、理想に過ぎなかった。
大好きだった匂いを一瞬だけ感じた。
横を通り過ぎて、扉が閉まる音がした。
全てを失ったような、そんな感覚になった。
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