sweet kiss (紺野×主@甘々)
「....美奈子さん。こっち来て。」
放課後の生徒会室。
あたりは既に暗くなり、外の運動部の活動する声も、だんだんなくなってきた。
美奈子は生徒会長の紺野と共に、来月の生徒総会の資料作成を残って進めていた。
こんな風に2人になれるから君が生徒会に入ってくれてよかった、作業中にこんなことを言いながら紺野は美奈子に微笑む。
そして、資料のホチキス留めがひと段落した頃、紺野は小さな声で美奈子を呼び止めた。
「はい?」
「その...抱きしめても、いいかな。せっかく2人きりになれたんだし。」
「...はい、ど、どうぞ。」
2人して赤面しながら、そっと体を寄せ合う。
紺野は、美奈子の髪からシャンプーの香りがすることに気づくと、それに酔いしれるように片手でやさしく髪を撫でる。
「はは...すまない、どうしても緊張してしまうんだ。」
「わたしも...です。」
2人の間に沈黙が流れるが、決して苦しいものではなかった。時間の流れを噛みしめるような、甘酸っぱい時間。
「美奈子さん、...目を閉じて。」
「はい...」
恐る恐る目を閉じる。ふっと紺野の優しい香りがしたかと思うと、唇に柔らかいものが触れた。それは一瞬で離れ、美奈子の唇に熱を残した。
「好きだよ。」
「ふふ...私も、好きです。先輩。」
お互いに笑い合い、もう一度抱きしめ合う。
キスをしたあとは一変して雰囲気が変わり、甘い時間が、過ぎていく。
(このまま時間が止まればいいのに。)
「んっ.......」
「....っ」
もう一度唇を重ねると、先程よりも深く、長くお互いを求め合う。
美奈子は、呼吸が苦しくなって一度紺野の胸元を軽く叩く。すると紺野は慌てたように唇を離し、顔を覗き込む。
「ご、ごめん!苦しかった?」
「.......っはぁ、はぁ」
ぱっと顔を上げると、頬をほんのり紅潮させてこちらを見つめる紺野と目が合う。
いつもの紺野とは違う、“男”の顔になっている彼をみて、ドクンと心臓が跳ねる。
「大丈夫...です、先輩、もっとしたい...」
「........!!」
美奈子が紺野の胸元のシャツをきゅっと握る仕草が紺野を煽り、美奈子の後頭部に手を添え、深く口づけをしていく。
いつも皆の前で規律正しく、爽やかで優等生な紺野が欲情する姿に、ゾクゾクと興奮を覚える。
美奈子は、口内に入り込んでくる舌に一生懸命応えた。
「......ん、ん......っ」
いつのまにか室内には2人の吐息と、激しい水音が響き渡る。
「美奈子さん.....」
コツ、コツ、コツ.....
「!!」
教室の外から足音が聞こえ、瞬時に身体を離す。身体の力が抜けかけていた美奈子はよろけて、机に手をかけバランスをとった。
ガラッ
「まだ残っているのか?下校時刻を過ぎる。そろそろ帰りなさい。」
「は、はい.......」
「今、帰ろうとしたところです。」
「よろしい。」
学年主任の氷室がドアから顔を覗かせた。
平然を装い返答し、乱れる息を必死で隠す。
氷室が出て行ってから、足音が消えた頃、紺野が口を開いた。
「危なかったね。少しひやひやしたよ。もう帰ろうか。.....これ以上は、止まらなくなりそうだ。」
紺野が苦笑いをしながら言う。
外の電気は既にほとんど消されていた。
「家まで送っていくよ。」
「いえ、悪いです...もう遅いですし。」
「少しでも君と一緒にいたいんだよ。」
「........」
美奈子は、おさまったばかりの熱がまた顔に集まってくるのを感じ、目をそらした。
書類を片付け、室内の電気を消した。
廊下もほとんど電気が消されていて、暗い。
「暗いな。...手、かして。」
「....は、はい。」
美奈子のより一回り大きい紺野の手に触れると、ぎゅっと優しく包まれた。
温かいぬくもりに、つい口元が緩む。
暗い廊下は、いつも歩いているところなのに、なんだか違う世界のように感じた。
こつ、こつ、と2人だけの足音が響く。
(まるで、世界に2人しかいないみたい。)
暗がりの中でも、はっきり輝いて見える隣の恋人は、美奈子の視線に気づくと照れたように笑った。
END
放課後の生徒会室。
あたりは既に暗くなり、外の運動部の活動する声も、だんだんなくなってきた。
美奈子は生徒会長の紺野と共に、来月の生徒総会の資料作成を残って進めていた。
こんな風に2人になれるから君が生徒会に入ってくれてよかった、作業中にこんなことを言いながら紺野は美奈子に微笑む。
そして、資料のホチキス留めがひと段落した頃、紺野は小さな声で美奈子を呼び止めた。
「はい?」
「その...抱きしめても、いいかな。せっかく2人きりになれたんだし。」
「...はい、ど、どうぞ。」
2人して赤面しながら、そっと体を寄せ合う。
紺野は、美奈子の髪からシャンプーの香りがすることに気づくと、それに酔いしれるように片手でやさしく髪を撫でる。
「はは...すまない、どうしても緊張してしまうんだ。」
「わたしも...です。」
2人の間に沈黙が流れるが、決して苦しいものではなかった。時間の流れを噛みしめるような、甘酸っぱい時間。
「美奈子さん、...目を閉じて。」
「はい...」
恐る恐る目を閉じる。ふっと紺野の優しい香りがしたかと思うと、唇に柔らかいものが触れた。それは一瞬で離れ、美奈子の唇に熱を残した。
「好きだよ。」
「ふふ...私も、好きです。先輩。」
お互いに笑い合い、もう一度抱きしめ合う。
キスをしたあとは一変して雰囲気が変わり、甘い時間が、過ぎていく。
(このまま時間が止まればいいのに。)
「んっ.......」
「....っ」
もう一度唇を重ねると、先程よりも深く、長くお互いを求め合う。
美奈子は、呼吸が苦しくなって一度紺野の胸元を軽く叩く。すると紺野は慌てたように唇を離し、顔を覗き込む。
「ご、ごめん!苦しかった?」
「.......っはぁ、はぁ」
ぱっと顔を上げると、頬をほんのり紅潮させてこちらを見つめる紺野と目が合う。
いつもの紺野とは違う、“男”の顔になっている彼をみて、ドクンと心臓が跳ねる。
「大丈夫...です、先輩、もっとしたい...」
「........!!」
美奈子が紺野の胸元のシャツをきゅっと握る仕草が紺野を煽り、美奈子の後頭部に手を添え、深く口づけをしていく。
いつも皆の前で規律正しく、爽やかで優等生な紺野が欲情する姿に、ゾクゾクと興奮を覚える。
美奈子は、口内に入り込んでくる舌に一生懸命応えた。
「......ん、ん......っ」
いつのまにか室内には2人の吐息と、激しい水音が響き渡る。
「美奈子さん.....」
コツ、コツ、コツ.....
「!!」
教室の外から足音が聞こえ、瞬時に身体を離す。身体の力が抜けかけていた美奈子はよろけて、机に手をかけバランスをとった。
ガラッ
「まだ残っているのか?下校時刻を過ぎる。そろそろ帰りなさい。」
「は、はい.......」
「今、帰ろうとしたところです。」
「よろしい。」
学年主任の氷室がドアから顔を覗かせた。
平然を装い返答し、乱れる息を必死で隠す。
氷室が出て行ってから、足音が消えた頃、紺野が口を開いた。
「危なかったね。少しひやひやしたよ。もう帰ろうか。.....これ以上は、止まらなくなりそうだ。」
紺野が苦笑いをしながら言う。
外の電気は既にほとんど消されていた。
「家まで送っていくよ。」
「いえ、悪いです...もう遅いですし。」
「少しでも君と一緒にいたいんだよ。」
「........」
美奈子は、おさまったばかりの熱がまた顔に集まってくるのを感じ、目をそらした。
書類を片付け、室内の電気を消した。
廊下もほとんど電気が消されていて、暗い。
「暗いな。...手、かして。」
「....は、はい。」
美奈子のより一回り大きい紺野の手に触れると、ぎゅっと優しく包まれた。
温かいぬくもりに、つい口元が緩む。
暗い廊下は、いつも歩いているところなのに、なんだか違う世界のように感じた。
こつ、こつ、と2人だけの足音が響く。
(まるで、世界に2人しかいないみたい。)
暗がりの中でも、はっきり輝いて見える隣の恋人は、美奈子の視線に気づくと照れたように笑った。
END