melt (若王子×主@甘々) ※裏
今日は土曜日。
秋の風も身体に染み付き、そろそろ冬が来そうな空模様を眺めながら、美奈子は大学の帰りにとあるアパートを目指し歩いていた。
(鍵、鍵...と)
カバンに鍵があることを確認し、アパートの門をくぐる。
鍵を開け、ドアを開けるとしんと静まり返っている。電気をつけ、コートを脱ぐ。
“土曜の夜、外食に行きませんか。空中庭園の近くに、期間限定でディナーができるそうです。いくべきです。”
“当日は、僕の部屋で待っていてください。早めに帰れるようにがんばります。”
そう言って、恋人で、元担任の貴文さんは先週に電話で誘いを持ちかけてきた。ようやく“先生”呼びが抜けてきたこの頃、合鍵をもらって彼の自宅を自由に行き来出来るようになっていたから、待たされるのも苦じゃなくなった。
(まだ、早いか。)
時計は17時を指している。空はもう暗い。
ベランダの窓をガラッと開けると、ひんやりとした風が頬をすり抜けた。
「さむっ。」
すぐ窓を閉め、カーテンも閉める。
テレビをつけ、テーブルに肘をついてから彼の帰りを待つ。
(早く来ないかなぁ)
..............
「......子、........美奈子さん......」
頭の片隅で声が聞こえる。
柔らかくて、愛しい、あの声だ。
わかるのに、身体が言うことをきかない。
「美奈子さん、起きて。」
「......ん。」
「あ、起きましたね。ただいま帰りました。」
「.......せんせ」
若王子は美奈子の頭を撫で、テーブルに突っ伏していた身体を支えて起こそうとする。
「先生って言った、寝ぼけてますね?遅くなってすみません。ささ、起きて。」
「....んー...私、寝ちゃってましたか。」
「寝ちゃってましたね。文化祭の準備で、僕の帰りが遅いせいです。」
寝起きで頭が働かず、ぼーっとする。
暖房をつけてくれたのか、部屋が暖かい。
隣ですこし申し訳なさそうな顔をしている若王子がとても愛おしくて、眠い目をこすりながら肩にこてんと頭を乗せてみる。
「美奈子さん。まだ眠い?」
くすくすと笑い、頭をぽんぽんと撫でる。
(貴文さんの手、気持ちいい...)
美奈子は、なんだか若王子に触れたい気持ちになり、そのまま太ももの上に頭を乗せる。
「やや、なんてナチュラルな膝枕。」
「...貴文さん、好きです。」
「どうしたんですか、急に。」
若王子は美奈子の頬を撫でながら、微笑む。
本当に、端正で綺麗な顔だなぁとしみじみ思いながら、美奈子は若王子の腰に手を回し、ぎゅっと抱きつく。膝枕をしながらのため、美奈子の顔がお腹にあたり、若王子はくすぐったそうに少し身を捩る。
「甘えんぼさんですね。もう大学生なのに。」
「いやですか?」
「いえ、可愛いよ。僕も甘やかしたくて仕方がないです。」
そう言うと、若王子は美奈子を起き上がらせ、そのままソファに身体をゆっくりと押し倒し、その上に馬乗りになった。優しい顔をしながら、若王子の大きな手が、頬を撫でる。
「........っ」
「本当に、可愛いです。」
若王子はそう呟くと、そのまま顔を斜めに傾けら美奈子に唇を落とした。
唇をついばむようにリップ音を立てて、美奈子の唇を奪っていく。
「....ん、ん.......」
やがて、美奈子の唇の間に舌が差し込まれ、美奈子の舌に絡みつく。
ぬるっとした熱い感触と若王子の優しい匂いに、美奈子の心拍は上昇し、頬は紅潮する。
「...ふぁっ....んん....っ」
「............っ」
後頭部を手で抑えられ逃げられない中、音を立てながら舌を吸われる。舌で歯列をなぞられ、口だけでなく耳まで快感に襲われるようで、全身がゾクゾクと反応し、咄嗟に若王子のシャツをぎゅっと掴んだ。
若王子のキスに翻弄され、呼吸が乱れていく。
唇が離れると、同じく息を乱れさせている若王子と目が合う。
「...美奈子さん、綺麗ですよ。」
「......っ。」
注がれる熱い眼差しに、胸がドクンドクンと鼓動しているのがわかる。
美奈子は若王子の頬に両手を添え、そっと引き寄せてキスをした。
それが合図になったように、若王子の手が美奈子の服の中に入り込む。
首元にキスをしながら、若王子の細長い指が、するすると腰、お腹、そして胸の順に這っていく。触れられるたびにビクッと反応する美奈子の身体を楽しんでいるかのように、若王子の手は肌を撫でる。
「ん...っ、...せんせ...ぁっ」
「咄嗟に先生呼びになる癖、そろそろ直さないとだめですよ?なんだか、いけないことをしている気分になってしまいます。」
「....私が現役の時、デートで手を繋いでたのに?」
「はは、痛いところをつかれました。...ベッド、いきましょうか?」
互いにふふっと笑い合い、再度唇を重ねる。
若王子は美奈子をお姫様抱っこのように抱きかかえると、ベッドの上に優しく下ろした。
そして、深く深く口づけながら、若王子が美奈子の背中に手を回し、ブラジャーのホックを外す。
解放されたそこを優しく愛撫され、美奈子の口から吐息が漏れる。
「...んっ...んぅ...っ」
若王子は美奈子の胸に顔を埋め、愛撫を繰り返す。それは徐々に下に向かい、お腹、臍、恥骨、腰のラインに沿って唇を落としていった。
そして、湿り気を帯びたショーツの中央に人差し指を添え、くすっと笑う。
「もうこんなにして。感じてるんですね。」
「......っ恥ずかしい、です...」
「大丈夫。またすぐに恥じらいなんてなくなりますよ。...腰あげて。」
ショーツの紐に手をかけ、するっとそれを美奈子の身体から抜き取る。
美奈子の中心は、若王子を待ちわびているかのように蜜を溢れさせていた。
若王子は美奈子の太ももに手を添え、ゆっくり足を開かせていく。
「あっ....いやっ....」
美奈子の抵抗も虚しく、若王子の手によって太ももは閉じるのを防がれた。
若王子は、少し後ろに下がり、美奈子の太ももをぐっと抑えると、そのまま美奈子の中心に口づけた。びりっと身体に電撃が走るような快楽に、思わず顔を上に向ける。
「ぁあ....っあ!貴文さ....っんんん...っ!」
キスより激しいリップ音に、美奈子の羞恥心は限界に達してしまうほどなのに、快感によってそれは頭から抜け落ちていった。
行き場を失った美奈子の手は、若王子の柔らかい癖っ毛に触れる。
「あぁっ...きもち...気持ちいい...です...っ!」
若王子の舌が、美奈子の中心を這いずり回り、膣の中を何度も出入りする。かと思えば隠核を包むように愛撫され、快楽で腰ががくがくと勝手に動いてしまう。
「貴文さん...っもうだめぇ...っ!あっ...ぁあ...!」
「美奈子さん...」
若王子は口を離し、愛おしそうに美奈子の名前を呼ぶ。美奈子は肩で息をしながら、うっすらと開いた手で若王子を見つめた。
若王子は、美奈子の手を掴み、自分の中心に持っていき、重ねる。完全に硬くなっているそれに、美奈子はごくんと唾を飲む。
「美奈子さん、僕のはもうこんなになっちゃいました。」
「貴文さん...」
美奈子は身体を起こすと、若王子の向かいに座わった。ズボンのベルトに手をかけ、外していく。ズボンに手をかけ、若王子に腰を浮かせるよう目で訴える。
「...してくれるんですか?」
「......。」
若王子は腰を浮かせ、自らズボンを脱いでいく。ボクサーパンツの下ではっきり形を示している膨張したそれを、美奈子は恐る恐る手で撫でていく。上下に擦るとそれは、びく、と反応を示す。
「........っはぁ...」
若王子が微かに吐息を漏らした。それがわかり、美奈子はパンツに手をかけ下にずらす。
すると、勢いよく若王子の陰茎が飛び出してきた。何度も見たことあるものだが、やはりまだ恥じらいは消えない。
根本から先端まで、ちゅ、と音を立てて唇を落としていく。若王子の手が美奈子の髪をかき分ける。美奈子の髪が耳にかけられた時、根元から一気に舐め上げると、若王子の身体がびくっと震えた。
「......っう、...気持ちいいですよ....」
「........ん、ん」
先端を口に含み、喉の手前まで口の中に飲み込んでいく。奥に入りすぎてむせないよう、右手を陰茎の根元に添える。
「....っ上手です」
咥えながら上を向くと、少し切なそうな顔をして微笑んでいる彼と目が合う。その瞬間、いつのまにか美奈子の下半身に伸びていた人差し指が、つぷ、と美奈子の入り口に挿入した。
「...んんんっ...!!ん...っ」
「...はぁ......今からその咥えているものが、“ここ”に入るんですから、ちゃんと慣らしておかないと...ね...っ」
くちゅ、くちゅと音を立てて美奈子の中心がかき回されていく。美奈子の身体がびくんと跳ね、蜜は溢れるのをやめない。
「...ぁあっ....貴文さん...っもう...っ」
ものから口を離し、美奈子は若王子の腕に触れる。すると若王子は優しく頷き、美奈子を仰向けに寝かせと、ベッドサイドから避妊具を取り出し、自身に装着する。
「...やや、そんなにまじまじ見ないでください...。」
照れたようにそう言いながら、美奈子の覆いかぶさるように向かい合わせになった。
そして、美奈子の両足を開き、中心に先端を当てる。
「美奈子さん...いれますよ。」
「貴文さん.....っ、あっ...あぁ...!」
熱くて大きな塊が、ゆっくりと圧をかけて入り口をこじ開けてくるのを美奈子は全身で感じた。
溢れている蜜で、それはぬるりと入っていく。
それはだんだん奥へ奥へ誘われていき、美奈子の太ももが若王子の暖かい肌と触れ合い、全部入ったのだということがわかった。
美奈子の中はいっぱいいっぱいに広がり、圧迫感の中、快楽がだんだんと高まってくるのを感じる。
「ぁっ....!はぁ....ぁあ....っん....」
「...はぁ...っ」
若王子の色っぽい吐息に胸がどくんと跳ねる。
そして若王子はゆっくりと腰を引き、またゆっくりと腰を進める。
「....っんんん....!!」
美奈子は漏れる声をおさえるため手を口元に持っていくが、それはすぐ若王子によって解放されてしまう。
やがて、腰の動きはだんだんと速度を上げ、美奈子の身体ががくがくと震える。また、ベッドもギシギシと音を立て、行為の激しさを表しているようで、それがさらに美奈子の快楽を掻き立てた。
「...ぁっ、たか、ふみ、さ....っ!ぁあん...っ!んっ!んん...っ!」
「....はぁっ...きもちいですか...っ?僕は、...気持ち良すぎて....っおかしくなりそうです...!はぁ.......っ!」
眉間にしわを寄せた若王子の額にうっすら汗が滲み、色素の薄い癖っ毛が少し張り付いている。
若王子が突き上げるたびに美奈子の声は漏れ、お互いの吐息は激しくなる。
そうしているうちに、だんだんと快楽の波が高まり、飲まれそうになる。
「...あっ...!...だめっ...!私...っぁあ...っ!なんか....ぅ...んぁっ!」
「....っイきそう?...あぁ、可愛いです.....っはぁ...美奈子さん....っ」
若王子はわざとぐりぐりと美奈子の中のとある一点に当たるよう腰を打ち付ける。
そこに当たると、美奈子の声色が変わり、身体が激しく感じるのを若王子は知っていた。
「あっあっあっ....!!だめ貴文さ....っ...んっ..!!!んぅう....っぁああ.....っ!!」
若王子が一際奥に突き上げた瞬間、美奈子の腰がびくんびくんと痙攣し、そのままぐたっと脱力した。
「...はぁ...はぁ.....っうう....っ」
「全く君は....すごく厭らしいです....っ」
若王子は余裕のない表情を見せると、美奈子を抱きかかえるように身体を沈め、口づけた。
ぺろっと舌を舐められたと思えば、快楽の律動が再度始まり、美奈子は必死に喘いだ。
「....あっあ...!!んん.....っふぅ.....きもちい....っ!」
「.......っく....!!ぅ......っ」
肌と肌がぶつかる音が一際激しくなり、若王子は吐息を漏らすと美奈子の中で若王子のものが弾けた。
激しい律動が止まり、若王子はぐったりと美奈子の上に倒れ込み、肩に手を回して抱きしめた。
「...はぁ、はぁ......っ愛してます...」
「ん....貴文さん......」
2人はチュッと口付けると、どちらともなく微笑んだ。
..................
「今日は、ディナーに行けずすみません。」
「大丈夫です。期間限定が終わる前に行きましょうね。」
時刻は21時を回り、若王子はしょんぼりとした様子で美奈子に声をかけた。
結局愛し合う時間が長く、行く時間がなくなってしまったため、家にあったもので晩御飯を作ったのだった。
「男の性はつらいです。」
「.......性って。でも、幸せでしたし、いいです。」
美奈子が微笑むと、若王子は深いため息をついて美奈子を抱きしめた。
「?」
「...また“性”が暴走してしまいそうになりました。」
「...!もう!貴文さん!」
美奈子は若王子の癖っ毛の髪をぺしっと叩く。
“先生”だったのに、たまに子供のようにも見える彼に、愛おしさが溢れそうになる。
外が寒いことなんてさっぱり忘れてしまうような、そんな冬のはじめだった。
END
秋の風も身体に染み付き、そろそろ冬が来そうな空模様を眺めながら、美奈子は大学の帰りにとあるアパートを目指し歩いていた。
(鍵、鍵...と)
カバンに鍵があることを確認し、アパートの門をくぐる。
鍵を開け、ドアを開けるとしんと静まり返っている。電気をつけ、コートを脱ぐ。
“土曜の夜、外食に行きませんか。空中庭園の近くに、期間限定でディナーができるそうです。いくべきです。”
“当日は、僕の部屋で待っていてください。早めに帰れるようにがんばります。”
そう言って、恋人で、元担任の貴文さんは先週に電話で誘いを持ちかけてきた。ようやく“先生”呼びが抜けてきたこの頃、合鍵をもらって彼の自宅を自由に行き来出来るようになっていたから、待たされるのも苦じゃなくなった。
(まだ、早いか。)
時計は17時を指している。空はもう暗い。
ベランダの窓をガラッと開けると、ひんやりとした風が頬をすり抜けた。
「さむっ。」
すぐ窓を閉め、カーテンも閉める。
テレビをつけ、テーブルに肘をついてから彼の帰りを待つ。
(早く来ないかなぁ)
..............
「......子、........美奈子さん......」
頭の片隅で声が聞こえる。
柔らかくて、愛しい、あの声だ。
わかるのに、身体が言うことをきかない。
「美奈子さん、起きて。」
「......ん。」
「あ、起きましたね。ただいま帰りました。」
「.......せんせ」
若王子は美奈子の頭を撫で、テーブルに突っ伏していた身体を支えて起こそうとする。
「先生って言った、寝ぼけてますね?遅くなってすみません。ささ、起きて。」
「....んー...私、寝ちゃってましたか。」
「寝ちゃってましたね。文化祭の準備で、僕の帰りが遅いせいです。」
寝起きで頭が働かず、ぼーっとする。
暖房をつけてくれたのか、部屋が暖かい。
隣ですこし申し訳なさそうな顔をしている若王子がとても愛おしくて、眠い目をこすりながら肩にこてんと頭を乗せてみる。
「美奈子さん。まだ眠い?」
くすくすと笑い、頭をぽんぽんと撫でる。
(貴文さんの手、気持ちいい...)
美奈子は、なんだか若王子に触れたい気持ちになり、そのまま太ももの上に頭を乗せる。
「やや、なんてナチュラルな膝枕。」
「...貴文さん、好きです。」
「どうしたんですか、急に。」
若王子は美奈子の頬を撫でながら、微笑む。
本当に、端正で綺麗な顔だなぁとしみじみ思いながら、美奈子は若王子の腰に手を回し、ぎゅっと抱きつく。膝枕をしながらのため、美奈子の顔がお腹にあたり、若王子はくすぐったそうに少し身を捩る。
「甘えんぼさんですね。もう大学生なのに。」
「いやですか?」
「いえ、可愛いよ。僕も甘やかしたくて仕方がないです。」
そう言うと、若王子は美奈子を起き上がらせ、そのままソファに身体をゆっくりと押し倒し、その上に馬乗りになった。優しい顔をしながら、若王子の大きな手が、頬を撫でる。
「........っ」
「本当に、可愛いです。」
若王子はそう呟くと、そのまま顔を斜めに傾けら美奈子に唇を落とした。
唇をついばむようにリップ音を立てて、美奈子の唇を奪っていく。
「....ん、ん.......」
やがて、美奈子の唇の間に舌が差し込まれ、美奈子の舌に絡みつく。
ぬるっとした熱い感触と若王子の優しい匂いに、美奈子の心拍は上昇し、頬は紅潮する。
「...ふぁっ....んん....っ」
「............っ」
後頭部を手で抑えられ逃げられない中、音を立てながら舌を吸われる。舌で歯列をなぞられ、口だけでなく耳まで快感に襲われるようで、全身がゾクゾクと反応し、咄嗟に若王子のシャツをぎゅっと掴んだ。
若王子のキスに翻弄され、呼吸が乱れていく。
唇が離れると、同じく息を乱れさせている若王子と目が合う。
「...美奈子さん、綺麗ですよ。」
「......っ。」
注がれる熱い眼差しに、胸がドクンドクンと鼓動しているのがわかる。
美奈子は若王子の頬に両手を添え、そっと引き寄せてキスをした。
それが合図になったように、若王子の手が美奈子の服の中に入り込む。
首元にキスをしながら、若王子の細長い指が、するすると腰、お腹、そして胸の順に這っていく。触れられるたびにビクッと反応する美奈子の身体を楽しんでいるかのように、若王子の手は肌を撫でる。
「ん...っ、...せんせ...ぁっ」
「咄嗟に先生呼びになる癖、そろそろ直さないとだめですよ?なんだか、いけないことをしている気分になってしまいます。」
「....私が現役の時、デートで手を繋いでたのに?」
「はは、痛いところをつかれました。...ベッド、いきましょうか?」
互いにふふっと笑い合い、再度唇を重ねる。
若王子は美奈子をお姫様抱っこのように抱きかかえると、ベッドの上に優しく下ろした。
そして、深く深く口づけながら、若王子が美奈子の背中に手を回し、ブラジャーのホックを外す。
解放されたそこを優しく愛撫され、美奈子の口から吐息が漏れる。
「...んっ...んぅ...っ」
若王子は美奈子の胸に顔を埋め、愛撫を繰り返す。それは徐々に下に向かい、お腹、臍、恥骨、腰のラインに沿って唇を落としていった。
そして、湿り気を帯びたショーツの中央に人差し指を添え、くすっと笑う。
「もうこんなにして。感じてるんですね。」
「......っ恥ずかしい、です...」
「大丈夫。またすぐに恥じらいなんてなくなりますよ。...腰あげて。」
ショーツの紐に手をかけ、するっとそれを美奈子の身体から抜き取る。
美奈子の中心は、若王子を待ちわびているかのように蜜を溢れさせていた。
若王子は美奈子の太ももに手を添え、ゆっくり足を開かせていく。
「あっ....いやっ....」
美奈子の抵抗も虚しく、若王子の手によって太ももは閉じるのを防がれた。
若王子は、少し後ろに下がり、美奈子の太ももをぐっと抑えると、そのまま美奈子の中心に口づけた。びりっと身体に電撃が走るような快楽に、思わず顔を上に向ける。
「ぁあ....っあ!貴文さ....っんんん...っ!」
キスより激しいリップ音に、美奈子の羞恥心は限界に達してしまうほどなのに、快感によってそれは頭から抜け落ちていった。
行き場を失った美奈子の手は、若王子の柔らかい癖っ毛に触れる。
「あぁっ...きもち...気持ちいい...です...っ!」
若王子の舌が、美奈子の中心を這いずり回り、膣の中を何度も出入りする。かと思えば隠核を包むように愛撫され、快楽で腰ががくがくと勝手に動いてしまう。
「貴文さん...っもうだめぇ...っ!あっ...ぁあ...!」
「美奈子さん...」
若王子は口を離し、愛おしそうに美奈子の名前を呼ぶ。美奈子は肩で息をしながら、うっすらと開いた手で若王子を見つめた。
若王子は、美奈子の手を掴み、自分の中心に持っていき、重ねる。完全に硬くなっているそれに、美奈子はごくんと唾を飲む。
「美奈子さん、僕のはもうこんなになっちゃいました。」
「貴文さん...」
美奈子は身体を起こすと、若王子の向かいに座わった。ズボンのベルトに手をかけ、外していく。ズボンに手をかけ、若王子に腰を浮かせるよう目で訴える。
「...してくれるんですか?」
「......。」
若王子は腰を浮かせ、自らズボンを脱いでいく。ボクサーパンツの下ではっきり形を示している膨張したそれを、美奈子は恐る恐る手で撫でていく。上下に擦るとそれは、びく、と反応を示す。
「........っはぁ...」
若王子が微かに吐息を漏らした。それがわかり、美奈子はパンツに手をかけ下にずらす。
すると、勢いよく若王子の陰茎が飛び出してきた。何度も見たことあるものだが、やはりまだ恥じらいは消えない。
根本から先端まで、ちゅ、と音を立てて唇を落としていく。若王子の手が美奈子の髪をかき分ける。美奈子の髪が耳にかけられた時、根元から一気に舐め上げると、若王子の身体がびくっと震えた。
「......っう、...気持ちいいですよ....」
「........ん、ん」
先端を口に含み、喉の手前まで口の中に飲み込んでいく。奥に入りすぎてむせないよう、右手を陰茎の根元に添える。
「....っ上手です」
咥えながら上を向くと、少し切なそうな顔をして微笑んでいる彼と目が合う。その瞬間、いつのまにか美奈子の下半身に伸びていた人差し指が、つぷ、と美奈子の入り口に挿入した。
「...んんんっ...!!ん...っ」
「...はぁ......今からその咥えているものが、“ここ”に入るんですから、ちゃんと慣らしておかないと...ね...っ」
くちゅ、くちゅと音を立てて美奈子の中心がかき回されていく。美奈子の身体がびくんと跳ね、蜜は溢れるのをやめない。
「...ぁあっ....貴文さん...っもう...っ」
ものから口を離し、美奈子は若王子の腕に触れる。すると若王子は優しく頷き、美奈子を仰向けに寝かせと、ベッドサイドから避妊具を取り出し、自身に装着する。
「...やや、そんなにまじまじ見ないでください...。」
照れたようにそう言いながら、美奈子の覆いかぶさるように向かい合わせになった。
そして、美奈子の両足を開き、中心に先端を当てる。
「美奈子さん...いれますよ。」
「貴文さん.....っ、あっ...あぁ...!」
熱くて大きな塊が、ゆっくりと圧をかけて入り口をこじ開けてくるのを美奈子は全身で感じた。
溢れている蜜で、それはぬるりと入っていく。
それはだんだん奥へ奥へ誘われていき、美奈子の太ももが若王子の暖かい肌と触れ合い、全部入ったのだということがわかった。
美奈子の中はいっぱいいっぱいに広がり、圧迫感の中、快楽がだんだんと高まってくるのを感じる。
「ぁっ....!はぁ....ぁあ....っん....」
「...はぁ...っ」
若王子の色っぽい吐息に胸がどくんと跳ねる。
そして若王子はゆっくりと腰を引き、またゆっくりと腰を進める。
「....っんんん....!!」
美奈子は漏れる声をおさえるため手を口元に持っていくが、それはすぐ若王子によって解放されてしまう。
やがて、腰の動きはだんだんと速度を上げ、美奈子の身体ががくがくと震える。また、ベッドもギシギシと音を立て、行為の激しさを表しているようで、それがさらに美奈子の快楽を掻き立てた。
「...ぁっ、たか、ふみ、さ....っ!ぁあん...っ!んっ!んん...っ!」
「....はぁっ...きもちいですか...っ?僕は、...気持ち良すぎて....っおかしくなりそうです...!はぁ.......っ!」
眉間にしわを寄せた若王子の額にうっすら汗が滲み、色素の薄い癖っ毛が少し張り付いている。
若王子が突き上げるたびに美奈子の声は漏れ、お互いの吐息は激しくなる。
そうしているうちに、だんだんと快楽の波が高まり、飲まれそうになる。
「...あっ...!...だめっ...!私...っぁあ...っ!なんか....ぅ...んぁっ!」
「....っイきそう?...あぁ、可愛いです.....っはぁ...美奈子さん....っ」
若王子はわざとぐりぐりと美奈子の中のとある一点に当たるよう腰を打ち付ける。
そこに当たると、美奈子の声色が変わり、身体が激しく感じるのを若王子は知っていた。
「あっあっあっ....!!だめ貴文さ....っ...んっ..!!!んぅう....っぁああ.....っ!!」
若王子が一際奥に突き上げた瞬間、美奈子の腰がびくんびくんと痙攣し、そのままぐたっと脱力した。
「...はぁ...はぁ.....っうう....っ」
「全く君は....すごく厭らしいです....っ」
若王子は余裕のない表情を見せると、美奈子を抱きかかえるように身体を沈め、口づけた。
ぺろっと舌を舐められたと思えば、快楽の律動が再度始まり、美奈子は必死に喘いだ。
「....あっあ...!!んん.....っふぅ.....きもちい....っ!」
「.......っく....!!ぅ......っ」
肌と肌がぶつかる音が一際激しくなり、若王子は吐息を漏らすと美奈子の中で若王子のものが弾けた。
激しい律動が止まり、若王子はぐったりと美奈子の上に倒れ込み、肩に手を回して抱きしめた。
「...はぁ、はぁ......っ愛してます...」
「ん....貴文さん......」
2人はチュッと口付けると、どちらともなく微笑んだ。
..................
「今日は、ディナーに行けずすみません。」
「大丈夫です。期間限定が終わる前に行きましょうね。」
時刻は21時を回り、若王子はしょんぼりとした様子で美奈子に声をかけた。
結局愛し合う時間が長く、行く時間がなくなってしまったため、家にあったもので晩御飯を作ったのだった。
「男の性はつらいです。」
「.......性って。でも、幸せでしたし、いいです。」
美奈子が微笑むと、若王子は深いため息をついて美奈子を抱きしめた。
「?」
「...また“性”が暴走してしまいそうになりました。」
「...!もう!貴文さん!」
美奈子は若王子の癖っ毛の髪をぺしっと叩く。
“先生”だったのに、たまに子供のようにも見える彼に、愛おしさが溢れそうになる。
外が寒いことなんてさっぱり忘れてしまうような、そんな冬のはじめだった。
END