設定しない場合の主人公の名前は、ブラウニーとなります。
001〜050
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ブラウニーは、週末にホグズミードへ行く生徒たちの引率のメンバーに加わっていて、予定ではフリットウィック先生とともに最後尾につくことになっていた。
当日の朝、ホグズミードへ行く生徒たちは朝食後、エントランスに集合した。
マグゴナガル先生が後ろに控えているブラウニーの方を振り向きながら、先頭集団を引き連れていく。
「それでは、最後尾をお願いしますね!」
「はい!」
しかし、辺りを探せども探せども、フリットウィックの姿が見つからない。
はじめは、ホグズミードに行きたくてうずうずしている生徒たちの中に、小柄な身長ゆえ紛れてしまったのかとも思ったが、生徒たちの数が減ってきても、フリットウィックは姿を現さなかった。
案外、最後尾の生徒たちがホグズミードに着く頃には、彼はもう既にパブ「三本の箒」でバタービールを飲んでいるのかもしれないとブラウニーが思ったときのことだった。
「…すまないね!遅れてしまった!」
エントランスを走ってやってきたのはルーピンで、その姿に気が付いて振り向いたのは、ブラウニーを含め、わずか数人だった。
もうほとんどの生徒たちの足はホグズミードに向かっており、どこの店で何を買うかと盛り上がっていて、最後尾の先生が誰かなど全く興味がない様子だった。
ルーピンの姿に気付いた生徒たちからは、「先生、遅いですよ!」などという声がかけられ、彼は息を切らしながら、笑顔で対処していた。
「…さあさあ、みんなも前に続いて」
ルーピンは生徒たちに声をかけると、聞きたいことのありそうなブラウニーをよそに、彼女の隣に並んだ。
「さて…私たちも行こうか」
二人の前を行く生徒たちと少し距離が取れたところで、ブラウニーは小声で聞いた。
「…何でここに?」
わざとらしく、残念そうな表情を浮かべるルーピンは答えた。
「フリットウィック先生が、急に体調を崩されてね」
ブラウニーは怪訝そうな顔をした。
朝食時には、フリットウィックがいつも通り、他の教授陣に並んで着席していたのをブラウニーは見ていたからだ。
とてもあのあと体調を崩したとは考えにくい。
そんなブラウニーの表情に気付いているのかいないのか、ルーピンは続けた。
「先生方の手が足りなくなってしまうといけないから、その応援に来たというわけさ」
ルーピンが満足そうに笑ったのを見て、ブラウニーはルーピンの遅れて来た理由に概ね察しがついた。
「…一体、フリットウィック先生は、どんな交換条件を飲んでくれたんですか?」
おや、という顔をしてルーピンが言う。
「さすがだね。…まあ、『飲む』のは私たちが帰ってからなんだけどね」
「まさか、『三本の箒』でテイクアウトの約束を?」
笑顔が肯定していた。
ルーピンは、前を歩く生徒たちを一瞬見て、小声で言った。
「こうして束の間のデートができるんだ。そのためなら、私は何でもするつもりだよ」
緩やかな下り坂を歩いている途中、ぽつぽつと雨が降ってきた。
生徒たちの列に傘が広がっていく。
これだけの生徒がいれば、傘を忘れた生徒たちも少なからずいるようで、既に広がった傘の下に入れてもらっている様子が遠巻きに見て取れた。
そうこうしている間に、ブラウニーは自分自身も傘を忘れたことに気が付いた。雨に濡れないよう、咄嗟に頭に手を載せていた。
「すみません、傘…持ってくるの忘れちゃいました」
しかし、頭上に載せた手に雨の滴は落ちてこなかった。
「ほら、やっぱり私が来て良かった」
ルーピンは既に大きな傘を広げており、それをブラウニーの頭上に差していた。
「レディー、お手をどうぞ」
ルーピンは、傘を持つ手と反対の手を差し出した。
「いやっ、いくら何でもさすがにそれは…!」
胸の前でぶんぶんと小さく手を振るブラウニーに、ルーピンは微笑んだまま言った。
「大丈夫だよ」
ブラウニーの手を取った。
そしてルーピンはわざと大きな声で言った。
「おっと!…先生、大丈夫ですか?ここら辺は滑りやすいですからね」
ルーピンの声に、最後尾の生徒たちが一瞬後ろを見たが、すぐに前を向いて再び歩き始めた。
「良かったら私に捕まっていてください…いえいえ、いいんですよ」
彼の一人芝居がブラウニーは可笑しかった。
ルーピンは手を取ったまま、自分の腕の内側を通して、肘の内側あたりに手を掛けさせた。
「レディーを支えるのは、紳士の務めですので」
完全にペースはルーピンのものだったが、ブラウニーはそれがまた心地良く、彼の言葉に甘えることにした。
「…傘、ありがとうございます」
雨はやむだろうか。
このままやまないでほしいとも思うブラウニーだった。
「ホグズミードに着くまで、いいですか、このままで」
ちらっとブラウニーの横顔を見て、ルーピンは答えた。
「もちろん。でも、着いたら着いたで、あそこはどこも混んでいるだろうから、もっと密着しないといけないかもね」
悪戯に微笑むルーピンだった。
「ついつい、仕事で来ているということを忘れてしまいそうだよ」