設定しない場合の主人公の名前は、ブラウニーとなります。
051〜100
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
パブ「三本の箒」のカウンター席で、ルーピンとブラウニーが肩を並べていた。
カウンターの向こう側では、マダム・ロスメルタがグラスを磨きながら、店内の半分ほどを埋める客に気を配っている。
ブラウニーは、今にも突っ伏しそうな体勢で呟いた。
「マダム〜…メニューにないのは重々承知の上でのお願いなんですけど…どうか私に、パフェを…作ってはもらえませんか?」
ブラウニーの切実な眼差しに、マダムはにやりと笑い、手元のグラスを置いた。
それからルーピンとブラウニーの二人を交互に見て、勿体ぶって言った。
「…ブラウニーちゃんの望みとあらば、作るほかないわね」
マダムの返答に、ブラウニーは目を輝かせた。
「うわあ、本当ですか!ありがとうございます!」
ブラウニーがルーピンを見ると、彼もまた嬉しそうに「良かったね」と呟いた。
マダムが取り出したのは、下部がくびれた重厚感のあるグラスだった。
フロートのドリンクも似合いそうなそれを置いて、マダムははじめに赤いソースを入れた。
それから長くて大きなスプレー缶を逆さにし、ホイップクリームを重ね、いくつかの苺のヘタを取る。
「ブラウニーちゃん…お疲れみたいだけど、何かあった?」
ヘタを取った苺を半分に切りながら、マダムがブラウニーに尋ねた。
「ここ最近ちょっと大変で…一段落したらここに来ようって、リー…あ、いや、ルーピン先生と話してて…」
マダムは切った苺の断面が外側から見えるよう、グラスの内側に並べながら言った。
「大丈夫、他言しないよ。とはいえ、二人は雰囲気合ってるし、見る人が見ればすぐに分かるだろうけどね」
それを聞いて、ルーピンとブラウニーは顔を見合わせて微笑んだ。
マダムはディッシャーを取り出し、バケツのような大きな入れ物の中に入っているアイスクリームを何度も削り取るようにしてすくい、グラスの中に白とピンクのアイスクリームを二つ重ねた。
ピンクのアイスクリームには再度ホイップクリームを少量載せて、てっぺんにはヘタを取った苺を載せる。
「…こんな感じ?」
「はい!ありがとうございます!」
今か今かと出来上がりを待っていたブラウニーは、前のめりに何度も頷いた。
マダムは仕上げに赤いソースを垂らして「召し上がれ」とブラウニーにウインクをして、他の客の対応に戻った。
目の前に置かれたパフェを見て、彼女はスプーンを握りしめる。
「良かったね」
嬉しそうにしている彼女の横顔を見つめて、ルーピンが言った。
「うん。リーマスも食べる?」
「いや、私はいいよ。ブラウニーのご褒美だから」
「そう…?それじゃあ、いただきます!」
ブラウニーはアイスクリームにスプーンを入れて、そっと一口分すくい、口に運んだ。
彼女の幸せそうな表情に、ルーピンは笑って言う。
「わはは。おいしそうに食べるね」
ブラウニーは口の中で溶けていくアイスクリームを堪能しながら頷いた。
「うん、おいしいー…」
そして続けて、てっぺんに載っている苺を丸ごと頬張った。
「ブラウニー…」
カウンターに肘をついて、彼女を見つめていたルーピンは、彼女の口元に手を伸ばした。
「…付いてるよ、クリーム」
ブラウニーの口元に付いたホイップクリームを、ルーピンは親指で拭い、それをペロッと舐めた。
その様子を、ブラウニーは固まったまま見ていた。
「ブラウニー…私にもご褒美が欲しいな」
そう言われて、ぎこちなくアイスクリームをすくおうとしたブラウニーの手首を、ルーピンが優しく掴んだ。
「そうじゃなくて」
二人は数秒間見つめたあと、ルーピンが続けて言った。
「ここ最近、大変だったのは理解してるつもりだけど…その間ずっと待っていた私にも、ご褒美が欲しいかなって」
ルーピンは親指でブラウニーの柔らかな下唇に触れた。
「…こうしてるだけじゃ、足りそうにないんだ」
ブラウニーは、時が止まったかのようにルーピンから目が離せなかった。
しばらくしてから彼女は咳払いをして、ルーピンの手を下ろし、店の中の客を見渡した。
幸いなことに、二人に注目していた者はおらず、ブラウニーはルーピンの手を彼の膝の上に戻した。
「そ、そんなこと言われても…」
「早く、もっと触れたい」
ブラウニーはルーピンの視線から逃げるように、パフェの続きに戻る。
先ほどよりも、アイスは柔らかくなっていた。
ルーピンは、彼女の食べ始めたばかりのパフェを見て言う。
「ゆっくり食べていいからね」
「…う、うん…?」
「…その分、あとで私も、ブラウニーのことを時間かけて可愛がることにするよ」
冷たいアイスを続け様に食べたせいか、ブラウニーは急に咳き込んだが、その様子をルーピンは不敵な笑みを浮かべながら見ていた。