設定しない場合の主人公の名前は、ブラウニーとなります。
051〜100
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「スネイプ先生…」
ブラウニーが布団から顔だけを出して、シャワーを浴びようと準備をしていたスネイプを呼び止めた。
「…どうした。具合でも悪いか」
スネイプがベッドの脇に腰掛けて、布団から覗くブラウニーの頭を撫でたあと、額に手を当てた。
ブラウニーは返事をしない代わりに、頭を横に振り、額に載せられた彼の手を握った。
スネイプは握られた手を見つめながら言う。
「…平日は、泊まっていかないのではなかったか」
布団から顔を出したブラウニーは、上目遣いで彼を見る。
「…そう思ってたんですけど…緊急事態です…」
「そうか…あれでは物足りないかね」
スネイプの意地悪な笑みに、ブラウニーの頭には数日前の夜の出来事がフラッシュバックした。
「ち、違います…!」
「今夜はもっと時間をかけるとするか」
「そうじゃなくて…!」
そのとき、遠くの方で地響きにも似た雷の音が聞こえた。
その音が聞こえたのとほぼ同時に目が点になったブラウニーの表情を、スネイプは見逃さなかった。
ブラウニーは取り繕おうとするも、何か理解したように目を細めて微笑むスネイプの前では、もはや何の考えも浮かんではこなかった。
「…子どもみたいですよね」
「いや、雷が苦手とは…知らなかっただけだ」
「大人になったら自然と平気になるものだと思ってたんですけど…いつか克服できるものなんですかね…」
「誰しも苦手なものはあるだろう。無理する必要はないと思うが」
遠い目をしていたスネイプがブラウニーの視線を感じ、彼女の方を見ると、にっこりと微笑んでいた。
「なんだ」
「…いいえ、やっぱり優しいなあと思っていただけです」
彼女のペースに、スネイプの口元が緩む。
「スネイプ先生…雷がおさまるまで、もう少し一緒にいてもいいですか?」
「ああ。…ブラウニーは、今夜の天気予報を?」
「いえ、見てないですけど…」
「明日の未明までこの調子らしい。…つまり、朝帰り確定と、そういうことでよいのかね」
スネイプは、意地悪な笑みを浮かべてブラウニーの顔を覗き込むと、彼女は小さな声で呟いた。
「朝まで…そばにいてくださいね…」
スネイプはベッドから下りて立ち上がり、彼女の額にキスを落とし、微笑みながら言う。
「誘われているという解釈で間違いないか」
「ちがっ…!…もう!早くシャワー浴びてきてください!」
「一緒に行くか」
「いいい行かないです!」
ブラウニーはそう言って、ハリネズミのように頭さえもすっぽり布団に隠し、丸まった。
布団越しに、スネイプの「行ってくる」というような籠った声が聞こえて、ブラウニーは徐々に脱力した。
再び布団からゆっくりと顔を出すと、彼の姿はなく、本当にシャワーを浴びに行ったようだった。
実際に、しばらくするとシャワーの音が聞こえてきた。
ブラウニーは、そのシャワーの音を聞いているうちに自身の胸の高鳴りを感じ、その音を遮断するために布団を被った。
布団がそっと捲られると、部屋の明かりが先ほどよりも暗くなっていた。
「すまない、起こしたか」
「いえ、寝ては…というか、寝られないです…」
ブラウニーは「いろいろな意味で」と心の中でだけ付け加えて俯いたが、ふとスネイプを見ると、パジャマの上にネイビーのガウンを羽織り、髪の毛はまだ湿ったままという姿だった。
「…なんだね」
「み、見慣れないので、少し新鮮で…」
「我輩の部屋に堂々とパジャマ姿で来ておいて言うことか」
スネイプの手が、ブラウニーの髪の毛をくしゃくしゃしながら頭を撫でた。
「…そうでした。心細くて…真っ先に頭に浮かんだのがスネイプ先生だったんです。それでつい…」
スネイプは言葉を飲み込んで、大きなため息をついた。
「ここへ来る途中、誰かに会ったか」
「いえ、誰とも会わなかったです。でも、迷惑…ですよね」
そう言いながら、ブラウニーは布団を被ったまま、ベッドの上で体勢を起こして正座した。
「迷惑だったら、部屋に入れずに追い返している。…そうではなく、この関係が知れたら…あらゆる方面から妬みを買うことになりそうだと、そう思っただけだ」
「そんなこと…」
「ブラウニーの場合は、『あの男のどこがいい』と詰問されるに違いない」
スネイプが自嘲気味にそう言うと、ブラウニーは自信のある様子で微笑んだ。
「そうしたら…スネイプ先生の良いところ、その人にちゃんと教えてあげるから大丈夫です。その中には、私だけの秘密にしておきたいものもありますけど…」
「体の相性がいいことか」
スネイプがベッドに手をついて、ブラウニーの顔にぐっと近づくと、彼女は後方にバランスを崩して仰向けに倒れた。
スネイプはベッドに乗り、彼女に覆い被さる。
「ちょ、ちょっとあの…ご存知だと思うんですけど、明日もまた仕事ですし…」
「支障が出ないようにする」
「支障って…!」
「どうせ雷で眠れないのなら、このほうがいいだろう…」
スネイプの顔がブラウニーの首筋にうずめられると、彼女はそこに温かくて滑らかな感触を感じた。
石鹸の香りがふわっと漂い、時折彼の濡れた髪が彼女の肌を冷やした。
「…さ…さっき眠れないって言ったのは…雷のせいじゃなくて…」
うずめていた顔を上げ、スネイプがブラウニーを見つめる。
「スネイプ先生のこと…考えてたら、ドキドキして…」
「我輩もそうだ。ブラウニーからああ言われたら、誰だってその気になりそうだ…。頼むから、煽るような言葉は我輩の前だけにしてくれ」
「あ、煽ってなんかいないですよ…!」
「…自覚なしか。煽った結果がどうなるか…明日に支障が出ても知らんぞ」