設定しない場合の主人公の名前は、ブラウニーとなります。
001〜050
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…どうした」
そう言ってスネイプが、ブラウニーの頬にかかる髪の毛を耳にかけようと手を伸ばしたときのことだった。
彼女が俯くようにして固まったことで、彼の伸ばした手は行き場を失った。
「何か言いたいことがある…か」
ブラウニーは口を真一文字に結び、眉頭に力みを帯びた眼差しでスネイプを見据えた。
「あの、私は…スネイプ先生のことを、好きでいていいんでしょうか」
「…悪いが、話が見えないな。説明してほしい」
スネイプからは、隣に座るブラウニーの膝の上に、ぎゅっと握られた拳が二つ並んでいるのが見えていた。
「スネイプ先生の噂で、一つ気になるものがあるんです」
「ほう…興味深いな」
スネイプは彼女の膝の上の拳を見つめながら言った。
ブラウニーは真相に迫ることが怖くもあり、時折ちらっとスネイプの目を見るのがやっとだった。
「もし、それが噂じゃなくて本当だとしたら…私もちゃんと答えを出さないとと思ってですね…」
「噂の真相を確かめにきたと」
「…はい、そんなところです」
「…まあよい。言ってみたまえ」
堂々としているスネイプに、ブラウニーは気圧されそうになる。
「その…実はスネイプ先生は、ご結婚されていて…」
それを聞くや否や鼻で笑うスネイプに、ブラウニーはどぎまきしながら続けた。
「た、単身赴任中で、奥さんとお子さんが遠くにいらっしゃるとか…」
「聞きたいのはそれだけか」
「はい…あの、もしこれが道ならぬ恋ならば、潔く諦めないとと思ってですね…」
それまでスネイプの表情を盗み見ていたブラウニーが、ようやく面と向かって顔を合わせた。
「ちなみに、この他のものは、私でも、根も葉もない噂だと断言できますし、そういうことを言いふらしてる生徒には、ちゃんと言っときましたから!」
「そうか、それは頼もしいな」
スネイプが口角を吊り上げて言った。
彼は思わずブラウニーの体に触れたくなったが、それは今ではないと自制した。
「…だが、先ほどのものだけは、ブラウニーでも否定できなかったと?」
「そう…ですね。スネイプ先生のことをまだよく知らないので、そういうこともあるのかなと思ったら…よく分からなくなってしまって…」
「結婚はしていない。婚約もしたことはないし、まして子どももいない」
「…本当ですか」
スネイプの断言によって表情が緩んだブラウニーだったが、それにつられてスネイプ自身も口元が緩む。
「本当だ。何だ、疑っているのかね」
「ち、違います!疑ってるわけじゃ…」
「心配なら、ダンブルドアに聞いてみてもよい」
「ダンブルドア校長に?」
「ああ。…だが、校長の場合、余計なことまで話しそうだが。…あとはリーマス・ルーピンだが…彼奴は彼奴で、余計なことしか言わなそうだ」
「ふふ。仲が良いんですね」
「仲が良いわけではない」
「今度ゆっくり、その『余計なこと』も含めて、お二方にいろいろ教えてもらいますね」
スネイプがふと彼女の膝の上を見ると、先ほどまで握られていた拳がなくなり、机の上にちょこんと両手が載せられていた。
「まだ我輩の言葉だけでは、噂の真偽が不確定だろう」
「そんなことないです。聞いてみて良かったです。スネイプ先生のことを諦めないでいいし、もっと好きになっていいってことですもんね」
スネイプは彼女を見つめたまま、自身の口元が緩んでいくのを実感した。
「…スネイプ先生も、もっと私のことを知って、もっと好きになってくれたら嬉しいです」
ブラウニーはそう自分で言っておきながら、自分の言葉に照れた表情を浮かべた。
それを誤魔化すかのように、スネイプに手を差し出した。
彼が手を重ねる。
ブラウニーは彼の手が重なったのを微笑みながら確認して、指を広げた。
それから自分の指とスネイプの指が交互になるように指を組み、ぎゅっと握った。
「君がこんなに積極的だとは…嬉しい誤算だ」
スネイプは空いている手をブラウニーの顎のラインに沿わせて、軽くキスをした。
キスのあと、ブラウニーは恥じらいながら言う。
「好きです。…本当はもう、大好きです」
「それは我輩も同じだ。…愛してる」