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051〜100

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主人公の名前






12月、ホグワーツがクリスマスムードに染まり始めた。

夕食時の食堂もまた、生徒たちのおしゃべりでとても賑やかだ。

天井は夜空に変化し、晴天のため、きれいな紺色が広がっている。

そこに輝く星と天井に浮かぶ金色のキャンドル。

あまりに幻想的で、ブラウニーはその光景に見惚れてしまう。



ブラウニーがふと視線を落とすと、食事を終えた生徒たちがまばらに寮へ戻っていくところだった。

そんな中、一人の生徒が、他の生徒とは反対方向に歩き始めた。

彼女はスリザリン生で、知的で顔立ちも整っていて、立派な家系と専らの噂だ。

非の打ち所がないようだが、それらの恵まれたものをいつもひけらかすようなところがあり、それがなんともスリザリンの生徒らしく、あどけなさを残す。

彼女のことを、スネイプのお気に入りの一人だと言う生徒も多い。

彼女は案の定スネイプの前で止まり、手短に話を終えた。 

話の内容は、何やらあまりよくないものらしく、彼女の表情は冴えなかった。

その後、夕食を終え、ブラウニーが自室に戻る際、後ろから声をかけられ振り向くと、そこにスネイプがいた。 
 
スネイプはさっと辺りを見回し、人のいない通路の方に目をやり、ブラウニーを誘導した。

「ど、どうしたんですか?」
「ああ…」

後ろの廊下から人の気配がなくなるのを待っているかのようなスネイプに、ブラウニーは先ほどのスリザリンの生徒の件かと思い、小声で切り出した。

「もしかして、さっきの…?」

スネイプの眉が上がって、何のことか分かっていないようだった。

「さっき、スリザリンの子とお話しされてたので、その件と関係あるのかと…」
「ほう…見ていたのか」
「あっ、いや!たまたま目に入ってしまっただけで…!」

スネイプは人差し指を口元に持っていき、声の大きさを抑えるよう促しながらも、悪戯に微笑んだ。
そしてちらっと後ろの廊下を気にしながら、「それはそうと、」と話題を変えた。

「クリスマスの休暇は実家に帰るのだろうか」
「いえ、ここに残ろうかと…」
「そうか。クリスマスイブの日、夕食後、我輩の部屋へ来るかね」

驚いた表情を見せたブラウニーは、すぐにはにかんだ。

「はい!」



数日経ったある日、ブラウニーが倉庫の在庫管理のために地下に降りていこうとした際、既に地下には先客がいた。

階段を降りてすぐのところからは一人の半身しか見えなかったが、ローブの色からすぐにスリザリンの生徒だと分かったし、その雰囲気から、例の女の子だともすぐに分かった。

そしてその子が立つ教室の出入り口、相手のくぐもった低い声で、もう一人の人物が誰かもすぐに分かった。

「…スネイプ先生。もうだめかと思ってました」
「君らしくないな…それで、これかね、君のご所望のものは」
「はい…!ありがとうございます」
「ああ。なくさないように」

ブラウニーの心の中でさざなみが起きた。咄嗟に階段を一、二段上がり、姿を隠したが、靴底の下で、微かに砂利を踏む音がした。

スネイプや女子生徒に聞かれただろうか。

「…先生、両手がいっぱいなので、このペンダント、首にかけてもらってもいいですか?」

ブラウニーは思わず息を止め、それからはなるべく音を立てずに階上へ上がるほかできなかった。



クリスマス休暇に入ると、多くの生徒たちは家族の元へ帰るため、ホグワーツはとても静かになった。

ブラウニーは中庭に出て、積もった雪を踏みしめながら、噴水の周りに沿って歩き始めた。

自分の足跡に何回足を重ねただろうか。足跡の部分だけ、辺りの積雪と比べてぎゅっと沈んでいた。

ブラウニーは無心で歩いていたために、数歩先に急に黒いローブが現れ、はっとした。

スネイプだった。

「先ほどからぐるぐると…何をしている」
「あ…いや…雪を…楽しんでました」
「楽しそうには見えなかったが?」
「いっ、いつから…!」
「ついてこい」

返事を待たずに歩き始めたスネイプに、ブラウニーは早歩きで後を追った。

スネイプがようやく足を止めたのは、自室の暖炉の前だった。

スネイプがさっと杖を振ると、それまで燻っていた薪に火が宿り、炎となって一気に活気づいた。

それと同時に、近くのデスクの椅子が、暖炉の前にふわっと躍り出た。

「ローブを」

ブラウニーはスネイプの言った意味がよく分からなかったが、直後に「雪で裾がびしょ濡れだ」と言われた。

そんなことを言われるだなんてまるで子どもみたいだ、と思ったら、ブラウニーはますます気分が落ち込んだ。

しかし、スネイプを見ると、差し出した手が催促を告げていたため、ブラウニーは渋々ローブを脱ぎ、手渡した。

スネイプはそのローブを広げて、暖炉の火が当たるよう、先ほどの椅子の背もたれに引っ掛けた。

そして指先の赤くなったブラウニーの両手を取り、大きな手で包み込み、そのあまりに冷たい指先に、ため息をついた。

「何があった」

先日の一件から、ブラウニーはスネイプとの距離の取り方が分からなくなっていたために、物理的に急に詰められたこの距離感にいつも以上にどぎまぎした。

「…私だけ、舞い上がってしまってたみたいで」

「スネイプ先生は、一見怖いですけど、本当は優しくて、でもその優しさは私だけに向けられたものじゃないのに…私勘違いしてしまって…」

要領を得ないブラウニーの言葉に、スネイプは「我輩にも分かるよう話してくれ」と言って、両手を包んだまま、ブラウニーが話し始めるのを待った。

「スリザリンのあの女の子に、先生…プレゼントしてましたよね」

ブラウニーは、指先の感覚がまだ戻らない両手がもどかしかった。

「…なくさないようにって言ってペンダントを」

そこまで聞いて、スネイプの表情が綻んだ。ブラウニーもその表情の変化にすぐ気がついた。

「何で…わ、笑うんですか!」
「それは勘違いだ。…あれはやはり、君だったか」



それからスネイプは、誤解を解くために説明をした。

スリザリンの女子生徒が、祖母からもらったペンダントをなくしたこと。

その彼女が、スネイプの授業中に落としたかもしれないから教室を探させてほしいと頼んできたこと。

後日見つかったペンダントを彼女に渡す際、誰かの足音が階段を下りてくる途中で消えたこと。

時を同じくして、スネイプに対するブラウニーの挙動が不自然になったこと。

しかし、説明を受けても、ブラウニーはまだ納得がいかない様子だった。

「でも…そのペンダントを彼女の首にかけてあげましたよね。あれはちょっと…!」
「それは彼女が私にそう言っただけで、私は断った。…そこは聞いていなかったのか」
「え…だ、だってショックで!もうこれ以上は見聞きしたくないと思ってしまって…」
「彼女も、ブラウニーとまでは気付かなかっただろうが、階段に誰かいたのは気付いていただろう。私の『お気に入り』としては、ペンダントを首にかけてもらうことで特別な生徒を演出したかった…そんなところだろう」
「『お気に入り』…」
「そう言われているのであろう?」
「そうですけど…誰も特別扱いしないでほしいです…」
「『誰も』か…」
「『誰も』です!」
「…クリスマスイブの日に、プレゼントを渡そうと思っていた人がいたが、やめておくか」

ブラウニーは笑顔になった。

「それはそれ、これはこれです。必ず会いに来ます!」
「分かりやすくてよろしい」

スネイプは、ブラウニーのあごに指先を添えた。

「…生憎その日は、帰すつもりはないぞ」

スネイプはそう言って、唇を重ねた。





「今夜も泊まるかね」
「と!泊まりません!」
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