ヘリオトロープ*
おなまえ
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※左馬刻の妹捏造してます。ご注意を!※
______11月11日当日。
本当は0時になった瞬間にでもおめでとうメールを送りたかったのが、誕生日を忘れているかの様に見せかけてサプライズをするつもりなので結局その衝動を抑え込んだ。
当日の事ばかりを考えて寝付きの悪い夜だったせいか、朝目覚めて携帯を開けばもう8時を回っていた。
私は慌てて飛び起きると、急いで支度をして取り敢えず近所のスーパーへ買い出しに向かう。
あのメールの返信は「分かった」の一言だけだった。句読点もなく、絵文字も当然なし。
何も怪しまれずに事が運んだのは嬉しいのだが、やはり少し腑に落ちない。ちょっとぐらい、悲しんでくれたっていいじゃないか。
まぁ、あの左馬刻が甘えて寂しがってくるなんてあり得ない事だけれども。
あまりにも歯牙のかけない態度に、こっちの方が寂寥たる感情が渦巻いてしまった。
しかし、本番はまだまだこれからだ。
私は気合を入れるように頬を両側から強めに叩くと、大きく息を吸ってスーパーへの道のりを早足で歩き始めた。
*
「杏子ちゃん、いらっしゃい!上がって!」
「お邪魔します…!」
あれから買い物もスムーズに終わらせ、いよいよ左馬刻の家に訪問する。
妹ちゃんと随時連絡を取り合い、左馬刻が出掛けた所を見計らって彼の家へ向かった。
出掛けたと言うことは、あの二人がなんとか誘い出してくれたのだろう。
色んな人に協力してもらい、支えてもらい、本当に私は幸せ者だと改めて感じると、自然と頬が弛緩していた。
「妹ちゃん色々ありがとうね。本当に感謝だよ」
「全然!むしろお兄ちゃんのためにサプライズなんて計画してくれて、こちらこそありがとう!」
リビングへ向かう廊下を歩きながら、妹ちゃんの背中に向かって声をかければ、彼女は左馬刻に良く似た白髪をふわりと浮かせてこちらを振り向く。
その時の妹ちゃんの笑顔は陽だまりのように温かく、太陽のように輝き、私にはあまりにも眩しくて思わず目が眩んだ。
……本当に、私は人に恵まれすぎてるな。
「よし!こんなモンかな!」
「わぁ!美味しそう!杏子ちゃん凄いや!」
「えっへへ…そうかな?」
それから夕方までの全ての時間を使い、左馬刻へのご馳走を完成させた。
半熟卵とアスパラのサラダに、ミネストローネ。そして、ビーフストロガノフ。
ビーフストロガノフなんて作った事がなかったからだいぶ苦戦はしたけれど、その度に左馬刻の顔を思い浮かべながら自分を奮い立たせた。
それと、手作りのホールケーキ。真ん中には26の蝋燭と「Happy birthday」と書かれたプレート。少し子供っぽいかとも思ったが、せっかく誕生日なのだからやりたい事を詰め込んだ。
…喜んでもらえるかな。
やっとの事で全てを完成させて机にご馳走の数々を並べれば、隣で妹ちゃんが感嘆の声を漏らしながら携帯を構えている。
あまりにも褒めちぎられるので何だか照れ臭くなった私は、視線を俯かせながら頬をかいた。
「あとはお兄ちゃんが帰ってくるのを待つだけだね!連絡してみる!」
「うん!ありがとう、一緒に楽しもうね」
「え?私はこれから友達の所行くよ。そのまま泊まるから、今日は杏子ちゃんとお兄ちゃんの二人きりだよ」
「えっ!?そうなの!?妹ちゃん、今日帰ってこないの?」
瞳をキラキラと輝かせながら携帯にメッセージを打つ妹ちゃんに、私もつられて頬を緩めながら声をかけると、途端に彼女は動きを止めてキョトンとした表情でこちらを見やる。
その刹那、彼女の口から飛び出したのは予想もしなかった言葉で、思わず私が目を見開きながら聞き返せば妹ちゃんは肯定の意味で大きく首を縦に振った。
…こ、こりゃ。驚いた。まさか、妹ちゃんもいると思ってのに。
私が未だ驚きで体を動かさずにいると、妹ちゃんは少しだけ意地悪く口角を上げたと思うと私にゆっくりと近づいた。
「だから、私の事は気にせずラブラブしてくれていいからね!」
「っ……なっ……!」
揶揄うように目を細めて笑う妹ちゃんはやはりどこか左馬刻に似ていて。
私が途端に頬を真っ赤に染め上げて言葉に詰まれば「ふふ、また色々聞かせてね」と私に携帯を見せてきた。
「お兄ちゃん、もうすぐ帰ってくるから」
携帯画面に映し出されていたのは左馬刻と妹ちゃんのメッセージのやり取りで、最後の文面には左馬刻からの20分くらいで帰る、という何とも短くて簡略な文面だった。
い、いよいよだ…!
どきり、と胸が大きく高鳴った。
______11月11日当日。
本当は0時になった瞬間にでもおめでとうメールを送りたかったのが、誕生日を忘れているかの様に見せかけてサプライズをするつもりなので結局その衝動を抑え込んだ。
当日の事ばかりを考えて寝付きの悪い夜だったせいか、朝目覚めて携帯を開けばもう8時を回っていた。
私は慌てて飛び起きると、急いで支度をして取り敢えず近所のスーパーへ買い出しに向かう。
あのメールの返信は「分かった」の一言だけだった。句読点もなく、絵文字も当然なし。
何も怪しまれずに事が運んだのは嬉しいのだが、やはり少し腑に落ちない。ちょっとぐらい、悲しんでくれたっていいじゃないか。
まぁ、あの左馬刻が甘えて寂しがってくるなんてあり得ない事だけれども。
あまりにも歯牙のかけない態度に、こっちの方が寂寥たる感情が渦巻いてしまった。
しかし、本番はまだまだこれからだ。
私は気合を入れるように頬を両側から強めに叩くと、大きく息を吸ってスーパーへの道のりを早足で歩き始めた。
*
「杏子ちゃん、いらっしゃい!上がって!」
「お邪魔します…!」
あれから買い物もスムーズに終わらせ、いよいよ左馬刻の家に訪問する。
妹ちゃんと随時連絡を取り合い、左馬刻が出掛けた所を見計らって彼の家へ向かった。
出掛けたと言うことは、あの二人がなんとか誘い出してくれたのだろう。
色んな人に協力してもらい、支えてもらい、本当に私は幸せ者だと改めて感じると、自然と頬が弛緩していた。
「妹ちゃん色々ありがとうね。本当に感謝だよ」
「全然!むしろお兄ちゃんのためにサプライズなんて計画してくれて、こちらこそありがとう!」
リビングへ向かう廊下を歩きながら、妹ちゃんの背中に向かって声をかければ、彼女は左馬刻に良く似た白髪をふわりと浮かせてこちらを振り向く。
その時の妹ちゃんの笑顔は陽だまりのように温かく、太陽のように輝き、私にはあまりにも眩しくて思わず目が眩んだ。
……本当に、私は人に恵まれすぎてるな。
「よし!こんなモンかな!」
「わぁ!美味しそう!杏子ちゃん凄いや!」
「えっへへ…そうかな?」
それから夕方までの全ての時間を使い、左馬刻へのご馳走を完成させた。
半熟卵とアスパラのサラダに、ミネストローネ。そして、ビーフストロガノフ。
ビーフストロガノフなんて作った事がなかったからだいぶ苦戦はしたけれど、その度に左馬刻の顔を思い浮かべながら自分を奮い立たせた。
それと、手作りのホールケーキ。真ん中には26の蝋燭と「Happy birthday」と書かれたプレート。少し子供っぽいかとも思ったが、せっかく誕生日なのだからやりたい事を詰め込んだ。
…喜んでもらえるかな。
やっとの事で全てを完成させて机にご馳走の数々を並べれば、隣で妹ちゃんが感嘆の声を漏らしながら携帯を構えている。
あまりにも褒めちぎられるので何だか照れ臭くなった私は、視線を俯かせながら頬をかいた。
「あとはお兄ちゃんが帰ってくるのを待つだけだね!連絡してみる!」
「うん!ありがとう、一緒に楽しもうね」
「え?私はこれから友達の所行くよ。そのまま泊まるから、今日は杏子ちゃんとお兄ちゃんの二人きりだよ」
「えっ!?そうなの!?妹ちゃん、今日帰ってこないの?」
瞳をキラキラと輝かせながら携帯にメッセージを打つ妹ちゃんに、私もつられて頬を緩めながら声をかけると、途端に彼女は動きを止めてキョトンとした表情でこちらを見やる。
その刹那、彼女の口から飛び出したのは予想もしなかった言葉で、思わず私が目を見開きながら聞き返せば妹ちゃんは肯定の意味で大きく首を縦に振った。
…こ、こりゃ。驚いた。まさか、妹ちゃんもいると思ってのに。
私が未だ驚きで体を動かさずにいると、妹ちゃんは少しだけ意地悪く口角を上げたと思うと私にゆっくりと近づいた。
「だから、私の事は気にせずラブラブしてくれていいからね!」
「っ……なっ……!」
揶揄うように目を細めて笑う妹ちゃんはやはりどこか左馬刻に似ていて。
私が途端に頬を真っ赤に染め上げて言葉に詰まれば「ふふ、また色々聞かせてね」と私に携帯を見せてきた。
「お兄ちゃん、もうすぐ帰ってくるから」
携帯画面に映し出されていたのは左馬刻と妹ちゃんのメッセージのやり取りで、最後の文面には左馬刻からの20分くらいで帰る、という何とも短くて簡略な文面だった。
い、いよいよだ…!
どきり、と胸が大きく高鳴った。