Me with a passionate kiss
おなまえ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
よし、そうと決まればネットで「男性がキスしたくなる女性の仕草」的なものを調べて……!
一気にやる気の出てきた私は入間さん家のソファに深く座り込むと、携帯を取り出し早速ネットで調べてみる。
検索をかけると意外に色々な種類の情報が多くあって、誰から見たらいいのか分からない。
____まぁ、無難に一番上から漁っていくとしよう。
そんな事を思いながら、私は鼻歌交じりに画面に表示さらている文字をタップした。
………それから数分後。夢中で画面とにらめっこをしている私に、後ろから暗い影が忍び寄っていた。
「…何してるんですか?」
「っうわぁ!…びっくりした!な、何でもないです!」
急に背後から声をかけられたものだから、心臓が縮み上がり、思わず大きな声を出して驚いてしまう。
急速に早く脈打つ鼓動を抑えながら後ろを振り向けば、不思議そうに首を傾げる入間さんと目が合った。
やばい、携帯画面見られたら一貫の終わりだ…!
そう思い慌てて携帯の横ボタンを押して画面を暗くしたが、幸い入間さんには何も見えていなかったようだ。
未だ不思議そうに目を丸くする彼に何でも無いと首を振りながら、心の中でホッと胸を撫で下ろした。
「もう12時を過ぎていますし、高橋さんはそろそろ寝た方が良いのでは?明日も早いでしょう」
「えっ、……い、いや……」
彼の発言に携帯を開けてみると本当に12時を過ぎており、思わず言葉に詰まってしまう。
けれど、ここで寝るわけにはいかない。
私は今日中にキスしてもらうと、決めているのだから…!!
「あ、でも…明日は土曜だし、学校休みですし……そんなに急いで寝なくてもいいかなって。入間さんは今からお風呂ですよね?待ってます」
「しかし、あまり夜更かしするのは…」
「私が待ちたいんです!……少しでも長く一緒にいたいって、言ったじゃないですか」
困った様子で眉を下げた入間さんが若干渋ってきたものの、それを食い気味に否定すれば彼はたちまち黙り込んでしまう。
そこに漬け込もうと、私は上目遣いに彼を見上げ、出来るだけ自然な笑顔を意識しながら微笑んだ。
これが初めの作戦!
………題して、上目遣い作戦!
まずは鉄板だよね、上目遣いって。
まぁ、私がするともしかしたら不快かもしれないけど、実践あるのみ!
微笑んだまま入間さん暫く見つめると、彼は溜息を吐きながら私の頭にふわりと手を置いた。
「…仕方ないですね」
そう一言告げると、入間さんは数回私の頭を優しく撫で、そのまま風呂場へ向かって行ってしまった。
私はそんな彼に見惚れるかのように後ろ姿を目で追っていたが、突然ハッと我に返ると肩を落としてガックリと項垂れた。
くっそぉ……失敗……。
いや!…でも、まだまだこれからだよね!
まだ一個目だしね!切り替えて、次の作戦を考えよう!
私は自分にそう言い聞かせ、自身を奮い立たせるように頬を軽く叩く。
そして携帯を再度開き、先程見ていたサイトの続きの文字を目で追い出した。
***
それからまた数分くらい経った頃、未だ携帯を熱心に見つめる私の背後から、ぺたぺたと可愛らしい足音が聞こえてきた。
それにいち早く気づいた私は慌てて携帯画面を他の物に切り替え、勢い良く後ろを振り向いた。
「入間さん!上がりましたか________」
視界の中心で彼の姿を捉えた瞬間、私の動作は停止し、喉まで出かけていた続きの言葉は空気に飲み込まれる。
それくらい、今の入間さんの姿は色情を感じさせる魅力的なものだった。
いつもは七三分けでびっちり決めてある髪型は崩れ、サラサラの髪が目元にかかっている。
その上お風呂上がりだからか、眼鏡をかけておらずそれがますます色気を増進させていて。
更なる追い討ちとしては、少しだけ赤みのかかった頬で心なしか瞳も潤んでいるように見えて………。
控えめに行ってエロい!!!!エロすぎる!!!
これは襲われても無理ないよ!あんた危ないよ入間さん!!!
コンマ数秒の間にそんな事ばかりが頭を駆け巡り、いよいよ入間さんの貞操に危機を感じてくる。
だってこれは入間さんがエロすぎるよ!!
一歩間違えれば鼻血が出そうになるが、それを必死に我慢して彼から視線を話す。やばい、今入間さんを直視すれば、死んでしまう。確実に。キュン死だ、キュン死。
いきなり黙り込んだかと思うとそそくさと顔を背けた私に疑問を抱いたのか、入間さんが私の名を不思議そうに呼びながら近づいてくる。
…やめてくれ、今近づかれたら失神する。マジで。
暴走寸前の脳内を落ち着かせようと、取り敢えず大きく深呼吸してみる。そして沸騰していた頭が少しばかり冷えた所で、次なる作戦を冷静に思い出した。
「…高橋さん?急にどうかしましたか?」
「あっ、いや…!何でも……髪を下ろした入間さんが新鮮で……かっこ、いいなって………」
ソファに深く座り込む私を、上から覗き込む入間さん。その角度が何とも絶妙な色気を醸し出し、またもや頭がクラクラしそうだ。
しかしそれを必死に抑えて、私は何とか彼と目を合わせる事が出来た。
ふっふ……次なる作戦は、恥じらい作戦!
少し照れたように俯いたり、もじもじするのも効果的って書いてあったからね!
私はその名の通り頬を真っ赤に染め上げて、語尾を少しずつ小さくしながらゆっくりと俯く。
その後、照れ隠しに少しだけ服の裾を握りしめて瞬きを数回繰り返した。
まぁ、これはほぼ作戦というより、本当に入間さんがかっこよ過ぎて、直視できなくて照れたんだけど…これでキスしてもらえれば、願ったり叶ったりだ。
どんな反応が来るか内心緊張しながら、服の裾を見つめていると、ふと視界に誰かの手が写り込んだ気がした。
しかし、それも一瞬のことで。気付けば私の顎は入間さんの華奢な手によって掴まれており、半ば強制的に彼の方を向かされていた。
「……っえ、入間さ」
「なかなか嬉しい事を言ってくれますね。ほら、もっと近くで見てくれても良いんですよ?」
何が起こったのか分からず困惑の表情浮かべる私に向かって、入間さんが艶のある低い声で妖艶な笑みを浮かべる。
その姿があまりにも官能的に見え、私の頭は一気に沸騰したかのように熱くなる。
私が茹でタコみたく真っ赤な頬のまま、金魚のように口をパクパクさせる事しか出来ずにいると、目の前の入間さんの頬が緩く綻ぶ。
「…ふ、顔が真っ赤ですよ?」
「…だ、だ、ぁ、って。入間さんが、……」
……また揶揄われた。
面白いがるように笑みを深めた入間さんに何だか悔しさが生まれ、私は自分から離れるように頬を膨らませながらそっぽを向く。
けれど顔の熱が冷めることはなく、眉を潜めて不満げな表情をしていると、目の前の入間さんがまた余裕たっぷりな笑顔で微笑んだ。
……はぁ、また失敗。