Awkward
おなまえ
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……ぃ」
「……ーい」
まだ意識がはっきりしない中遠くから誰かの声が聞こえる。…誰?私を起こす人なんて…もういないのに。
「おーい、和子ー。起きてくれよー」
「んぇ……?」
ゆさゆさと誰かに体を揺すられ、自然と瞼を浮上させると目の前には帝統………帝統!?
「え?え?…なに、どういうこと…!?」
「やっと起きたかー、なぁなんか朝飯でも作ってくれよぉ、空腹で死んじまいそうなんだけど」
あまりの衝撃に勢いよく起き上がれば、昨日のことが鮮明に脳に映し出される。そうだ、私ヒプマイの世界に来ちゃって…色々あって幻太郎の家に住まわせてもらえることになって…
一つ一つ記憶を繋ぎ合わせていると、不意に横から帝統に肩を揺すられ頭が揺れる。ゆっくりと視線を戻すと、帝統がお腹をさすりながら嘆いているのが見えた。
「お、おはようございます…だ…有栖川さん」
「有栖川なんてなげぇだろ。ふつーに名前で良いっつの。そんなことよりメシを…頼む…」
「ぜ、全然それは良いんですけど…、あれ、夢野さんは?」
呼び名をまたもや間違えそうになって言い換えれば、さらっと名前呼びを了承される。な、なんて自然な流れ…!流石夢女キラー帝統!!!
感心しているのも束の間、帝統は相当空腹なのか腹の虫を鳴らしながらその場に倒れこんだ。
「幻太郎なら今絶賛執筆中でよー、こうなったら暫く碌にメシも食わずに部屋に篭りっきりになるからどうしようもねぇんだよな…」
「そ、そうなんですか……取り敢えず台所お借りしますね。食材とかは勝手に使っても大丈夫なんですかね?」
「あー大丈夫だろ。なんかあったら俺が言ってやっから取り敢えず…早く…メシを…」
そう言うなりまたもや畳に突っ伏してしまう帝統。こりゃ重症だな……
苦笑いを零した私は急いで布団をたたむと、台所へと向かった。
それにしてもご飯も食べずに部屋に篭るって…幻太郎大丈夫かな…?もしご飯作ったら部屋に持って行ってあげよう。ウザがられるかもだけど。
*
「うぉぉ〜…!すげぇ!和子って料理上手ぇんだな!」
「いやいや、それほどじゃ……」
「んじゃ、いただきまーす!」
取り敢えず冷蔵庫から食材を拝借して朝ご飯を作らせてもらったのだが、机に並んだ色とりどりの料理を見るなり帝統は少年のように目を輝かせる。そんなに言われるとこちらも満更どころでは無い。普通にすごく嬉しい。
謙遜するように首を振ったが、そんな事はもう御構い無しに帝統は手を合わせると光の速さで作った品に手をつけ始めた。
「うめぇ〜〜〜!!和子!お前天才だな!」
「え、そ、そうですか?そこまで言われると照れるな…」
オカズとご飯を勢い良くかきこみながら帝統は嬉しそうに声を上げる。帝統って人を煽てるの上手いな…やっぱ夢女キラーだし。幸せそうにご飯を口に運ぶ帝統を見ていると、自然とこちらまで笑顔になる。不思議だ。
恐らく空腹が限界まで来ていたのだろう、あまりにも勢い良く作った料理を次々と平らげていくものだから喉に詰まってしまったのか急に帝統が大きく噎せた。
「っうぐ…!!っげほっ、」
「そんな勢い良く食べるから…ほら、お水飲んでください」
慌てて水を差し出しながら彼の背中をさすってあげると、涙を溜めながら一生懸命受け取った水を飲み干す。え、…受けの才能…ある…?かわいいじゃん…
またもや煩悩を頭が駆け巡りながらも彼を心配する眼差しで見つめていると、落ち着いたのであろうコップを机に置いた帝統がこちらを向きばちりと目が合った。
「いやー悪りぃな!メシが美味すぎてよ」
「…っ、いい、いえいえ。お気をつけて…」
帝統は特に何も思う事なく無邪気に歯を見せて笑っただけだが、私の心臓はオーバーヒート寸前だ。いや近い近い近い近い近い。無理無理無理。美形、尊……こんな近くで見てしまっていいのだろうか。まじでお金取られない?
途端に頬が真っ赤になるのを見られたくなくてそっぽを向くなりそそくさと彼から離れてしまう。やけに大きな心臓の音が耳に響いて、私は熱くなった頬を冷ますように両頬に手のひらを当てた。
いや、私そんな夢女じゃないのに〜〜……くそぅ、流石にヒプキャラがこんな近いのは照れるわ!!!銃兎だったら死んでたわ!!!
「?どーしたんだよ」
「いや!何でもないです!大丈夫です…」
いきなり顔を背けた私が不自然だったのか帝統が顔を覗き込もうとしてくる。_____が、今はダメだ。とても見せられない醜い顔になってるので私は顔全体を手のひらで覆った。
_____すると、次の瞬間。目の前の障子が開く音がした。