Awkward
おなまえ
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「さて…何するかな…」
あれから時間は過ぎ、冷蔵庫に入れられていた昼食も食べ終わり、食器も全て洗ってしまったので途端にやる事がなくなってしまった。
取り敢えず妹さんの部屋に戻り、何かやる事がないかとベッドに腰掛けながら考えることにするが…特に思い浮かばない。
掃除や洗濯でもやろうと思ったのだが、洗濯物も何もなく掃除もする所がないくらいに何処も清潔で、案外こまめな性格なのかなと感心したのと同時に、すっかり家でもやる事がなくなってしまったのだ。
置いてもらってる以上、何かはしなきゃそれこそバチが当たるし…でもな、余計なことして左馬刻様の負担にはなりたくないし…
うーん、と唸りながら頭を捻らせていると、ふと妹さんの本棚に立て掛けてある一冊の本が目に入った。好奇心のつもりで手に取れば、それは恐らく妹さんが書き記したのであろう料理本のようなものだった。
「…料理……お弁当…、そうだ」
これだ…!途端に私の心には一筋の光が差し込んだように晴れ上がった。料理なら「あの日」から当たり前のようにしてきたのだ。自慢するつもりではないが、多少料理の腕には自信がある。これなら、負担にならないし置いてもらっている恩を返せるかもしれない。…それでも微々たるものだけど。でも、アルバイトは後々てかすぐにでも始めるつもりだし、取り敢えず家の料理の担当でもさせてもらおうかな。
よし、そうと決まれば早速買い出しに行こう…!
*
「ふぅ…」
あれから鍵とあのお金の束から恐る恐る一枚だけ抜き取った1万円札を持ち、勇気を出してヨコハマの街へ繰り出した。てか左馬刻様何であんな大金を…恐れ多過ぎて使えないよ!!!使うなら一郎とかにしなよ!!!!?
そんなズレた考えを持ちながらも高いビルなどが聳え立つ街中へ入ると、なんと女性の姿もちらほら見えており、男の人ばかりの街ではないという事実にホッと胸をなで下ろした。
流石に男の人だけの街では暮らしにくいったらありゃしないからね…
街の流れに身を任せながら歩いていればいつしか自分が通いつめていた田舎のスーパーとは比にならないほどの大きさの大型スーパーに辿り着いてしまい、正直足が竦みそうになったがこんな所でグズグズしていても仕方ないので意を決して足を踏み入れた。内観はあまり現実世界でいつも使っていたスーパーと変わらなかったのでスムーズに買い物を済ませたが、やはりこんな都会の場所に長居は出来ないので逃げるように家へ帰った。買い物だけでこんなに疲れるなんて、流石都会……
買い物袋を机に置きながら一息をついて、時計を見ればもう午後4時半。随分買い物に時間がかかってしまっていたようだ。
急いで作ってしまおう!左馬刻様がいつ帰ってくるか分かんないし…、てか帰ってくるのかな。こんな急に異次元から吹っ飛ばされてきた未成年女と二人でいるのなんて嫌かも……もしかしたら、どっか寄って帰ってこない事もありえるし。……ま、そうなったら一人で食べればいいよね。一人は慣れてるんだし。
静寂に包まれた生活感のない部屋を見渡しながら少しだけ寂しい気持ちになるが、そんな図々しい事まで言う気はないので無理やり明るい言葉を自身に投げかけながら妹さんのタンスから借りたエプロンをつけた。
てか、思ったけど左馬刻様って料理上手だったんだな…朝もお昼も美味しいご飯用意してくれてたし、多分手作りだよね。……こりゃ受けだな。完全に。一郎の胃袋掴んじゃってるな、てか超ハイスペック嫁じゃん。スパダリならぬスパハニじゃん(泣)エプロンつけて料理してる左馬刻様の可愛らしいお尻に欲情した一郎がバックで急に襲ってくる薄い本とかあったよな…本当だったんだ…無理尊い………サマイチ派の和子には悪いけどやっぱイチサマが公式だったんだな……
ポロリと涙が溢れたのは尊さに対してか、切っている玉ねぎに対してか。