Awkward
おなまえ
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「ん……」
重たい瞼を持ち上げると、カーテンの隙間から送られる光に目が眩みそうになる。思わずまた瞼を閉じかけそうになるが、それは身に覚えのない肌触りの良い布団や香りによって呼び覚まされる事になる。
慌てて起き上がり辺りをキョロキョロと見回してみるとそこはやはり慣れ親しんだ自室ではなく、殺風景な色を見せる知らない部屋の中で。
…そうだ、私、違う世界に来ちゃって、それで_____……何故か左馬刻様が家に住まわせてくれるって言ってくれて……
未だに信じられない。けれど目覚めてもこの状況なら、いい加減信じなければならない。私は戻れるまでの間この世界で暮らさないといけないのだから。そうだ、和子も………
_____そう。あれから和子に電話をかけ混乱している頭で必死に状況を伝えれば、何という奇跡なのか偶然なのか分からないが和子もシブヤで帝統に出会い、その上幻太郎の家に置いてもらう事になったと向こうも信じきれていない様子で言っていた。一先ず同じ世界に来ている事に安心すると共に、お互い好きなキャラクターと接触しその上家まで住まわせてもらうなんて…普通にやばいんだけど。やばくない?本来なら喜ぶ筈だが生憎知らない土地に来た事で混乱の方が優っていた私達は素直に「やったね」などと口走るなんて出来なくて。
とりあえず「…これからも連絡を取りつつ、落ち着いたら会おう」と言って通話を切った。そのまま私は急にその日の疲れに襲われ、気絶するようにベッドで眠りについた。
_____でも、お互い、元の世界へ戻る方法を探しながらここで生活するしか手はない。
左馬刻様の家に居候なんて恐れ多すぎるのだが、取り敢えず何か手掛かりが掴むまでは邪魔にならない程度にお世話になろう。もう何なら壁と同化して生きていってもいいくらいだ。…いや生きていこう。
そう鼻を鳴らしながら強く決心していると、ふと携帯のアラームが鳴り響きそれを止めるがてら時間を確認する。…9時14分。少し寝すぎてしまったようだ。一先ず起きなきゃ。
良い匂いが微かに香る妹さんのパジャマを脱いで、「暫くは妹の服を使え」と言われたので素直にタンスから妹さんの服を拝借する。ごめんね、こんな奴に服を勝手に着られるなんて嫌だよね…すぐバイトしてお金貯めて服買いに行くから!
少しブカブカでゆとりがあるパーカーとジーンズを身に纏うと、私は部屋を出てリビングへと向かった。
「………、あ…」
てっきり左馬刻様がいると思い込み、気づかれないよう恐る恐るリビングを覗くがそこはもぬけの殻。静まり返っているリビングに少し安堵しつつ、中へと足を踏み入れるとテーブルに朝食らしきものと恐らく…だけど家の鍵、そして私からしたら信じられない額のお金の束。その横には置き手紙の様なものが置かれていた。
手に取って内容を確認してみると、朝ご飯が用意してある事、昼ご飯は冷蔵庫にある事、鍵やお金の事……殴り書きされた文字が紙の中で踊っている。何だか彼らしい暖かさを感じて自然と頬が緩んでしまうがそれを抑え、私はテーブルに腰を下ろすと早速朝ご飯に手をつけた。
人の手で作られた料理は、酷く心に沁みた。