New life
おなまえ
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「さ、寒い………」
左馬刻様と別れてから十数分。取り敢えずどこでも良いからせめて眠れる場所をと辺りを散策していたが、ここの地形を全く知らない私には無理があったようで秒で人気のいない所に来てしまった。
あれ?と周りをキョロキョロと見回した頃には時すでに遅し。街灯も少なく人の声も一切聞こえない遮断された空間に一人投げ出されていた。
しかも昨日まで私のいた時代と同じ季節ならば、恐らく今は11月。夜の冷え込みが激しい事ぐらい分かる。案の定頬を撫でる風は突き刺すように冷たく、思わず身震いしながらおじさんに貰った服の裾を強く握りしめた。
はぁ、と何回か息を吐いてみると白息が気体となって目に映る。
ああ、本当についてない。ただでさえ方向音痴ですぐに迷う癖があるというのに、よりによってこんな人気のない場所に来てしまうなんて。
そんな事を考えながらガックリと肩を落として俯いた私は、背後から迫り来る黒い影に気づかなかった。
「ねぇ、キミ。こんな時間に一人で何してんの?」
「は?こんな時間に女がウロついてるとかマジかよ!」
「いっ……!」
背後から数人の男達が下品な笑い声と共に現れたかと思うと、振り向く間もなく肩を強く掴まれた。
あまりに乱暴な手つきに私は思わず眉を顰めて呻き声を上げると、目の前の男達は更に愉快そうな笑い声を上げる。
「キミさ、こんな深夜にハマを一人でウロついてるっつーことはどういう事か分かるよな?」
「待てよ、コイツよく見たら制服着てんじゃん!学生かよ〜、手出したら俺ら犯罪者じゃねぇ?」
「俺逆にそっちの方が燃えるわー、今時生の学生になんてそうそう触れねぇからな」
「うっわ、お前ロリコンかよキメェ〜」
ぎゃははは、なんて下劣な笑い声を上げてこちらをにやけた口元で見つめてくる男の人達にとんでもない恐怖を感じる。
途端に体がガタガタと震えだし、膝が笑って思うように動けない。その上恐怖のあまり息が詰まり言葉が喉に張り付いてしまう。
こわい、こわい、……。
段々と目頭が熱くなって目の前の視界がぼやけてくると、それを見た男達は更に低劣な笑みを深めた。
「うっわ、震えて泣いてんじゃーん。カワイソー」
「ほらほら俺らが慰めてあげるからおいでよ」
「恨むなら深夜にヨコハマを軽率にウロついた自分を恨みな」
そう言って男性の一人が私の腰にゆっくりと手を回す。同時に背中をさらりと撫でられるものだから、あまりの気持ち悪さに背筋が凍ってしまう。嫌だ、離して、そう言いたいのに口から溢れるのは恐怖に支配された荒い息遣いだけで。「じゃあ行こうか」と耳元で囁くような男の低い声が響き、抵抗する力さえ抜けてしまった。
ああ、本当についてない。
私は、ついてない。
こんな事になるならちゃんとおじさんの言う通り中央区に行くべきだったのかな。
意地でもネカフェとかホテルを探すべきだったのかな。
ああ、このまま人生終了しちゃうみたいだ。
まぁ最後に左馬刻様と接触出来ただけで嬉しかったけども。
そんな事を回らない頭でぼんやりと考えながら、男達の無されるがままに何処かへ連れていかれそうになった瞬間_______ふと目の前の暗闇には似つかない白い光が視界に映り込んだ。
「_____おい、今すぐソイツを離せ」