目が覚めたら夢の世界にいました
おなまえ
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……その日も私達は何ら変わらない日常を過ごしていた。
「明日、体育あるっけ?」
「あるー。…卓球だっけ、だるいなぁ」
いつもの様に二人でたわいも無い話をしながら歩く帰り道。ふと空を見上げれば、綺麗に映し出される夕日の姿。
半分ほど雲に隠れ、その少しの隙間から光を放つ夕日は、何とも言えない幻想的な風景を生み出しており、見ていて不思議な気分になる。オレンジ色がかった空が、今日は何だかやけに気になって、隙あらばチラチラと視線を上へと向けていた。
「卓球とか出来ないのに、何で選択しちゃったんだろ」
そう言って隣で心底不満そうにため息を吐くのは、私の親友であり幼馴染でもある佐藤和子だ。
小さい頃から当たり前に隣にいて、まぁたまには喧嘩もあったしすれ違いもあったけれど、高校生三年生になった今、奇跡的に同じクラスになる事ができ、またこうやって仲良くしている。
和子とは趣味もよく合うし、一緒にいて気が楽だ。何でも話せるし、いつも笑いが絶えなくて、ちょっと疲れるくらい。
だけど、真面目な話も割とするし悩みがあれば親身に相談に乗ってくれる。
普段は馬鹿なことやって笑い合っているけれど、お互いが辛い時は黙って側にいてくれるし、逆に私もいる。
きっと心で繋がっている、ってこんな感じなんだろうなと和子と過ごしていると思ったりする時もあるなぁ。
そんな事をぼんやりと考えてながら和子の話を聞き流していると、ふと和子が思い出した様に大声を上げて携帯を取り出した。
「あ!そういえば花子見た?ヒプマイ の最新情報!」
「……え?何それ詳しく」
初耳であるの言葉に一呼吸置いてから、若干食い気味に反応する。さっきまでとは打って変わって途端に目をキラキラと輝かせた私が可笑しいのか、和子は目尻を下げながら歯を見せてその華奢な肩を微かに震わせた。
「次はコラボカフェするんだって!まぁここは田舎だから遠いけど、一緒に行こうよ」
「へぇ!行く行く!また楽しみが増えるなぁ。早く推しに会いたい…」
和子が見せてくれた携帯画面のコラボカフェ決定の文字を目で追いながら、私はにやけるように頬を緩ませる。
きっと今の私の顔は、さぞかしだらしないだろう。
私が嬉しそうに画面を長い間見つめるものだから、和子は「いつまで見てんの」と呆れたように苦笑しながら軽く私の頭を叩く。
不満げに口を尖らせ頭を抑えながら彼女を見上げれば、心底楽しそうな表情を浮かべていたけれど。
____そう。私達がハマっているのは、現在爆発的な人気を誇っている「ヒプノシスマイク」というラップソングプロジェクトだ。
漫画ではないし、アニメ化もされていない。
出ているのはCDだけで、あとは動画投稿サイトにも動画が上がっている。
その動画なんて再生回数1000万回超えているものもあるし、CDの売り上げも凄く良いらしいし。
声優さんのラップもカッコよくて、とても魅力的な作品だ。これは沼にハマるのも無理はない。
来年からはゲーム化も決まっているみたいだし、どんどん流行して行きそうな予感。
何より_______キャラが全員魅力的過ぎるのだ。
私は普段アニメやゲームをしても、苦手なキャラは必ず一人や二人出てくる。しかしこの「ヒプマイ」というジャンルはどうだろう。
この作品に至っては皆それぞれ違った個性があって、全員大好きなのだ。苦手なキャラなどは全くいない。不思議なことに。
こんな作品は初めてで、いまや私はすっかり「ヒプマイ」ファンとしての階段を着々と上っている。
ちなみに私の推しは麻天狼の「伊弉冊一二三」と言う人で、和子の推しはMAD TRIGGER CREWの「入間銃兎」と言う人である。
お互い毎日T●itterを確認したり、p●xivで二次創作を見ては、興奮しながら語り合っている。そんな日常が楽しくてしょうがないが、まぁ、ふと我に返って虚しくなる時もあるけど。
でも、とにかく言えることは_____ヒプノシスマイク、最高。
「よーし、バイト頑張ってお金貯めよーっと」
「私も頑張る!推しに貢ぐぞ〜」
私が青空に向かって高らかにそう宣言すれば、同調する様に和子も大きく両手を上げる。
それがだんだん可笑しくなってきて、お互い顔を見合わせて笑い合った。
きっと、これからもそんな平和な日常が続いて行くのだろう。
……この時の私は、そう思っていた。
「………え、ここ、どこ?」
ふと目を開ければ、全く知らない土地にいました。
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