ツイステッドワンダーランド
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広大な土地を持つこの学園内には、生徒達の悪戯によって作り出された異空間や、隠れ家のように創られた建物が多く存在する――という噂があった。今は使われていない校舎の端にある鏡をくぐり抜ければ……。ある空き教室には隠し扉がある……。ある廃墟の地下には秘密の隠し部屋が……。などなど、数えたらキリが無い。その多くが上級生から下級生へと伝わっているただの噂話の為、学園関係者は目を瞑っていた。――はずだった。
「ここは……」
実験に使う草花の調達の為に、学園裏の森の中を歩いていた悠月とクルーウェルが辿り着いた先はとある廃墟だった。もう何十年も使われていないのか、建物の大半は朽ちており壁や扉には蔦が巻き付いている。「こんな建物あったんですね」とクルーウェルに問いかけた悠月が好奇心をくすぐられて屋内へと足を踏み入れるのを、彼は厳しい表情で見つめていた。
体重をかければ朽ちた床板が嫌な音を立てながら軋み、いつ床が抜けてもおかしくない。慎重に一歩ずつ足を踏み入れて暗い部屋の中を見渡していると、悠月は古びた暖炉の上で光っている石を見つけた。それがトリガーだったらしい。クルーウェルの怒声が飛び、何かと思った刹那――眩いほどの白い光に身は包まれ、反射的に目を閉じた。クルーウェルに守られるように抱き締められた悠月が次に目を開けたのは、そんな彼に呼びかけられてから。恐る恐る開いてみると先ほどとは全く違う空間にいることに気が付いた。
古びた木造の建物ではなく、一見は普通の部屋だ。クリーム色の壁紙が貼られた室内には、ソファーや机の他にもテレビやベッド、クローゼットやタンスといった生活用品が全て揃っていて、まるでモデルルームのようだ。煌びやかな内装とは違い、シンプルにまとめられた部屋は悠月が元居た世界を思い出させる。
大丈夫か、と頭上から聞こえてくる優しい声に小さく返事をした悠月は、彼の腕の中にいる状況に焦っていた。ハプニングとは言え、想い人に抱き寄せられているのだ。心臓は早鐘を打ち続け、どくどくと大きな音を響かせている。一瞬で熱が集まり、熱くなった悠月の顔は、真っ赤な林檎のようになっていた。
「噂は本当だったか」
そう呟いたクルーウェルは、己の腕の中で守っていた彼女の体を開放し、部屋の中を物色するように歩き回ってからソファへと腰を下ろした。仔犬、と呼びかけられた悠月も、ちょこんと二人掛けのソファに座る。テーブルの上でに小さなガラス瓶がいくつも並んでいた。
「あの、噂ってなんですか……? それにこれって」
「……催淫剤の一種だろうな」
媚薬と言った方が分かりやすかったか? と揶揄するように笑ったクルーウェルの手の中には、既に空となった瓶があった。顔を真っ赤にしながら焦る悠月とは裏腹に、クルーウェルは落ち着いた素振りで机の上にある瓶と向き合っている。ピンク色と紫色を混ぜたような色合いの半透明な液体。何を根拠に媚薬だと言ったのかは分からないが、薬学に通じた教師でもあるクルーウェルの言葉が嘘だとは思えない。
「この学園には卒業生が自らの悠月ニーク魔法で作り出した異空間がある、という噂があった。どうやらそれが本当だったらしい。ここを出るにはこれを飲むしかない。出たら解毒剤をやるから、つべこべ言わずに今は飲め」
いいな、と念を押されるように強い口調で言われ、悠月はもう一度机の上に視線を向けた。
まるで"これはあなたの分ですよ"とでも言うように、媚薬の入ったガラス瓶が二人分に分けて並べられている。一方はたったの三本。もう一方は、二十……いや三十近くはあるのだろうか。自ら進んで多い方を選んだクルーウェルを思うと申し訳ない気持ちが勝り、その数を数えるような真似はしない方が賢明だと思った。
得体の知れないものを口にするのは思っているよりも勇気がいる。手に取ったガラス瓶の蓋を悠月っくりと開封し、くんくんとニオイをたしかめる悠月に対し、クルーウェルは早くも五本目の瓶を空にしていた。顔色一つ変えずに六本目を口にしている彼を見て、危険なものではないことが分かり少しだけ安心感が生まれる。どろりとした液体からは甘酸っぱい匂いがした。
えぇい! 女は度胸だ! と覚悟を決めて、瓶の中の液体を口にする。どろりとした感触や味は多くの果物を使ったミックスジ悠月スに似ている。体への異常も特にみられず、思ったよりも美味しい媚薬を前に悠月は無意識の内にごくりと喉を上下させていた。
自分のノルマは三本だけだ。これは楽勝だな、と口元に笑みを描いた悠月に、早いもので半分程の瓶を空にしたクルーウェルは「仔犬、無理は禁物だぞ」と呟く。明らかに自分よりも早いペースで媚薬を飲んでいる彼に、無理は禁物だなんて言われたくはない。
「先生こそ大丈夫なんですか」
怒られるのも覚悟の上で、悠月は揶揄うような口調で隣に座るクルーウェルに話しかけながら二本目の瓶を手にし、隣に座る男へと視線を向ける。それがいけなかったのだと、思っても後の祭りである。
「誰に物を言ってるんだ、駄犬」
ふわふわの毛皮のコートを脱ぎ捨てながら「躾が必要か?」と逆に揶揄うように微笑われてしまい、必要ないという返事すら上手く喉から出てきてくれない。白かった頬が薄っすらと紅色に染まり、汗ばんだ額に乱れた前髪が貼り付いてる。いつものような微笑を浮かべているだけなのに、どこかそれが艶めかしくて、まるで心臓が警告を発するように早鐘を打った。
どくん、どくん、と心臓が大きく脈打つ度に身体中が熱を持ち、血液が沸騰しているのではないかと思ってしまう。途端に訪れる息苦しさに小さく喘ぎそうになり、悠月は慌ててクルーウェルに背を向けるようにして行儀が悪いのは重々承知で膝を抱えた。
これがただの恋心のせいなのか、それとも媚薬を摂取したからなのかは分からない。急に激しくなった動悸と体温の上昇に少しばかり不安を覚えた悠月は、手にしていた小瓶をじっと見つめた。まさか、と思いつつ二本目を口にして舌の上に広がる甘味を味わう。だが、その液体を体内に入れることが少し怖くなってしまい、なかなかそれを嚥下することができないでいた。
一度口に入れたものを吐き出すわけにはいかない。かと言って、飲み込む勇気も今はない。どうしよう、と目に涙が自然と浮かんでしまい咄嗟に指で拭っていると、ふと背中を大きな手のひらで撫でられた。驚いた悠月は口の中に含んでいた媚薬を飲み込んでしまい、狭くなった気管が悲鳴を上げるように咳き込む。大丈夫か、と何度も優しく擦る手がたまらなく愛おしい。体を気遣うような手ぶりではあったが、本能的に悠月の身体は愉悦としてそれを受け止めていた。
撫でられる度に腰がずくずくと疼いて、それと同時に触れてほしいと訴えるように秘部も疼く。自身の意思とは関係なく、小刻みに震えてしまう身体に戸惑い、悠月は熱を帯びた瞳に新たな涙を浮かべた。助けを求めようとしたのだろうか。無意識にすぐ傍にいる彼を呼ぶのだが、その声は甘ったるい。
ピリピリと痺れるようなものを後頭部に感じ、どこか意識がぼんやりと遠のいていく。体がふわふわと宙に浮くような感覚に陥り、彼女はこわいと小さく呟いて抱えた膝をさらに強く抱き締めた。クルーウェルを呼ぶ声がさらに甘く蕩けていく。
どうしよう、怖い、苦しい、熱い、触ってほしい、もっと、もっと――
頭の中で巡り廻る淫らな考えに、片隅にある理性がギリギリのところで歯止めをかけているが、陥落してしまうのも時間の問題だろう。まだあと一本残っているのに。ぎ悠月っと、目蓋を閉じれば溢れた涙が目頭から鼻先にかけて流れ落ちた。平常心を装うと悠月っくり呼吸をしようとしているのに息遣いは荒いまま。大丈夫か、と耳後ろで聞こえた低く掠れた声もまた、欲を孕んでいるように聞こえた。蜜部からどろりと淫水が溢れる感覚に背筋が震える。背中を擦っていた手が前へ回り込んできて、抱え込まれるように背後から抱き締められた悠月はその手に縋り付いて助けを乞うた。
許せ、と柔らかな低音が鼓膜を響かせた刹那、どくんと一際大きく心臓が跳ね上がった。なにを、と思うよりも先に、耳殻に触れた熱に悠月の体が強張った。まるで口づけるかのように耳輪を啄んだ彼のクルーウェルの唇は、やがて耳朶へと辿り着く。しゃぶるように咥えられ、吸われ、また耳殻をねっとりと舐られる。
与えられる快楽に戸惑いつつも、それを素直に吸収した小さく喘いだ悠月は、ガクガクと身体を震わせながら何度もクルーウェルを呼ぶ。その度に身体をきつく抱き締められ、心臓がき悠月うっと締め付けられた。まだ欲を上手く発散することのできない幼い体は、次から次へと与えられる責め苦に耐えることができない。名前を呼ばれ、下腹部の奥底に甘苦しい痛みを感じ、花筒からは蜜が溢れた。
初めて聞く欲情した男の声に、悠月の体は悦びに震えた。汗ばむ項に舌を這わされ、噛み付かれるように歯を充てがわれ、思わず声が漏れてしまうほどキツく吸い上げられる。「な、に……ッ」とその痛みに驚き振り替えれば、すぐに唇を包み込むような口づけられ、驚愕の声は口の中で溶けて消えた。
「んッ……⁉ っ、んぅ」
こちらを向け、と言わんばかりに顎を掴まれ、僅かな歯列の隙間からぬるりとした熱が捻じ込まれる。その正体がクルーウェルの舌だと悠月が気が付いたのは、逃げ場を失い喉奥で縮こまっていた自身の舌を搦め取られてから。まるで愛撫するかのように舌を舌で擦られ、上顎を舌先で擽られ、しどけなく腰が揺れた。
息ができない、と彼の胸を叩きながら体を捩る。結果的に向き合うような恰好になったところで、ようやく彼の猛攻が止まった。
「随分と良い反応をするじゃないか」
口元に笑みを浮かべたクルーウェルは、机の上に残されていた媚薬の瓶を取り、器用な指先で蓋を飛ばした。
「あと一本残ってるぞ」
言われて、悠月は机の上に視線を向ける。言葉通り、彼は自分自身の分を全て飲み干したようで、残されていたのはクルーウェルが手に持っているもので最後。悠月が、飲むべきものだった。
「も、ぅ……無理、です……」
これ以上はおかしくなってしまう。どんどん欲情していく、淫らになっていく自分が怖い。
そう、涙ながらに訴える悠月だったが、クルーウェルは容赦しなかった。
彼は瓶の中身を自身の口に含むと、悠月の口に指を入れて歯列を割り開き、液体を流し込むように口づけた。
無理やり上を向かされ、口の中に飲み込みたくない液体が注ぎ込まれる。咥内で掻き混ぜられ、唾液と一緒に溢れた薬が口の端から垂れた。思わず、ごく、ごくり、と二回ほど喉を動かして口咥内に溜まったものを嚥下すれば、「good girl……上手に飲めたじゃないか」と彼は満足そうに笑みを浮かべた。
「ここは……」
実験に使う草花の調達の為に、学園裏の森の中を歩いていた悠月とクルーウェルが辿り着いた先はとある廃墟だった。もう何十年も使われていないのか、建物の大半は朽ちており壁や扉には蔦が巻き付いている。「こんな建物あったんですね」とクルーウェルに問いかけた悠月が好奇心をくすぐられて屋内へと足を踏み入れるのを、彼は厳しい表情で見つめていた。
体重をかければ朽ちた床板が嫌な音を立てながら軋み、いつ床が抜けてもおかしくない。慎重に一歩ずつ足を踏み入れて暗い部屋の中を見渡していると、悠月は古びた暖炉の上で光っている石を見つけた。それがトリガーだったらしい。クルーウェルの怒声が飛び、何かと思った刹那――眩いほどの白い光に身は包まれ、反射的に目を閉じた。クルーウェルに守られるように抱き締められた悠月が次に目を開けたのは、そんな彼に呼びかけられてから。恐る恐る開いてみると先ほどとは全く違う空間にいることに気が付いた。
古びた木造の建物ではなく、一見は普通の部屋だ。クリーム色の壁紙が貼られた室内には、ソファーや机の他にもテレビやベッド、クローゼットやタンスといった生活用品が全て揃っていて、まるでモデルルームのようだ。煌びやかな内装とは違い、シンプルにまとめられた部屋は悠月が元居た世界を思い出させる。
大丈夫か、と頭上から聞こえてくる優しい声に小さく返事をした悠月は、彼の腕の中にいる状況に焦っていた。ハプニングとは言え、想い人に抱き寄せられているのだ。心臓は早鐘を打ち続け、どくどくと大きな音を響かせている。一瞬で熱が集まり、熱くなった悠月の顔は、真っ赤な林檎のようになっていた。
「噂は本当だったか」
そう呟いたクルーウェルは、己の腕の中で守っていた彼女の体を開放し、部屋の中を物色するように歩き回ってからソファへと腰を下ろした。仔犬、と呼びかけられた悠月も、ちょこんと二人掛けのソファに座る。テーブルの上でに小さなガラス瓶がいくつも並んでいた。
「あの、噂ってなんですか……? それにこれって」
「……催淫剤の一種だろうな」
媚薬と言った方が分かりやすかったか? と揶揄するように笑ったクルーウェルの手の中には、既に空となった瓶があった。顔を真っ赤にしながら焦る悠月とは裏腹に、クルーウェルは落ち着いた素振りで机の上にある瓶と向き合っている。ピンク色と紫色を混ぜたような色合いの半透明な液体。何を根拠に媚薬だと言ったのかは分からないが、薬学に通じた教師でもあるクルーウェルの言葉が嘘だとは思えない。
「この学園には卒業生が自らの悠月ニーク魔法で作り出した異空間がある、という噂があった。どうやらそれが本当だったらしい。ここを出るにはこれを飲むしかない。出たら解毒剤をやるから、つべこべ言わずに今は飲め」
いいな、と念を押されるように強い口調で言われ、悠月はもう一度机の上に視線を向けた。
まるで"これはあなたの分ですよ"とでも言うように、媚薬の入ったガラス瓶が二人分に分けて並べられている。一方はたったの三本。もう一方は、二十……いや三十近くはあるのだろうか。自ら進んで多い方を選んだクルーウェルを思うと申し訳ない気持ちが勝り、その数を数えるような真似はしない方が賢明だと思った。
得体の知れないものを口にするのは思っているよりも勇気がいる。手に取ったガラス瓶の蓋を悠月っくりと開封し、くんくんとニオイをたしかめる悠月に対し、クルーウェルは早くも五本目の瓶を空にしていた。顔色一つ変えずに六本目を口にしている彼を見て、危険なものではないことが分かり少しだけ安心感が生まれる。どろりとした液体からは甘酸っぱい匂いがした。
えぇい! 女は度胸だ! と覚悟を決めて、瓶の中の液体を口にする。どろりとした感触や味は多くの果物を使ったミックスジ悠月スに似ている。体への異常も特にみられず、思ったよりも美味しい媚薬を前に悠月は無意識の内にごくりと喉を上下させていた。
自分のノルマは三本だけだ。これは楽勝だな、と口元に笑みを描いた悠月に、早いもので半分程の瓶を空にしたクルーウェルは「仔犬、無理は禁物だぞ」と呟く。明らかに自分よりも早いペースで媚薬を飲んでいる彼に、無理は禁物だなんて言われたくはない。
「先生こそ大丈夫なんですか」
怒られるのも覚悟の上で、悠月は揶揄うような口調で隣に座るクルーウェルに話しかけながら二本目の瓶を手にし、隣に座る男へと視線を向ける。それがいけなかったのだと、思っても後の祭りである。
「誰に物を言ってるんだ、駄犬」
ふわふわの毛皮のコートを脱ぎ捨てながら「躾が必要か?」と逆に揶揄うように微笑われてしまい、必要ないという返事すら上手く喉から出てきてくれない。白かった頬が薄っすらと紅色に染まり、汗ばんだ額に乱れた前髪が貼り付いてる。いつものような微笑を浮かべているだけなのに、どこかそれが艶めかしくて、まるで心臓が警告を発するように早鐘を打った。
どくん、どくん、と心臓が大きく脈打つ度に身体中が熱を持ち、血液が沸騰しているのではないかと思ってしまう。途端に訪れる息苦しさに小さく喘ぎそうになり、悠月は慌ててクルーウェルに背を向けるようにして行儀が悪いのは重々承知で膝を抱えた。
これがただの恋心のせいなのか、それとも媚薬を摂取したからなのかは分からない。急に激しくなった動悸と体温の上昇に少しばかり不安を覚えた悠月は、手にしていた小瓶をじっと見つめた。まさか、と思いつつ二本目を口にして舌の上に広がる甘味を味わう。だが、その液体を体内に入れることが少し怖くなってしまい、なかなかそれを嚥下することができないでいた。
一度口に入れたものを吐き出すわけにはいかない。かと言って、飲み込む勇気も今はない。どうしよう、と目に涙が自然と浮かんでしまい咄嗟に指で拭っていると、ふと背中を大きな手のひらで撫でられた。驚いた悠月は口の中に含んでいた媚薬を飲み込んでしまい、狭くなった気管が悲鳴を上げるように咳き込む。大丈夫か、と何度も優しく擦る手がたまらなく愛おしい。体を気遣うような手ぶりではあったが、本能的に悠月の身体は愉悦としてそれを受け止めていた。
撫でられる度に腰がずくずくと疼いて、それと同時に触れてほしいと訴えるように秘部も疼く。自身の意思とは関係なく、小刻みに震えてしまう身体に戸惑い、悠月は熱を帯びた瞳に新たな涙を浮かべた。助けを求めようとしたのだろうか。無意識にすぐ傍にいる彼を呼ぶのだが、その声は甘ったるい。
ピリピリと痺れるようなものを後頭部に感じ、どこか意識がぼんやりと遠のいていく。体がふわふわと宙に浮くような感覚に陥り、彼女はこわいと小さく呟いて抱えた膝をさらに強く抱き締めた。クルーウェルを呼ぶ声がさらに甘く蕩けていく。
どうしよう、怖い、苦しい、熱い、触ってほしい、もっと、もっと――
頭の中で巡り廻る淫らな考えに、片隅にある理性がギリギリのところで歯止めをかけているが、陥落してしまうのも時間の問題だろう。まだあと一本残っているのに。ぎ悠月っと、目蓋を閉じれば溢れた涙が目頭から鼻先にかけて流れ落ちた。平常心を装うと悠月っくり呼吸をしようとしているのに息遣いは荒いまま。大丈夫か、と耳後ろで聞こえた低く掠れた声もまた、欲を孕んでいるように聞こえた。蜜部からどろりと淫水が溢れる感覚に背筋が震える。背中を擦っていた手が前へ回り込んできて、抱え込まれるように背後から抱き締められた悠月はその手に縋り付いて助けを乞うた。
許せ、と柔らかな低音が鼓膜を響かせた刹那、どくんと一際大きく心臓が跳ね上がった。なにを、と思うよりも先に、耳殻に触れた熱に悠月の体が強張った。まるで口づけるかのように耳輪を啄んだ彼のクルーウェルの唇は、やがて耳朶へと辿り着く。しゃぶるように咥えられ、吸われ、また耳殻をねっとりと舐られる。
与えられる快楽に戸惑いつつも、それを素直に吸収した小さく喘いだ悠月は、ガクガクと身体を震わせながら何度もクルーウェルを呼ぶ。その度に身体をきつく抱き締められ、心臓がき悠月うっと締め付けられた。まだ欲を上手く発散することのできない幼い体は、次から次へと与えられる責め苦に耐えることができない。名前を呼ばれ、下腹部の奥底に甘苦しい痛みを感じ、花筒からは蜜が溢れた。
初めて聞く欲情した男の声に、悠月の体は悦びに震えた。汗ばむ項に舌を這わされ、噛み付かれるように歯を充てがわれ、思わず声が漏れてしまうほどキツく吸い上げられる。「な、に……ッ」とその痛みに驚き振り替えれば、すぐに唇を包み込むような口づけられ、驚愕の声は口の中で溶けて消えた。
「んッ……⁉ っ、んぅ」
こちらを向け、と言わんばかりに顎を掴まれ、僅かな歯列の隙間からぬるりとした熱が捻じ込まれる。その正体がクルーウェルの舌だと悠月が気が付いたのは、逃げ場を失い喉奥で縮こまっていた自身の舌を搦め取られてから。まるで愛撫するかのように舌を舌で擦られ、上顎を舌先で擽られ、しどけなく腰が揺れた。
息ができない、と彼の胸を叩きながら体を捩る。結果的に向き合うような恰好になったところで、ようやく彼の猛攻が止まった。
「随分と良い反応をするじゃないか」
口元に笑みを浮かべたクルーウェルは、机の上に残されていた媚薬の瓶を取り、器用な指先で蓋を飛ばした。
「あと一本残ってるぞ」
言われて、悠月は机の上に視線を向ける。言葉通り、彼は自分自身の分を全て飲み干したようで、残されていたのはクルーウェルが手に持っているもので最後。悠月が、飲むべきものだった。
「も、ぅ……無理、です……」
これ以上はおかしくなってしまう。どんどん欲情していく、淫らになっていく自分が怖い。
そう、涙ながらに訴える悠月だったが、クルーウェルは容赦しなかった。
彼は瓶の中身を自身の口に含むと、悠月の口に指を入れて歯列を割り開き、液体を流し込むように口づけた。
無理やり上を向かされ、口の中に飲み込みたくない液体が注ぎ込まれる。咥内で掻き混ぜられ、唾液と一緒に溢れた薬が口の端から垂れた。思わず、ごく、ごくり、と二回ほど喉を動かして口咥内に溜まったものを嚥下すれば、「good girl……上手に飲めたじゃないか」と彼は満足そうに笑みを浮かべた。